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日本各地から、海の向こうから、TVカメラを通じて視線が集まる。本番直前に不安と焦燥にかられていた井ノ上シーザー([守]師範。78回感門之盟司会)に対し、その人は舞台脇で「素敵な恰好ですよ」と耳元で囁き、スラックスの裾を直し、舞台へと送りこんだ。甘く官能的な声にぞくっとする。このタイミングでそう言うとは、目配り気配りを完璧に兼ね備えている。本番が始まってからも、カメラがオフとなるや司会席に駆け寄りネクタイの曲がりを直す。無頓着が服を着ていると自他ともに認めている井ノ上は、延髄から脊髄にかけて、恋情で引き裂かれた。
しかし問題は、その人物が武田英裕([守][花]師範、黒膜衆)であったことだ。
▲武田英裕。カツとじを作らせると、カツと卵とネギと出汁を絶妙にからませそうだ。そして出汁は既存の物を使わずに鰹節から茹でるタイプである。
翌日の2022年3月21日の本楼でその事件は起こった。花伝所錬成師範として松岡校長から「(花伝所は)一言でどうだった?」とマイクを向けられた武田はビジネスと花伝について滔々と語ったあげく「すみません、語り過ぎました」と詫びを入れた。ビジネスコンサルタントである武田は論理的であり、無駄は至極省くタイプに見えながら、余剰と過剰に駆られながら裏方の黒膜衆という役割に今回も勤しんだ。その甲斐甲斐しさたるや、誠にあっぱれである。
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多くの人が衝撃を受けたに違いない。幾多の師範代を導いた名手・景山和浩([守]師範)が、卒門式の壇上で涙を流した。その事件は、畑本浩伸師範代(いつもトンネリアン教室)への感門表授与の壇上で起こった。
▲涙を流した景山和浩。茶髪にしたら、いい感じのオヤジ風へイメチェンできるかも。
この事態に[守]学匠の鈴木康代は次のように述べている。
「畑本師範代との関係は、師範でもあれば戦友でもあるし、弟子に稽古をつける師匠でもあって、いろんな思いがこみ上げてきたのでしょう。」
景山は後に井ノ上に吐露した。「感門状授与の時は、自分が泣くのではなく師範代を泣かせるべきなんです。わたしもまだまだですね。」
景山といえば「30点の男」というスティグマ(負の烙印)があるが、そのあっぱれな男気に90点を加算し、「景山120点」としたい。
追記:
感動の涙は美しいとはいえ、以前に大音美弥子(冊匠)と井ノ上シーザーは、「ああいった場面で、泣く人の気が知れない」とくだを巻いたことがある。感極まって涙を出すようなことは、この二人では死んでもないだろう。▲見るからに凶暴なサッショー(左)とシーザー(右)。シーザーの特技は、何かと松岡校長から貰い物を得る事である。
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番匠登板となると、松岡校長から玄々書を授与される。そして白川雅敏(48[守]番匠)の書は「番駱」であった。以前のエディスト記事では、白川“らくだ”の存在感の欠如を憂慮したものだが、ここでらくだは登場した。壇上の白川“らくだ”は、DUSTネタにされることを直ちに察知し、司会席の井ノ上に何かを目で訴えていた。その表情たるや、まことにあわれであった。
▼白川”らくだ”の変幻。徐々に抽象化していく”らくだ”は見ごたえがあり、発見を感じさせてくれる。
”らくだ”、ついに書になる
井ノ上シーザー
編集的先達:グレゴリー・ベイトソン。湿度120%のDUSTライター。どんな些細なネタも、シーザーの熱視線で下世話なゴシップに仕立て上げる力量の持主。イシスの異端者もいまや未知奥連若頭、守番匠を担う。
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