ハンノキの葉のうえで、総身を白い菌に侵されて命を終えていたキハダケンモンの幼虫。見なかったことにしてしまいたくなるこんな存在も、アングルを変えてレンズを向けてみると、メルヘン世界の住人に様変わりする。
イシスの学びは渦をおこし浪のうねりとなって人を変える、仕事を変える、日常を変える――。
「町の小さな動物病院の、院長で、社長で、総務です」という梁島綾乃さんは、「飼い主さん達の心に届く言葉を操れるようになりたい」とイシス編集学校の門をくぐった。
梁島さんは稽古で何を得たのか。稽古模様をエッセイでお届けします。
■■病気の動物・飼い主・獣医師の三位一体
ヒトとのコミュニケーションが一番難しい。動物が好きで、生命科学に医療という立場から関われる小動物臨床という仕事が好き、でもヒトとの付き合いには苦手意識がある。臨床獣医師としては、ある意味ステレオタイプの人間なので、病気の動物・飼い主さん・獣医師の三位一体の関係を上手く築いていくためにも、飼い主さん達の心に届く言葉を操れるようになりたい、そう思ってイシス編集学校の門をくぐってからそろそろ4年になります。
▲都内の動物病院の院長兼獣医兼社長兼総務。一緒に写る猫は、11才になる愛猫ボンちゃん。
とは言え、編集の型と聞いて、言葉というパズルを組み立てていく無機質な技術のようなものを想像していたので、特に基本コース[守]の用法1では、わたし自身を情報として解きほぐして、自分の中に眠っていた多様なわたしを回答とすることは、主にテキストでのやり取りとは言え、生来、人見知りの身としては、おっかなびっくりのていでした。それでも、次々に開けられていく「型」に興味津々で、楽しく稽古を進めて行くうちに、何より編集の発生源が「わたし自身」であることが、実感できたのでした。
教室を見渡せば、一つの問いに対して、それぞれの「わたし」を地にした様々な回答が飛び交い、共読して行く中で、わたしにはない、多様な「たくさんのわたし」に目が向くようになりました。
▲[守]002番の回答にも登場した「富嶽三十六景神奈川沖浪裏」の爪とぎ。モデルの愛猫は、2才の三毛猫きなこちゃん。
仕事をしていく中で、説明したことをわかってもらえない、時には、こちらの想定外の方向から解釈されてしまうと言うのが、常に悩みの種なのですが、そういう齟齬が生じるのが、単に、コミュニケーションの技術の問題ではなく、多様な「わたし」を感じ取ることが出来ずにいた結果であったのだと気付かされたのでした。
文・写真/梁島綾乃(48[守]はいから官界教室、48[破]オリーブ・ビリーブ教室、49[破]藍染発する教室)
編集/角山祥道
エディストチーム渦edist-uzu
編集的先達:紀貫之。2023年初頭に立ち上がった少数精鋭のエディティングチーム。記事をとっかかりに渦中に身を投じ、イシスと社会とを繋げてウズウズにする。[チーム渦]の作業室の壁には「渦潮の底より光生れ来る」と掲げている。
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コメント
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2026-02-10
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2026-02-05
誰にでも必ず訪れる最期の日。
それが、どのような形で訪れるかはわからないが、一番ありえそうなパターンの一つが終末介護病棟での最期じゃないだろうか。沖田×華先生と言えば、自虐ネタのエッセイマンガでよく知られるが、物語作家としても超一流だった。深く死に向き合いたい方は、是非ご一読を。
(沖田×華『お別れホスピタル』)
2026-02-03
鋸鍬形、犀兜、鰹象虫、乳母玉虫、碁石蜆、姫蛇の目、漣雀、星枯葉、舞妓虎蛾、雛鯱、韋駄天茶立、鶏冠軍配、鶉亀虫。見立ては、得体の知れないものたちを、手近に引き寄せたり、風雅に遊ばせることの糸口にもなる。