道ばた咲く小さな花に歩み寄り、顔を近づけてじっくり観察すると、そこにはたいてい、もっと小さな命がきらめいている。この真っ赤な小粒ちゃんたちは、カベアナタカラダニ。花粉を食べて暮らす平和なヴィランです。
37[花]プレワークは「千夜多読仕立て」が出題された。花伝師範達のお薦めをベースに深谷もと佳花目付がセレクトし、今期を捉えた10の千夜が、入伝生の旅支度だ。
37[花] 千夜多読仕立て 師範エディション10夜
1『枕草子』清少納言(419夜)[面影日本]
6『かくれた次元』(213夜)[編集力]
7『ミーム・マシンとしての私』(647夜)[情報生命]
9『エクリ』アルベルト・ジャコメッティ(0500夜)[全然アート]
10『異界を旅する能』(1176夜)[芸と道]
web版:『ワキから見る能世界』(1176夜)
このワークは、数日で10夜の千夜千冊を通読する。求められるのは、多読と高速要約。編集コーチ(師範代)の基礎鍛錬として、入伝生30名の共読が動いている。開講してたった数日の間に連打されるワークだが、出題されるや否や仮留め回答が踊り始めた。ある入伝生は先頭切って要約を投げ、これ位でいいやと満足することなく「ここから先へ突入する」と勢いづく。さらに思考の癖と向き合う者や、遊びモードを試す者など、花伝所はプレワークから沸騰中だ。
最初のお題でこれまでの稽古を振り返り、続くこのワークでは今期の花伝所のテーマやヴィジョンまでも提示されている。”後ろを見て前を見る”ひねりが生む回転力が、花伝所に向かう弾みをつけてゆく。
この厳選10夜は、入伝生に「あいだ」を仄めかし、「問い」を生む。「日本という方法」を能や武道から読み解く千夜から、情報文化の方法や仕組みの千夜へと、背中を押したり、橋渡しをしたり、方法の継承が今期もうごく。入伝生は、能のワキを擬いて学衆を異界に誘うか、大工を擬いて「編集棟梁」のノミを振るか、はたまたジャコメッティのように知覚と表現のあいだに分け入るか。10の千夜を薪にして37[花]の「終わりなき編集」が狼煙をあげている。
文 内海太陽(錬成師範)
アイキャッチデザイン 阿久津健(錬成師範)
イシス編集学校 [花伝]チーム
編集的先達:世阿弥。花伝所の指導陣は更新し続ける編集的挑戦者。方法日本をベースに「師範代(編集コーチ)になる」へと入伝生を導く。指導はすこぶる手厚く、行きつ戻りつ重層的に編集をかけ合う。さしかかりすべては花伝の奥義となる。所長、花目付、花伝師範、錬成師範で構成されるコレクティブブレインのチーム。
「乱世こそ花伝所」。松岡正剛校長の言葉を引用し、花目付の林朝恵が熱く口火をきる。44[花]の問答条々、式目の編集工学講義は花伝所をけん引するツインターボ、林・平野の両花目付のクロストーク形式で行われた。2025年10月2 […]
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【書評】『アナーキスト人類学のための断章』×4× REVIEWS 花伝所 Special
松岡正剛いわく《読書はコラボレーション》。読書は著者との対話でもあり、読み手同士で読みを重ねあってもいい。これを具現化する新しい書評スタイル――1冊の本を数名で分割し、それぞれで読み解くシリーズです。今回は、9月に行われ […]
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コメント
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2025-11-25
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2025-11-18
自ら編み上げた携帯巣の中で暮らすツマグロフトメイガの幼虫。時おり顔を覗かせてはコナラの葉を齧る。共に学び合う同志もなく、拠り所となる編み図もなく、己の排泄物のみを材料にして小さな虫の一生を紡いでいく。
2025-11-13
夜行列車に乗り込んだ一人のハードボイルド風の男。この男は、今しがた買い込んだ400円の幕の内弁当をどのような順序で食べるべきかで悩んでいる。失敗は許されない!これは持てる知力の全てをかけた総力戦なのだ!!
泉昌之のデビュー短篇「夜行」(初出1981年「ガロ」)は、ふだん私たちが経験している些末なこだわりを拡大して見せて笑いを取った。のちにこれが「グルメマンガ」の一変種である「食通マンガ」という巨大ジャンルを形成することになるとは誰も知らない。
(※大ヒットした「孤独のグルメ」の原作者は「泉昌之」コンビの一人、久住昌之)