編工研が、満を持してニュースレターの配信をスタートしました!
「編集工学研究所Newsletter」で、われらが社長の安藤昭子がコラム連載を始めました。遊刊エディストでは、この社長コラム「連編記」をお届けしていきます。
「連編記」では毎回、一文字の漢字を設定。この一文字から連想される風景を、編集工学研究所と時々刻々の話題を重ねて編んでいきます。
そういえば、安藤社長は今週末の感門之盟にも登場される予定。なんでも、バーのママになってやって来るとか、来ないとか。安藤さんは泣く子も黙る酒豪だって、みなさんご存知でしたか……?
ぜひ感門之盟と「連編記」を、合わせてお楽しみください。
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(「連編記」配達人:山本春奈)
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「連編記」 vol.1
「間」
語るべきことは、語り得ない「あいだ」にある
コロナ禍、デヴィッド・グレーバーの『ブルシット・ジョブ――クソどうでもいい仕事の理論』(岩波書店)がたいへん話題になりました。みんながうすうす感じていた「仕事をめぐる不都合な真実」とそのメカニズムを、人類学者・グレーバーの鋭利な切込みによって白日のもとに晒した快著です。リモートワークへの移行もあいまって、多くの人々の仕事観を揺らしました。 “民主主義は今、それが当初生まれた場所に帰りつつあるように見える。
◆ 日本には古来、「間(あいだ・ま)」の文化が根付いてきました。「間」は空間的には「あいだ」、時間的には「いとま」。時空間を同時に捉え、その何かと何かの間の状態を指すものです。 ジャック・デリダが「差延(さえん)」と名付けたような概念を、日本では「間(ま)」として身体感覚に備えてきました。間に合う、間が悪い、間が持たない、あっという間、間に合わせ……。納会や宴会の「中締め」として行う手締めの「イヨーッ、ポン」、どんなに大勢でもたいてい気持ちよく「ポンッ!」と揃います。アメリカ人にこれをやってもらうと、「イヨー(ワン・ツー・スリー)ポン」とあいだの拍をカウントする。日本人はこれを「間合い」で取っている。そういう身体感覚です。
“「間(ま)」のような時間と空間を含有している概念がヨーロッパにはない。長谷川等伯の松林図屏風の余白のような「描かれない空間」を、ヨーロッパでは「ネガティブスペース」と言います。”(メディア美学者・武邑光裕さん) 「ない」という状態が「ある」と捉える日本の「間」感覚は、たいそう翻訳が難しい。「間(ま)」は経路・プロセスと考えると通じやすくなるそうです。 “二人以上集まると「世」というが、それらが重なり合っているものを「世間」と言う。「世間」の全体は見えないけれど、私たちは「間」で「世」を感じあっている”(江戸文化研究者・田中優子さん) グレーバーの言う「あいだから創発してくる民主主義」が、江戸の浮世にはそこかしこで躍如していたそうです。 “語り得ないことほど、語るに足る。そこにあるのがまさに「間」です。こうした日本の概念には西洋のスタンダードをひっくり返すポテンシャルがある”(社会学者・大澤真幸さん) 日本人が無意識に抱える見えない資産を、胸を張ってグローバルに持ち出すべき、と大澤さんは指摘します。 安藤昭子(編集工学研究所 代表取締役社長)
◆編集工学研究所からのお知らせ■世界の「あいだ」に切り込む半年間、 ビジネスリーダーのための学びのプラットフォーム「Hyper-Editing Platform[AIDA]」が、今年も10月から開講します。
2023年8月8日、一夜限りの[AIDA]祭りが開催されました。普段は受講者のみに閉じられた場であるHyper-Editing Platform[AIDA]で何がどのように交わされているのかを、武邑光裕さん、田中優子さん、大澤真幸さんらAIDAボードメンバーの見方を交えて交わし合いました。 |
山本春奈
編集的先達:レオ・レオーニ。舌足らずな清潔派にして、万能の編集ガール。定評ある卓抜な要約力と観察力、語学力だけではなく、好奇心溢れる眼で小動物のごとくフロアで機敏な動きも見せる。趣味は温泉採掘とパクチーベランダ菜園。愛称は「はるにゃん」。
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編工研社長コラム「連編記」 vol.6 「代」:「代わり」に潜むリスクとチャンス
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