56守で初登板される皆さまへキワメツキのサカイメ画像を。羽化が迫り、翅の模様が透けて見えてきたツマベニチョウのさなぎ。側面に並ぶ赤いハートマークが、学衆さんたちとの激しく暖かな交換を約束しております。
未知奥連(みちのくれん)の弦主・森由佳はジュンク堂仙台TR店をぐるーっと一周していた。弦主の生業は、銀行の内勤だ。営業経験はない。落語家や漫画『ONE PIECE』(尾田栄一郎、集英社)のキャラクターが印刷されたレジ横のチラシを横目にスタッフの様子を窺う。”はじめてのおつかい”ならぬ”はじめての置きチラシ”のゴングが鳴る。
スマイル、スマイル…と頭の中でつぶやきながらレジの女性に近づき、エディットツアースペシャル(ETS)のチラシを見せる。にこやかな対応にホッとした束の間、代わって副店長が現れた。「講演はNG、本に関することならOK」。これが副店長の提示した置きチラシの基準だった。森はあくまで喰い下がる。「編集」というキーワードを武器に、ついに美術棚の一隅を勝ちとった。
仙台では、古書店でもETSのチラシを手に取ることができる。アート、絵本、文学を中心に選書された古書とカフェが半々のスペースで隣り合う火星の庭だ。『遊』のバックナンバーも時々見かける。それから、出版社荒蝦夷がこの春オープンした古本あらえみし。編集者である店主が資料として買い集めた古本と、地方出版社の新刊が喜々として雑居している。
こうして未知奥連弦主の”はじチラ”は無事に幕を下ろした。されど、撒き散らしてこそのチラシだ。寝ても覚めても四六時中、森の都にひそむ想像力に目を凝らし、散らして集め、集めて結ぶ。2019年8月2日現在、申し込みは4名!
林 愛
編集的先達:山田詠美。日本語教師として香港に滞在経験もあるエディストライター。いまは主婦として、1歳の娘を編集工学的に観察することが日課になっている。千離衆、未知奥連所属。
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