木々が色づきを増すこの季節、日当たりがよくて展望の利く場所で、いつまでも日光浴するバッタをたまに見かける。日々の生き残り競争からしばし解放された彼らのことをこれからは「楽康バッタ」と呼ぶことにしよう。
仮面の下の素顔とは──?
壇上で、文化人類学者・今福龍太さんの新刊『仮面考』のカバーが外され、広げられて、裏返された。そこには大小さまざまなテキストの塊がびっしりと並んでいる。ぱっと目に入るのは、「離脱せよ」。重要なテキストは裏にこそあったのだ。
半期に一度の「伝習座」。イシス編集学校「守」「破」コースの師範と師範代たちが本楼に集結し、学衆に示すべき指南について交わし合う場で、今日9月27日で180回を数える。昨秋の178回から無料ライブ配信の形をとり、ISIS co-missionメンバーの講演と、守破離三匠による校長講話の再生の2部構成で展開してきた。
今回、第一部のゲストが今福龍太さんで、進行役を務めるイシスの左近、右近と「花綵列島の新たなる憲法」をテーマにセッションを行う。冒頭の一コマは、右近・小島伸吾が今福さんを迎えるにあたって明かした仕掛けのひとつ。いわば前口上だ。
「仕掛けはまだたくさんある。どこまで明かされるかは、僕ら左近と右近、そして皆さんの引き出し次第。落語や音楽ライブのように聴衆の食いつきで全てが変わっていく、その偶有性を楽しみたい」と場の醸成を促した。
左近の金宗代もまた、「今日この場のコンティンジェンシーで何が起こりうるか」だと繰り返す。壇上のデスクに置かれた陶器の人形や仮面を指して「ここにも何か予兆というか、秘密を握った何者かがいますね」と意味を含ませた。
そしてセッションは始まった。今福さんはイシスの多読アレゴリアで「群島ククムイ」を監修している。裏と表を行き来しながら、3人の乗せた難破船はどこへ向かうのか。
本番前の一コマ。金宗代の装いは花綵柄のインド更紗に黒の染めの「重ね」。小島伸吾の黒いソフト帽は今福龍太さんの白と「対」で
(写真/細田陽子、今井早智)
今井早智
編集的先達:フェデリコ・フェリーニ。
職もない、ユニークな経歴もない、熱く語れることもないとは本人の弁だが、その隙だらけの抜け作な感じは人をついつい懐かせる。現役時代はライターで、今も人の話を聞くのが好き。
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コメント
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2025-11-11
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