『絵師ムネチカ』から目が離せない。天才は往々にして何かが欠けている。そしてそのこと自体がまた天才の天才性を引き立たせる。周囲の人々の鼻面を引き回し、人生を変えていく「天才少年」のデモーニッシュな魅力を容赦なく描いた怪作。
これまでにも「神童」もの(?)を数多く描いてきたさそうあきら先生だが、ご本人は極めて方法に自覚的な職人タイプ。長年、マンガ学科の教員として教鞭をとり、『マンガ脚本概論』などの技法書にも定評がある。
三度見した。アタマにつけた狐のお面と、Tシャツの胸部についた三日月と3つの星と、ジャケットに居ついた白鳥を、である。つきものがおちた、55[守]つきもの三昧教室、畑本ヒロノブ師範代の衣装の秘密を明かしたい。
55[守]の期間中、畑本師範代は京都の伏見稲荷大社を “二度” 訪れていた。講座が開講する5月と卒門間際のことである。お題三昧の日々と学衆の卒門を祈願するべく、関東からはるばる足を運んだ。5度目の師範代だが、初心の花は枯れない。
“地球星人” としての編集宣言でスピーチを締め括った
師範代スピーチで壇上に上がる畑本師範代。ニヤッと上がる口角と、頭に乗せた狐のお面がチャームだ。衣装をよく見ると、ジャケットには鶴のような刺繍の鳥が3羽ほど、左胸の辺りを舞っていた。
左胸のアップ
711年の2月、”お稲荷様” が初めて『山城国風土記』に登場する。秦伊呂具がお餅で作った的に弓を当てると、そこに宿っていた神霊がお餅を白鳥に変化させた。白鳥は近くの “伊奈利山” に飛び、降り立った所に稲が実ったという。
狐は企みのエディターだ。畑本師範代曰く「衣装には花鳥風月を星座のように散りばめた」。38番のお題を経た学衆は、お餅から稲穂へと変化した。彼は「もちと白鳥の伝説」という物語を借りて、学衆を55[破]への大飛行に送り出したのだ。
本日(9/21)、つきもの三昧教室は角川武蔵野ミュージアムで汁講を開催した。感門之盟の次の日に、リアル汁講をくっつけた。これぞ、三昧だ。聞けば、予備のTシャツが一枚余っているらしい。畑本師範代のカバンの中で、うずうずしていたはずだ。
遊撃せよ、さらば与えられん!
本楼躙り口側の灯籠に「三昧線」
アイキャッチ/阿久津健
文/北川周哉
ちなみに、10月6日(月)から「物語講座」が始まる。畑本師範代は「地球星人服従 文叢」の師範代となる。4期連続、6度目、の師範代登板である。[破]講座「物語編集術」の先に、「物語講座」が待っている。
Info
[遊]技法研鑽コース 「物語講座」第18綴
https://es.isis.ne.jp/course/yu-narrative
■期間:2025年10月6日(月)~2026年2月1日(日)
ライブ稽古「蒐譚場」2025年12月13日(土)
編集工学研究所(本楼)
■資格:[破]応用コース修了者(突破)以上
■プログラム:窯変三譚/トリガー・クエスト/編伝1910
■お申込み ※再受講割引あり。
https://shop.eel.co.jp/products/es_yu_mono_018
イシス編集学校 [破]チーム
編集学校の背骨である[破]を担う。イメージを具現化する「校長の仕事術」を伝えるべく、エディトリアルに語り、書き、描き、交わしあう学匠、番匠、評匠、師範、師範代のチーム。
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コメント
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2026-03-19
『絵師ムネチカ』から目が離せない。天才は往々にして何かが欠けている。そしてそのこと自体がまた天才の天才性を引き立たせる。周囲の人々の鼻面を引き回し、人生を変えていく「天才少年」のデモーニッシュな魅力を容赦なく描いた怪作。
これまでにも「神童」もの(?)を数多く描いてきたさそうあきら先生だが、ご本人は極めて方法に自覚的な職人タイプ。長年、マンガ学科の教員として教鞭をとり、『マンガ脚本概論』などの技法書にも定評がある。
2026-03-17
目玉入道、参上。
体を膨らませ、偽りの目玉(眼状紋)を誇張して懸命に身を守ろうとしているのは、カイコの原種とされるクワコの幼虫。クワコの繭から取れるシルクは、小石丸のそれに似て細く、肌触りがよいらしい。
2026-03-10
平和に飛び交うモンシロチョウも、地球史スケールでは、ほんの少し前に日本にやって来たばかりのパイオニアらしい。押さえきれない衝動に駆り立てられて彼方に旅立つ人たちの原型は、海をわたる蝶なのかもしれない。