自らの体内から這い出したコマユバチの幼虫たちが作った繭の塊を抱きしめるシャクトリムシ。科学者は「ゾンビ化されて繭を守るよう操作されている」と解釈するけれど、これこそ「稜威」の極北の姿ではないだろうか。
感門団をご存じだろうか。感門之盟をはじめとするイシスイベントの表裏を支えるボランタリー集団だ。首にまいたドットのタイが目印で、本日14日、明日15日の大感門も彼らが支える。
2012年、有志によって発足したのだが、その中心メンバーこそ、今回の感門団長でもある村井宏志さんだ。
イシス出身者によるエッセイ「ISIS wave」。今回は村井さんによる「感門団というロールの意味と意義」をお送りします。
■■講座の外から「編集の風」を吹かせる
例えば、仕事でもプライベートでも、何かの打ち合わせや、やり方を決めていくときに、イシス編集学校で学んだ「ルル3条(ルール・ロール・ツール)」や「ダンドリ・ダントツ」や「階層化」といった概念・編集の方法を、その場のメンバーが全員知っていたら、どれだけ「話が早い」だろうか。感門団って、まさにそういうことだと思う。
「村井さんは、きっとこういうことが好きなんじゃないかなと」
前守学匠の冨澤陽一郎さんに言われて、[守]の師範代の時に感門団の前身とも言えるアフ感幹事団なるものに放り込まれたのが、そもそものスタートだ。冨澤さんの人を見る目はやはり鋭い。学生の時からサークルの飲み会幹事やら、友人の結婚式の二次会を取り仕切ってきたことなんて話したことなかったはず。
しかし、ここはイシス編集学校。自分の思うものとはずいぶん違っていた。レジェンドな師範・師範代が集まる、アフ感幹事団のラウンジは超高速で発言が飛び交い、あっけにとられた僕は入り込む隙もなく、一気に様々なことが決まっていった。
今思えば、何をどう決めるか、それをどう行うかを考えるにあたって、その裏には編集の型が動いていたんだと。ここはこの型を使ってなんて言わないけど、それぞれが共通の概念のもとで交わし合うから「話が早い」。
感門之盟やアフター感門之盟を動かしていくにあたっての型もある。受付は? 誘導は? 休憩時間の準備は? ロールが具体的になれば、必要なツールが見えてきて、動くためのルールができあがる。もちろんそれは固定的なものではなく、その場の卒意も含めて有機的に編集可能なシステムだ。そして引き継がれたルル3条は、次の担当者が再編集して、生きた型となってまた継承されていくいく。
イシス編集学校の花形は、やはり師範代だ。そして学匠や番匠、師範も含めて、毎期の講座を動かしていくメンバーは自身のロールに誇りも思いも持って関わっていると思う。だからこそ学衆のみなさんへ「編集の面白さ」と伝えていくことができているのだろう。ロールは人を創る。でも講座のロールだけが全て? 講座の外から編集の風を吹かせることもできるんじゃないの? それなら今、師範代でも師範でも学衆でもなくても、学んだことを活かしてこの学校に関わっていくこともできるんじゃないの? 感門団はそんな思いがベースにあって、もっとここで何かやってみたいと思う人が集まって形作られている。感門団というロールを纏うことで活かせる「たくさんのわたし」がある。
感門団はイシス編集学校で学んだことの実践の場であり、バーチャルなWebやテキストの世界を飛び出した、リアルな場づくりを体験できる。イベントごとを動かすのは実に編集的だ。なんといっても描いた地の上に多くの人が参加することで、その上にある図が動き出す。場づくりに関わっていくことは、きっと「編集って面白い」という感覚を呼び起こすものなのだろう。
▲村井さんはISISレジェンドの一人として『インタースコア』(春秋社、P.253)にも登場する。
文/村井宏志(19[守]柿八点前教室、19[破]言問三弦教室)
写真/林朝恵(アイキャッチ)
編集/角山祥道
エディストチーム渦edist-uzu
編集的先達:紀貫之。2023年初頭に立ち上がった少数精鋭のエディティングチーム。記事をとっかかりに渦中に身を投じ、イシスと社会とを繋げてウズウズにする。[チーム渦]の作業室の壁には「渦潮の底より光生れ来る」と掲げている。
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コメント
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2026-01-13
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