昆虫観察には、空間の切り取りに加えて、時間軸を切り裂くハサミをタテヨコ自在に走らせるのもおすすめ。この天使のようなミルク色の生き物は、数十分間の期間限定。古い表皮を脱ぎ捨てたばかりのクロゴキブリです。
42[破]アリストテレス賞・物語編集術の選考結果が、2019年7月25日に発表された。
今回の特徴として、翻案の作りこみに時間をとり、作品の仕上げが駆け足になってしまったことがあげられる。全体講評で相部師範は「アニーリング」という量子コンピューターの手法を紹介し、「エネルギーの高さは、そのままでは不安定なものです。物語における各要素のつながりを最適なものに落ち着かせるためには、どうしても時間が必要です」と、時間をかけた推敲の大切さを伝えた。
そうした課題が残るものの、読ませる物語を書き上げた以下の人々が各賞大賞を受賞した。
アリストテレス賞大賞
『浩太郎の海』天野陽子さん(空色オイコス教室)
(原作:スター・ウォーズ)
◇あらすじ
敗戦から数年。父をなくした中学生の浩太郎は、青森から上京し、叔父の映画館を手伝う。寡黙な映写技師と映画を通して心を通わせていくが、そこへCIEの検閲が踏みこんでくる。
◇講評(抜粋)
父の喪失を抱え、時代に翻弄されながらも抑圧と解放のはざまを開拓しようと未来へ向かう少年の姿が、迷いのない確かな言葉で描かれます。(原作の)キャラクターの特徴と役割が的確に反映され、クライマックスへとまっすぐに向かっていくストーリーの構造も明確でした。なによりも、主人公の迷いと成長がきちんと描かれていることが、高い評価へとつながりました。(評:植田フサ子師範)
アリス賞大賞
『わたりろうか』枡谷礼路さん(MMプリテンダー教室)
(原作:男はつらいよ)
◇あらすじ
中学校のわたりろうかに居場所を見つけた自閉症のゆうと。同級生の女の子はゆうとの存在によって救われる。彼女との出会いを通して、ゆうとの日常が少しずつ変わっていく。
◇講評(抜粋)
ゆうとと「彼女」の間には、寅さんとリリーのような互いの思いのすれ違いによる争いの場面はありません。しかし、学校に居場所がない二人の心と心がふれあっても、ゆうとがわたりろうかから見るのが好きな電車を「彼女」は見ていなかった。ささやかなものごとが丁寧に紡がれた物語世界のなかでは、たったそれだけのことが胸に迫るのです。ゆうとのおもいに寄り添い、読者の心に届ける枡谷さんの珠玉の語りを讃え、アリス大賞をお贈りします。(評:森美樹評匠)
テレス賞大賞
『勿忘紅的人民帽』加藤茂さん(破顔四笑教室)
(原作:男はつらいよ)
◇あらすじ
北京の外国語大学に赴任した日本語教師・車田と学生・王琅との交流の物語。1989年の天安門事件を下敷きに、王琅を戦車の前に立ちはだかるタンクマンになる設定とした。
◇講評(抜粋)
(タンクマンの)謎が蝶番となって翻り、自らの足で人生を歩み出すリリーを引き受け、自由への渇望と揺らぐことのない意志を持った学生・王琅へと結実しました。天安門事件から30年。ラストは手紙とともに送られた血痕を残す人民帽で結ばれ、自由のために殉教することも厭わぬ王琅の一途さを託した演出が巧みでした。事件当時の学生たちの切実を伝えた本作にテレス大賞を贈ります。(評:渡辺高志師範)
吉野陽子
編集的先達:今井むつみ。編集学校4期入門以来、ORIBE編集学校や奈良プロジェクト、[離]火元組、子ども編集学校、多読スペシャルなどイシスに携わりつづける。野嶋師範とならぶ編集的図解の女王。
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コメント
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2026-02-24
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2026-02-19
棚下照生。この忘れられたマンガ家が、最近、X(ツイッター)で話題になっていた(なぜかは知らないが)。大人漫画のタッチで劇画を描くという、今となっては完全に絶滅した手法が、逆に新鮮に映るのかもしれない。代表作『めくらのお市物語』は、連載当時、大変な人気で、映画やテレビドラマにもなったのだが、現在では、タイトルに問題アリで、復刊の目途もない。もしも古本屋で見かけることがあったら絶対買いです。
2026-02-17
小川の水底での波乱万丈を生き抜き、無事に変態を遂げた後は人家の周りにもヒラヒラと飛んできてくれるハグロトンボ。「神様とんぼ」の異名にふさわしく、まるで合掌するかのように黒い翅をふんわり広げては閉じる。