【Playlist】読書のお供パリポリ5選(サッショー大音)

2022/01/25(火)18:30
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誕生日にケーキを食べ、ろうそくを吹き消すのはせいぜい小学生まで。大人の見本、松岡正剛校長には平常心で読書と煎餅を渋茶で満喫していただきたい。そんな5選、お口に合いますかどうか。

 

 

◆ぽんぽん煎餅味「編集かあさん 食べてよいものだめなもの」

「紅茶に浸したプチット・マドレーヌ」だけが記憶の味ではありません。ハイハイの昔、手の届く限りのものを口に入れた時代、母のニットから落ちた綿ぼこり混じりの<ぽんぽん煎餅>のカケラこそ、ものごころつく前の、狩猟採集の成果。免疫ネットワークを養ってくれた他者との出会いを描出したのは広島の浦澤美穂師範。


 それでは、「じゃがりこ」3連発。じゃがりこと言えば、『パンセ』な新幹線だけに、旅のお供のイメージが強いですね。


 

◆じゃがりこたらこバター味【このエディションフェアがすごい!40】「カモシカ書店(大分市)」

新刊も古書も、ほろ苦ブレンドも濃厚ガトーショコラも楽しめるカモシカ書店は岩尾洋装店の2階。店に収まり切れない古書が洋装店の店先にも横にも並ぶ景色が壮観ですが、大分のアーケード商店街では案外日常的? ほぼ手造り店内のメインは「軍艦」。ブックフェアがそれを率いる灯台と見立てたレポーターは田中さつき師範代。

 


◆じゃがりこじゃがバター味「関西弁のミク太郎 憧れ力で起動する編集少年(イシスをDAN ZENにする7人【iGen004】)」

初音ミクを知らなかったミク太郎師範代の凄さは、地と図を反転させつづけるところ。本記事でもその面目をいかんなく発揮。立ち上げたい企画「七輪囲み」も大概だが、『情報の歴史21』の注目歴象が1992年とは何事ぞや。新版追加の1996年以降に絞って答えんかい! と老婆心はおののくばかりであった。貴公子上杉番記者と双璧のシレッとズレ加減はじゃがにじゃがを重ねたじゃがバター味か。

 

 

◆大人のじゃがりこわさび醤油味【三冊筋プレス】「”つげ”ザーしようぜ〜! 《A面》」

 

「旅する三冊」をつげ義春尽くしで時空間ともに堂々巡らせてみせた金副編集長。シュールな私小説タッチで粘り着く暑苦しさを再現させ、出口のない箱蒸し風呂に入ってしまった気分の読者に「日々絶筆」な井上有一の書だけでなくタイガー立石までぶつけていく。その手腕、大人ならではの2段階が効いてきます。


 お口直しは、塩煎餅とまいりましょう。はい、三原堂でご準備させていただきました。

 


◆塩煎餅味「マンガのスコア LEGEND41 長谷川町子」

 

読書の多様性を語るのに、<塩煎餅>がここまで引き合いに出された集団がかつてあったでしょうか? O.ヘンリは木炭デッサンに食パン消しゴムという画家の習慣を皮肉な短編に編み、堀江画伯は天才漫画家町子さんの出不精な性向に注目。アウトプットすればするほど情報が自然に入ってくる法則に、旅嫌い校長の面影が二重写しされるのでした。

 

  • 大音美弥子

    編集的先達:パティ・スミス 「千夜千冊エディション」の校正から書店での棚づくり、読書会やワークショップまで、本シリーズの川上から川下までを一挙にになう千夜千冊エディション研究家。かつては伝説の書店「松丸本舗」の名物ブックショップエディター。読書の匠として松岡正剛から「冊匠」と呼ばれ、イシス編集学校の読書講座「多読ジム」を牽引する。遊刊エディストでは、ほぼ日刊のブックガイド「読めば、MIYAKO」、お悩み事に本で答える「千悩千冊」など連載中。