蛹の胸部にせっかくしつらえられた翅の「抜き型」を邪険にして、リボンのような小さな翅で生まれてくるクロスジフユエダシャクのメス。飛べない翅の内側には、きっと、思いもよらない「無用の用」が伏せられている。
タイムキーパーは原田淳子、ビデオカメラマンは中村麻人だ。
これは、56[守]創守座の裏方の布陣である。イシス編集学校をよく知る者には、[破]講座を統括する原田学匠、花伝所で辣腕を振るう中村師範といったほうが通りが良いだろう。
このように編集学校の講座イベントでは、他講座の指導陣が有志として駆けつけることが少なくない。毎期の感門之盟や別典祭を支え続ける「感門団」も、今や編集学校以外のイベント撮影や演出まで手掛ける「黒膜衆」も、そのように生まれてきた。
今回、タイムキーパーとカメラマンは、ふたりにとっての初めてのロールだったが、原田は、リハーサルから秒単位のバッファを確認しメモを重ね、中村は、入念にカメラの操作や登壇者との位置関係を確認し、その責務を果たした。
しかし、それは驚きではない。花伝所の師範として師範代を育て送り出す中村には、師範代の成長した姿を捉える「目と心のカメラ」が相応しいだろう。学匠として、いつか終わる[守]から次の[破]へと導く原田には、時間を区切り繋げる「ゲート・エディティング」が似合っている。来歴を切り離さず未知のロールに挑み、ふたつの新しい才が目覚めた。
かくして、創守座の一日は、「カット編集」(花伝所でも徹底研究する[守]用法3の型である)され、「クロニクル編集」([破]には時間軸で情報を扱うクロニクル編集術がある)され、イシスの歴史に刻まれた。
文・アイキャッチ:阿久津健
写真:北條玲子
阿久津健
編集的先達:島田雅彦。
マクラメ編み、ペンタブレット、カメラ、麻雀、沖縄料理など、多趣味かつ独自の美意識をもつデザイナー師範。ZOOMでの自らの映り具合と演出も図抜けて美しい。大学時代に制作した8ミリ自主映画のタイトルは『本をプレゼントする』。
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コメント
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2026-01-20
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岡田敦『ユルリ島の馬』(青幻舎)