木々が色づきを増すこの季節、日当たりがよくて展望の利く場所で、いつまでも日光浴するバッタをたまに見かける。日々の生き残り競争からしばし解放された彼らのことをこれからは「楽康バッタ」と呼ぶことにしよう。
本の市場、本の劇場、本の祭典、開幕!
豪徳寺・ISIS館本楼にて11月23日、24日、本の風が起こる<別典祭>(べってんさい)。
松岡正剛、曰く「本は歴史であって盗賊だ。本は友人で、宿敵で、恋人である。本は逆上にも共感にも、羨望にも失望にもなる」。
そんな本の可能性を展くのは、多読アレゴリアの16クラブ。
本が、写真や着物と交わり、ゲームにも大河ドラマにもなり、沖縄へ鎌倉へ軽井沢へ旅する。
6万冊の本楼+ISIS館での、本のお祭り<別典祭>。
お待ちかねの、本の劇場シリーズ予告編、お見せいたします。
本とホンキで遊ぶ仕掛けづくり
本の可能性を広げる方法を求めて、松岡正剛は、いつも新たな仕掛けづくりを愉しんでいた。
こうして、当時のパンクアーティストのトップであるEP-4の佐藤薫さんと始めたのが「イメージの誕生」でした。松岡正剛が新宿の朝カルで喋るらしいぞと、さっきのセディックの石原くんの部下たちがカメラを3台入れて全面収録してくれました。そこから起こしたのが、のちの『花鳥風月の科学』です。
―校長校話「EditJapan2020」(3/5)より
この朝日カルチャーセンターの連続講座では、語りの言葉と音楽をターゲットに。ともすればそのまま聞き流してしまいがちな講義に即興的な音を重ねることで、参加者の脳に創(キズ)をつけ、認識の流れを揺らしてみせた。遊び心から記憶や連想のシナプスが刺激され、『花鳥風月の科学』制作へと至る過程は「編集は遊びから生れる」姿そのものだった。
では、本と音楽を重ねてみれば、なにが生まれるだろう?
別典祭で、この謎解きに挑むのは、音楽探究倶楽部「音づれスコア」を率いる作曲家の上杉公志とピアニストの瀬尾真喜子だ。9月には第88回感門之盟の冠界式で新教室名発表の先付け旋律を披露したばかり。今回は二日間にわたる本楼プログラム全体を通して生演奏を弾き続ける。
本のホンネを音でひもとく
10月某日、二人は学林局の吉村林頭と別典祭に向けた情報共有を進めていた。
遊刊エディストではエディストライターのリーダーとしてもタクトを振る上杉の楽器はシンセサイザー。曲づくりのイメージを広げるべく、各演目の趣旨や概要、進行、登壇者の”たくさんのワタシ”等々の要素を集め、各演目を彩る音の言語化・方法化へつなげていく。
瀬尾は、クラシック音楽と即興演奏を中心に、トークを交えたスタイルで、ジャンルを超えて幅広く演奏活動を行っている。絵を楽譜に見立て、音やリズムや色や形をピアノの音で表現することも。本楼ではトイピアノとピアニカとパーカッションをグランドピアノに見立てる。曲を入れるタイミング、音の強弱、話の途中に合いの手を入れる倶楽部の有無などを微細に確認し、演目のスタイルを探検しながら、別典祭スコアのイメージを模索していく。
二人が奏でるホンキの旋律を五感で味わえるのは、別典祭の本楼空間だけのお愉しみだ。
第88回感門之盟・冠界式で唯一無二のメロディを奏でる上杉と瀬尾。
どこにもない本のお祭りへようこそ
ーところで吉村林頭、別典祭のテーマってなんですか?
吉村:本の収穫祭だね。ちょうど新嘗祭のころでしょ。本を通じて得たお互いの成果を一同に会し、悦びを分かち合えれば。
ーなるほど。だからイシス編集学校に関わっていない方にも無料で広く開かれるわけですか。
吉村:そうそう。当日近くを通った人も気軽に本楼に立ち寄って本のお祭りを楽しんでもらえると嬉しいですね。
遊刊エディストでは、別典祭開催に合わせ、多読アレゴリアの各俱楽部が準備を進めている本の劇場の催しと見どころを順次ご紹介していきます。どうぞお楽しみに!
|
イシス編集学校「別典祭」(べってんさい)」開催概要 11月は別典祭へいこう! 二日限りの編集別天地?【11/23-24開催】
|
細田陽子
編集的先達:上橋菜穂子。綿密なプランニングで[守]師範代として学衆を全員卒門に導いた元地方公務員。[離]学衆、[破]師範代と歩み続け、今は物語講座&多読アレゴリアと絵本の自主製作に遊ぶ。ならぬ鐘のその先へ編集道の旅はまだまだ続く。
エ・クリ?エ・クラア!花綵にまねび、震えよ【180回伝習座】
ヒキブリ?タマフリ! 9月27日の昼下がり、本楼は三線(サンシン)の音色に包み込まれていた。 イシス編集学校オンライン公開講座第180回伝習座に登壇した文化人類学者・今福龍太はゆったりと語 […]
【84感門】 ISIS co-missionセッション 今福龍太×吉村堅樹 霧のなかで遊び「たます」ものとこころ
ISIS co-missionメンバーの一人である文化人類学者の今福龍太氏が、第84回感門之盟でイシス編集学校林頭吉村堅樹と本質的な学び舎のスピリットについて対談を行った。 。.:*・゚◯。 […]
大感門司会リレー〜桂&浦澤はラストのその先へと駆け抜ける〜【84感門】
第84回感門之盟「番期同門祭」司会リレーのラストを担ったのは、桂大介・浦澤美穂のお二人。 35[守]学衆も[守]の師範も同じタイミングの編集仲間で、2019年に開催された全国エディット・ツアーでは、浦澤担当の広島ツア […]
言葉をはじめて覚えるような幼な心の感覚で編集を/53[守]学匠メッセージ【84感門】
2024年8月25日。第53期[守]基本コースは卒門日を迎えた。学匠・鈴木康代は、各教室を見守りながら、松岡校長の面影を追っていた。康代学匠は、松岡校長の編集的世界観のミームを託されてこの春発足したISIS_commis […]
【83感門】進化し続けるハイパー:第7回P-1グランプリ結果発表
編集は進化し続ける。P-1グランプリもまた進化し続ける。 ポケット・お遍路・障子。 [破]の編集稽古の最後に取り組むプランニング編集術で提案された全プランから選りすぐられたこの三つのテーマからつくりあげるハ […]
コメント
1~3件/3件
2025-11-11
木々が色づきを増すこの季節、日当たりがよくて展望の利く場所で、いつまでも日光浴するバッタをたまに見かける。日々の生き残り競争からしばし解放された彼らのことをこれからは「楽康バッタ」と呼ぶことにしよう。
2025-11-04
56守で初登板される皆さまへキワメツキのサカイメ画像を。羽化が迫り、翅の模様が透けて見えてきたツマベニチョウのさなぎ。側面に並ぶ赤いハートマークが、学衆さんたちとの激しく暖かな交換を約束しております。
2025-10-29
中二病という言葉があるが、この前後数年間は、”生きづらい”タイプの人にとっては、本格的な試練が始まる時期だ。同時に、自分の中に眠る固有のセンサーが、いっきに拡張し、世界がキラキラと輝きを放ちはじめる時節でもある。阿部共実『月曜日の友達』は、そんなかけがえのない瞬間をとらえた一編。