「どろろ」や「リボンの騎士」など、ジェンダーを越境するテーマを好んで描いてきた手塚治虫が、ド直球で挑んだのが「MW(ムウ)」という作品。妖艶な美青年が悪逆の限りを尽くすピカレスクロマン。このときの手塚先生は完全にどうかしていて、リミッターの外れたどす黒い展開に、こちらの頭もクラクラしてきます。

今日は一年の始まりとされている春分の日。頼りない日差しのもと、肌寒く感じる。
さあ、「感門之盟」という名の劇場が開幕した。画面越しにバニー師範、堀田師範代とお会いしつつも、これからその劇場に足を踏み入れるべく家を出た。普段だったらきっと引き受けないであろうインタビューに二つ返事でお答えしたのは、花伝所の田中所長からお声掛けいただいたこと、そして師範と師範代に直接お礼を伝えたかったからだ。引き受けたものの、辺りが薄暗くなる中、心細さも強くなっていく。黒い建物に足を踏み入れるべく中を覗き込むと、中から同じように人がのぞいている。
扉を開けると、所せましと置かれた本や物たちが生きているかのように迫ってくる。ここが本楼。想像していたよりも小さく感じた。それもそのはず、人の波が幾重にも連なり、天井いっぱいまで本で埋もれている。おもちゃ箱をひっくり返したかのような不思議な空間だ。ここが感門之盟の舞台。お互いを讃えあい、励ましあう。歓喜の輪がこだまし、感情の波があちこちに生まれる。空間そのものが生きているように思えた。
目を泳がしていくと、斜め横にアイヌの衣装に身を包んだ堀田師範代がいる。ようやくお会いできた。突破証とセッケンをいただく。ああ、バニー師範も声をかけてくださった。花伝所のインタビューの出番が来た。用意していた質問を全部忘れてしまい、とっさに学衆と師範代の違いを質問する。田中所長は「学衆も師範代も学び続けていくのよ」とおっしゃった。どこにいても何をしても、編集を忘れない限り、学びという旅は続いていく。
最後の松岡校長による校話。同じ空間に居合わせるこの瞬間を噛みしめる。ふと周りを見渡すと、皆がメモを用意し、一つも聞き逃さないよう耳を傾けていた。貪欲で熱狂的。どんなに素敵な言葉を並べても追いつかないぐらい、人を魅了する何かがここにはある。ふと思う「私もいつかここに戻ってこれるだろうか」。
お二人に見送られながら、玄関の扉を開けると、先ほどまでの熱気がうそのように静まり返っていた。グっと力を入れて歩きだした道は夜空の下で輝いて見えた。あれは日常に突如現れる別世界だったのかもしれない。だが、私は確かにその扉を開けたのだ。
文:山田環(47[破]万事セッケン教室)
スクリーンショット:畠山義秀(47[破]万事セッケン教室)
編集:師範代 堀田幸義、師範 新井陽大(47[破]万事セッケン教室)
▼番記者梅澤コメント
エディスト編集部
編集的先達:松岡正剛
「あいだのコミュニケーター」松原朋子、「進化するMr.オネスティ」上杉公志、「職人肌のレモンガール」梅澤奈央、「レディ・フォト&スーパーマネジャー」後藤由加里、「国語するイシスの至宝」川野貴志、「天性のメディアスター」金宗代副編集長、「諧謔と変節の必殺仕掛人」吉村堅樹編集長。エディスト編集部七人組の顔ぶれ。
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因みに、私は大阪育ちなのに、子供の頃から黄色い地球大好き人間です。