自ら編み上げた携帯巣の中で暮らすツマグロフトメイガの幼虫。時おり顔を覗かせてはコナラの葉を齧る。共に学び合う同志もなく、拠り所となる編み図もなく、己の排泄物のみを材料にして小さな虫の一生を紡いでいく。
11月23日(日)にスタートする多読アレゴリアの別典祭の準備が編集工学研究所で行われていますね。並行して、55[破]破天講が2階の学林堂で行われていました。師範代は10月の突破講とその後の準備期間によって、すでに破の師範代への着替えを終えていましたね。破天講では物語編集術とプランニング編集術についての師範代の学びを深めます。
オープニングでは律師・八田英子が、物理学者・佐治晴夫さんの最近の講演における「研究チームを作るために仲良しクラブにしてはいけないという」というメッセージを挙げました。松岡校長も「褒めると叱るは根っこが同じ」と強調していたようです。仲良しにならなくても緊張感を持って学びあう場を目指してほしい想いがありました。
講座を取りまとめる学匠・原田淳子の挨拶が続きます。『知の編集術』の前書きには「編集は遊びから生まれる」「編集は対話から生まれる」「編集は不足から生まれる」があり、各講座でもよく引用されます。破講座の後半ではその続きの
「編集は照合である」
「編集は連想である」
「編集は冒険である」
を体験してほしいことを強調していました。照合は「双方を突き合わせて正しいか見る」と書かれている辞書もあるようですね。編集学校は正解を求めないのですが、独りよがりにならないように相互編集をする必要あります。
その後、破の師範代による前半の振り返りが続きました。再登板の師範代・久野美奈子は前回の師範代登板からブランクが20年ほどあったようです。「オリベゆうゆう教室」のネーミング編集に肖って学衆さんも「悠々」としているもよう。教室を動かすために指南を早く返している。ゆうゆうには「勇々」もありますね。お題のファーストペンギンを競走してほしい。12月に行われる合同汁講を転機にするだけでなく、事前のオンライン汁講も仕掛けるかもしれません。
「梁塵ほたほた教室」の師範代・辻志穂は学衆さんからの回答を通じた問感応答返に対して「自分が勉強させていただいている」と強調していました。お題の理解について不安を抱えていたようですが、師範・天野は「胆力がある」「教室に師範代のしなやかな強さが伝わっている」と教室のマネージメントも評価していました。今後は辻の持ち味である「きのこ」「けん玉」の持ちだしを勧めていましたね。
師範代の振り返りと師範のコメントによるエディティングモデルの交換をメタ視点で番匠・白川が見ていました。学衆さんの可能性を広げるにあたって「方法の型が内容を連れてくる。すべてお題にある」と強調していました。学衆さんの回答に見え隠れする不足は「お題を読めていない」ことが原因です。師範代のナビゲーションとともにお題をよく読み、方法に導かれながら稽古を進めてほしいですね。
畑本ヒロノブ
編集的先達:エドワード・ワディ・サイード。あらゆるイシスのイベントやブックフェアに出張先からも現れる次世代編集ロボ畑本。モンスターになりたい、博覧強記になりたいと公言して、自らの編集機械のメンテナンスに日々余念がない。電機業界から建設業界へ転身した土木系エンジニア。
11/24(月)14時〜16時:ぷよぷよ創造主の思考にイシス病理医がメスを入れる!【別典祭】
本の市場、本の劇場、本の祭典、開幕! 豪徳寺・ISIS館本楼にて11月23日、24日、本の風が起こる<別典祭>(べってんさい)。 松岡正剛、曰く「本は歴史であって盗賊だ。本は友人で、宿敵で、恋人である。本は逆上にも共感に […]
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<速報>「いったん死んでよみがえること」物語編集術レクチャー54[破]破天講
「神話が足りない」 5月も終盤へと向かい、6月の梅雨の時期に入ろうとしていますね。日本国際博覧会協会(万博協会)が大阪・関西万博の5月23日の一般来場者数(速報値)が約13万9千人だったと発表しました。開幕日の約12万 […]
コメント
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2025-11-18
自ら編み上げた携帯巣の中で暮らすツマグロフトメイガの幼虫。時おり顔を覗かせてはコナラの葉を齧る。共に学び合う同志もなく、拠り所となる編み図もなく、己の排泄物のみを材料にして小さな虫の一生を紡いでいく。
2025-11-13
夜行列車に乗り込んだ一人のハードボイルド風の男。この男は、今しがた買い込んだ400円の幕の内弁当をどのような順序で食べるべきかで悩んでいる。失敗は許されない!これは持てる知力の全てをかけた総力戦なのだ!!
泉昌之のデビュー短篇「夜行」(初出1981年「ガロ」)は、ふだん私たちが経験している些末なこだわりを拡大して見せて笑いを取った。のちにこれが「グルメマンガ」の一変種である「食通マンガ」という巨大ジャンルを形成することになるとは誰も知らない。
(※大ヒットした「孤独のグルメ」の原作者は「泉昌之」コンビの一人、久住昌之)
2025-11-11
木々が色づきを増すこの季節、日当たりがよくて展望の利く場所で、いつまでも日光浴するバッタをたまに見かける。日々の生き残り競争からしばし解放された彼らのことをこれからは「楽康バッタ」と呼ぶことにしよう。