平和に飛び交うモンシロチョウも、地球史スケールでは、ほんの少し前に日本にやって来たばかりのパイオニアらしい。押さえきれない衝動に駆り立てられて彼方に旅立つ人たちの原型は、海をわたる蝶なのかもしれない。
伝へて習はざるか。
千夜千冊996夜 王陽明『伝習録』では、『論語』学而の「伝不習乎」を引いて、「伝習」の意味を説いている。雛鳥が飛び方を学ぶように、人が真似て、何事かに集中していくことが「習」の字には込められている。師範が伝えて、師範代が習う。いや役割を超えて互いに伝えて、習う。イシス編集学校では師範や師範代が集って学衆に示すべき指南の方法をめぐる場を「伝習座」と呼び、25年に渡ってイシス編集学校の中だけで180回に渡って行われてきた。
その伝習座が25年の禁を破り、装いを全く新しく、無料でLive配信される第四回目になる。オールイシス編集学校の半期に一度の村立て、一座建立の編集顔見世になる。2026年4月に開催される今回は、どんな伝習座になるのか。その仕立てと見どころを紹介しよう。
<大澤真幸による「世界史の哲学」と「編集工学」のリミックス>
父なる編集工学、母なるイシス。 伝習座のプログラムは2つのメインコンテンツで構成されている。第一部は、「父なる編集工学」としてのISIS co-mission 大澤真幸のライフワークである『〈世界史〉の哲学』、その最終論考と編集工学のインタースコア・セッション。『〈世界史〉の哲学』は、ソクラテスとイエスに始まる古代篇から、中世篇、東洋篇、イスラーム篇、近世篇、近代篇1、2、現代篇1、2と、ここまで9巻に渡って書き続けられてきた。「アメリカという謎」というサブタイトルもつく最新刊の現代篇2。ここで掲げられた「アメリカ問題」は、いまの世界情勢、そして戦後以降続く日本にとっての課題と地続きである。『〈世界史〉の哲学』のその先へ。これまで、編集宣言やユリイカ松岡正剛追悼号、『知の編集工学 増補版』などで、アブダクション・アフォーダンス・アナロジーといった編集工学の3Aを中心に語ってきた大澤真幸が、編集工学を『〈世界史〉の哲学』といかに接続するのか。2026年の世界情勢の行く末と共に、我々の思考をアップデートする機会となる。
「母なるイシス」は、松岡正剛校長講義の語り直し「Re-Mix校長校話」である。今回のテーマは「世界読書義人伝」と題して、[世界読書奥義伝 離]の修了式で三面のスクリーンを使いながら、古今東西の世界読書人を取り上げた高速自在な講義動画を材にとる。過去のレクチャー動画をもとに、参加者が喧々諤々のインタラクティブ・ディスカッションは、2024年に急逝した校長・松岡正剛の編集工学講義を改めて語り直し、再編集することで、松岡正剛を再生させる機会になる。大澤真幸の「世界史の哲学」と松岡正剛の「世界読書の奥義」がどのように重なるのか注目されたい。
<世界読書義人伝と松岡正剛の再生>
前半の大澤真幸によるインタースコア・セッションでは、左大臣、右大臣ならぬ左近・右近という二人の進行役が用意されている。いや、進行というよりはノイズかもしれない。大澤の講義レクチャーに突如割って入り、想定外の問答が差し挟まれる。単なる講義を超えた新たなイシス流スタイルである。今回の右近左近は、イシス編集学校のいまを牽引する新井陽大籟記、中村麻人響事の二人がつとめる。籟記と響事、イシス編集学校の新たなロール名をもつ二人。歴史を専門とする新井籟記、数学を専門とする中村麻人響事。バックボーンをもつ右近左近の問いが、大澤社会学とどんな化学反応を起こすかに注目されたい。
後半のREMIX校長校話「世界読書義人伝」に登場するのは三人官女ならぬ三匠。イシス編集学校の守破離の講座リーダーである鈴木康代学匠、原田淳子学匠、太田香保総匠が揃い踏みで、松岡正剛の校長講義を甦らせる。忖度なしの守破離エディットマッチ、いきなり名指しされた師範、師範代は果たして見事に切り返せるのか。全体の進行は、YouTube「おっかけ千夜千冊ファンクラブ」でお馴染み、イシス編集学校 林頭・吉村堅樹がつとめる。
ISIS co-mission大澤真幸初めての伝習座講義。新しい伝統、歴史の編集工学、知のエンターテインメントの開闢。イシスの最先端が見れる伝習座のライブにどうぞご参集ください。
伝習座 「『〈世界史〉の哲学』最終論考 -歴史を問うことの意味-」
■日時:2026年4月4日(土)14:00〜18:00
■内容:大澤真幸講義「『〈世界史〉の哲学』最終論考 -歴史を問うことの意味-」、Remix校長校話「世界読書義人伝」
■参加方法:お申し込み不要。どなたでも参加いただけます。YouTubeイシスチャンネルにて14:00からライブ配信開始予定です。時間になりましたら下記にアクセスください。
イシスチャンネル 伝習座『〈世界史〉の哲学』最終論考 -歴史を問うことの意味-
https://www.youtube.com/watch?v=ITOhaoOGxWM
▼YouTubeイシスチャンネル
https://www.youtube.com/@es_event/featured
*伝習座LIVE配信はYouTubeライブで無料配信。事後アーカイブ視聴は有料配信(3500円・税別、松岡正剛校長講義動画付き)になります。
過去伝習座映像はこちらからご購入いただけます。
津田一郎登壇「カオス理論と物語編集」
田中優子登壇「江戸のあやかり編集力」
今福龍太登壇「花綵列島の新たなる憲法」
エディスト編集部
編集的先達:松岡正剛
「あいだのコミュニケーター」松原朋子、「進化するMr.オネスティ」上杉公志、「職人肌のレモンガール」梅澤奈央、「レディ・フォト&スーパーマネジャー」後藤由加里、「国語するイシスの至宝」川野貴志、「天性のメディアスター」金宗代副編集長、「諧謔と変節の必殺仕掛人」吉村堅樹編集長。エディスト編集部七人組の顔ぶれ。
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コメント
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2026-03-10
平和に飛び交うモンシロチョウも、地球史スケールでは、ほんの少し前に日本にやって来たばかりのパイオニアらしい。押さえきれない衝動に駆り立てられて彼方に旅立つ人たちの原型は、海をわたる蝶なのかもしれない。
2026-03-05
かつて「大人マンガ」というジャンルがあった(詳しくは「マンガのスコア 園山俊二」参照)。この周辺には、ファインアートと踵を接する作家たちが数多く存在する。タイガー立石もその一人。1982年、工作舎から刊行された『虎の巻』は、まさしくオトナのためのマンガの最極北。いいお酒といっしょにちびちび味わいたい。
2026-03-03
桃の節句に、桜の葉が好きなモモスズメ。飼育していると、毎日、たくさんの糞をするが、それを捨てるのはもったいない。こまめに集めて珈琲フィルターでドリップすれば、桜餅のかほりを放つ芳しき糞茶のできあがり。