「ピキッ」という微かな音とともに蛹に一筋の亀裂が入り、虫の命の完結編が開幕する。
美味しい葉っぱをもりもり食べていた自分を置き去りにして天空に舞い上がり、自由自在に飛び回る蝶の“初心”って、いったい…。

本楼にグランドピアノが入る――史上初の“事件”が起こる。
井上鑑が松岡正剛に捧ぐ、音と言葉のレクイエム。
「玄月音夜會」第五夜は、“言葉の船”が静かに音へと漕ぎ出す夜になる。
すでにお伝えしていた「玄月音夜會」に、ひとつの“事件”が飛び込んできた。
その夜、本楼にグランドピアノが入る。
これは本楼史上、はじめてのこと。
長く、言葉と書物と対話の響きに満ちていた本楼が、この夜、音楽という“もうひとつの言葉”を迎え入れる。
静かな木の床に、漆黒の船が滑り込み、音が記憶を呼び覚ます。
誰も見たことのない本楼に出会う、一夜のはじまりである。
この第五夜には、特別な題が与えられた。
「言葉の船に導かれて」。
ゲストである井上鑑さんが想いを込めて名付けたタイトル。
そして第五夜への想いも語ってくれた。
CM 音楽製作という時代の波乗り選手権のなかで、 幸運にも出会うことが出来た僕にとってのメンター、松岡さんに捧げる一夜。
以前から朧気に 「松岡さんの居るところでやってみたい」と思っていたことを、遅まきながら試みます。例えば、本楼に電子では無い生ピアノの音を響かせてみたい、かつてソロコンサートのためのブレストでやり取りした Imageを音楽化してみたい、藤本晴美さんと松岡さんへのDouble Requiemを創りたい、などなど。
井上鑑――
松岡正剛が高く評価していた、音の編集者。
作曲家、編曲家、キーボード奏者、そして歌手でもある。
「ルビーの指輪」の編曲者として知られ、福山雅治の音楽を長く支え、年末の紅白歌合戦では、キーボードの向こう側にその姿が映る。
松岡が手掛けたNTTやミツカンのCM。その世界観を表現したあの独特の透明な旋律も、松岡と井上、ふたりの呼吸から生まれたものだった。
長くスタジオという“見えない海”で音を操ってきた井上さん。
そこからソロピアノという“航海”へと舵を切るきっかけをくれたのが、ほかでもない松岡正剛であった。
松岡との出会いにより、ヤマハホールでのソロコンサートを皮切りに井上鑑は自らの音を探す旅に出た。
「いつか本楼にグランドピアノを置いてコンサートをやりたいね」
折々で交わしていた二人の夢。
そして今、その旅の延長線上に、本楼での約束が果たされる。
グランドピアノが入り、言葉が音になり、音が祈りとなる。
“編集の館”が、ひと夜だけ“音楽の海”へと姿を変える。
日時:10月22日(水) 19:30開演(18:30開場)
ゲスト:井上鑑さん(作曲家・キーボード奏者)
場所:イシス館本楼(編集工学研究所1F)
世田谷区赤堤2-15-3 小田急線「豪徳寺駅」徒歩6分
参加料金
本楼ライブ参加 16,000円(税別/飲食代込み)※各回30名限定
配信視聴参加 4,000円(税別)
*本楼参加・配信視聴のいずれも、期間限定でアーカイブ配信をご覧いただけます。
*毎回、まほろ堂蒼月(世田谷区宮坂)の和菓子と、白百合醸造(山梨・勝沼)のワイン&軽食をご用意しています。
お申し込み
本楼、音に染まる夜。
井上鑑のピアノが、松岡正剛の言葉を照らす。
“言葉の船”が導くのは、音と祈りが交わる、たったひとつの場所。
ぜひご堪能ください。
井上 鑑 Inoue Akira /キーボード奏者・アレンジャー・プロデューサー
桐朋学園大学作曲科において三善晃氏に師事。大森昭男氏との出会いによりCM音楽作曲、スタジオワークを始め、寺尾聰「ルビーの指環」ほか、大滝詠一、福山雅治などとのコラボレーションにより膨大な数のヒット曲、話題作を生み出す。1981年シングル「Gravitations」、アルバム「予言者の夢」でソロデビュー。先鋭的サウンドとメッセージ性に満ちた言葉を駆使し通算20枚のソロアルバムを発表。2011年、書籍『僕の音、僕の庭』刊行。80年代後半、松岡正剛が監修したNTTのCM制作で井上氏が作曲を担当。以来、さまざまな仕事をともにしてきた。2013年より「連歌・鳥の歌」プロジェクトを主宰、松岡もカタルーニャ民謡「鳥の歌」にオリジナルの日本語歌詞をつくり参画。
衣笠純子
編集的先達:モーリス・ラヴェル。劇団四季元団員で何を歌ってもミュージカルになる特技の持ち主。折れない編集メンタルと無尽蔵の編集体力、編集工学への使命感の三位一体を備える。オリエンタルな魅力で、なぜかイタリア人に愛される、らしい。
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