教室という「異世界」へ――56[守]開講間近

2025/10/22(水)20:00
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 かなりドキッとした。「やっぱり会社にいると結構つまんない。お給料をもらうから行っておこうかなといううちに、だんだんだんだん会社に侵されるからつらい」。数年前のイシス編集学校、松岡正剛校長の言葉をいまもはっきりとはっきりと覚えている。

 

 「世界モデルが摩耗している。世界が摩耗しているだけではなくて、世界についてのモデルがない」。10月初旬の56[守]の第1回創守座で採りあげた校長講義『知の編集工学』の映像で、ひときわ松岡校長の声が力を帯びたところだ。『知の編集工学』(朝日文庫)では、さらに「《編集》とは、世界モデルを問い直す作業でもある」と語る。

 私たちは、どのようなときも、無自覚のうちにさまざまな「世界」を想定して話を進めている。世界モデルがないとお互いの話が進まない。世界モデルにずれがあると、食い違いが生じて衝突や排除、そこまでいかずとも、静かな分断が起こりうる。編集稽古を重ねるうちに、いつのまにか合理や効率が最優先される会社モデル、すなわち、グローバル資本主義の勝ち組モデルを前提に生きていたことにハッと気づかされた。名もなき道端の草の楚々とした姿に季節を感じたり、ペースがゆっくりなチームメンバーの言葉が出てくるのを待ったり…、本当は大切にしたいことを「それどころではない」と内側に閉じ込めてきた。コップの使い道を30通り考えたり、40種類の食材を分類したり…、不思議なお題に答えて、師範代からの指南を受け続けると、会社モデルでは回収できていなかったウズウズが頭をもたげてくる。無自覚のうちに支配を受けていた世界モデルを問いなおされていたのだろう。

 

Remix校長講義『知の編集工学』を担当する56[守]福澤美穂子師範、森本康裕師範、阿久津健師範、稲森久純師範

師範から出されたお題について創守座で対話する56[守]師範代たち

 

 「この教室がワールド・モデルと言いきってほしい」。映像の校長メッセージを受けて、吉村堅樹林頭が、56[守]の師範代たちにさらに発破をかける。「教室というワールド・モデルを世界にしていくのは師範代のみなさんです」。ワールド・モデルを立ちあげるための型がルル三条。立ちあげたワールド・モデルに人が入って、コミュニケーションが起きることで、新たな「世界」立ちあがっていくのだ。

 

 どのような世界モデルをもつのか?どのように世界モデルをもつのか? 
世界モデルを選ぶ自由は、私たちの側にあるし、たったひとつの世界モデルに縛られなくたっていい。会社モデルのほかにも、誰彼なしに日常を逸脱する祭モデル、伝統と革新を継承する芸道モデル、勝利に向かってこぞって協働する団体競技モデル…、これぞという世界モデルをいくつも持っていい。そもそも、そもそも世界モデルを立ちあげる自由すら、私たちの手の中にある。


 イシス編集学校の師範代は、型・方法とともに教室という新たな「世界」の立ちあげを託された存在。創守座を終え、半跏グノーシス教室の坂口弥生師範代は「師範代は驚きと発見に満ちた編集界の道先案内人」と捉える。学衆とともに、新たな「界」に足を踏み入れる覚悟を決めた。「教室という小さな世界単位から世界を語りなおす」とないまぜマンション教室の木島智子師範代。回答の一つひとつに潜む輝きを見逃すまいと誓う。「ルル三条の用意を尽くして学衆の編集契機を捉える」(金平ボサノバ教室・岩崎大師範代)、「学衆を教室という異世界へ導き、編集力を高めるという地をぶらさない」(Bメロ瀑布教室・中野恵介師範代)と師範代たちの編集宣言が響く。


 所与としていた「世界」の捉え方を問い直し、編集力が躍動し続ける場へ。56[守]の開講は、10月27日。新たな世界の幕開けに立ちあう好機逸すべからず。

 

(写真/56[守]師範 福井千裕、同朋衆 若林牧子、文/56[守]番匠 阿曽祐子)


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■受講期間:2025年10月27日(月)〜2026年2月15日(日)
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  • イシス編集学校 [守]チーム

    編集学校の原風景であり稽古の原郷となる[守]。初めてイシス編集学校と出会う学衆と歩みつづける学匠、番匠、師範、ときどき師範代のチーム。鯉は竜になるか。