軽井沢風越学園の中学生「編集」でみらいをつくる!【ワークショップレポ】

2023/08/22(火)19:55
img

軽井沢におもしろい学校がある。3歳から15歳までが一つの校舎で学ぶ「軽井沢風越学園」だ。2023年7月5日、イシス編集学校を運営する編集工学研究所から吉村堅樹と八田英子、そしてイシス編集学校の師範で軽井沢在住の中原洋子が風越学園に赴き、「編集」ワークショップ2本、「読書」ワークショップ1本のトリプルワークショップを開催した。この記事では、中学生を対象に行われた編集ワークショップの様子をご紹介する。

 


▲2.2万坪ある敷地の半分以上を森として残し、平屋建てを中心とした一部2階建ての校舎が建つ。校舎は扇形で、扇の「要」にあたるテラスの先には浅間山が見える。

 

風越学園ってどんな学校?

この学校はおもしろいと書いたが、なにがおもしろいのか。たとえば校舎の4倍の面積を有する学校敷地内の森のなかに「どらにゃごほてる」というかわいらしい看板が立っていたり、野原みたいな校庭に古代遺跡のような穴がぼこぼこ掘られていたり、平日昼間の校舎のなかで保護者と子どもたちが一緒にメイクを愉しんでいたり。だが現地を訪れてなによりもおもしろかったのは、学校のど真ん中にライブラリーがあることだ。扉もないし壁もない。ライブラリーの空間が閉じていない。一般的な学校では〈学校のライブラリー〉が校舎のどこかにあるが、風越学園は〈ライブラリーの学校〉と呼んでみたくなる。校庭に物置きがあると思ったら、小さなちゃぶ台と本棚のある小部屋になっていたのにも驚いた。そこかしこに本がある、他に見たことがない学校だ。

▲本、本、本。どこにいっても本だらけ。現在の蔵書は約3万冊ということだがまだまだ空きスペースもたくさんあり、これからの本棚編集もたのしみだ。

 

 

▲風越学園のロゴは「浅間山と軽井沢風越学園の校舎の形、そして本を開いたときの形」だそう。一方、松丸本舗、MUJI BOOKS、近畿大学ビブリオシアター角川武蔵野ミュージアムのエディットタウンなど本棚の企画・設計・選書などを数多く手掛けてきた編集工学研究所のロゴは和綴じの本のイメージで、「ロゴに本があしらわれている」という思いがけない共通点もあった。

 

このおもしろい学校を立ち上げたのが、風越学園の理事長・本城慎之介さんだ。三木谷浩史さんとふたりで楽天を創業し、副社長を務めた経歴を持つ本城さんは「学校をつくりたい」と言って楽天を辞め、30歳で教育の道に飛び込んだ。だが教員免許もない、学校で働いたこともない。人を頼って各地の学校見学に駆けずり回りながら学びを重ね、史上最年少で公立中学校の校長を務めたかと思えば、森のようちえんに衝撃を受けて一スタッフとして働いたりもした。そうした経験を経て2020年に風越学園を開校した本城さんの人生自体が相当におもしろい。そして本城さん、実は2006年にイシス編集学校に入門して第15期[守]基本コースを卒門している。さらに昨年2022年に15年ぶりにイシスの門を叩いて49[守]、49[破]を無事修了し、足を止めずに師範代養成コース[花伝所]にも進んで編集稽古三昧の日々を送っているイシス人でもある。本城さんが編集学校にはまっているらしい…そんな噂を聞きつけた風越学園の先生や保護者のなかにも、イシス編集学校に入門した方がいるほどだ。風越学園には、編集の風が吹きはじめている。

 

▲学校内を歩いていると「しんさん!」と言って子どもたちが寄ってくる場面がたくさんあった。実は筆者は、本城さんが15年ぶりにイシスにカムバックした49[守]の教室で師範代を務めたというご縁がある。イシスでの本城さんはいつも本気で遊んでいて、予想外のハプニングや偶然も面白がれる少年みたいな人だと思っていたが、風越学園でも本城さんは理事長というより少年っぽかった。

 

■中学生が「編集」と出会う

朝9時すぎ、ワークショップの場に子どもたちが集まってきた。「日経STOCKリーグ」に取り組む中学生だ。日経STOCKリーグとは、中・高・大学生を対象に学校教育の場における投資学習の1つのツールとして企画されたコンテスト形式の金融・経済教育プログラムで、毎年数百の学校から2000近いチームが応募している。風越学園では探究の学びに位置づけている「プロジェクト」で、日経STOCKリーグに興味を持った子どもたちがコンテストに挑戦しているという。

 

今年は20名弱の中学生が4チームに分かれて、すでに調査やアイディア出しをはじめていた。それぞれのチームが選んだ投資テーマは「魚×AI」「スマートホーム」「予防インフラ」「遺伝子治療」の4つ。ナビゲーターを担当した学林局林頭吉村は「今日は『編集』という切り口でみなさんの選んだテーマを深めたり広げたりしたい」と言って、中学生の思考にあらたな編集の風を吹かせるワークショップをスタートした。

 

●編集の風その1:起源に遡る、連想シソーラスを広げる

 

「編集」と聞いて、どんなことをイメージをする?と吉村が問いかけると、若者らしく「動画編集」がまっ先に挙がった。イシス編集学校では動画や本やテレビやWebサイトなどの編集作業はもちろん、勉強にも仕事にも家事にも恋愛にも編集が動いていると見ている。インプットとアウトプットのあいだで起こることはすべて編集だ。ただし編集というものをふだん私たちは意識していない。無意識で行っている編集を意識的に行えるようにするのが編集術である。

 

▲ちょっと絵がヘタですが…と言いながら吉村の描いた人の絵に、女の子がマズイ薬を飲んでしまったような顔をしていた。そのあとのワークで愉しそうな表情になったのを見てホッとした(笑)

 

「編集」のイメージを広げたところで、風越学園のライブラリーから持ち出された本が登場した。『起源図鑑』、白川静の『字通』、そして吉村が編集長を務めた『情報の歴史21』だ。たとえば『字通』を使って「道」という言葉の語源を調べると、その言葉が本来持っていた意味が見えてくる。『起源図鑑』や『情報の歴史21』で「家」の発生や変遷を探ることもできる。そんなふうに自分たちが選んだテーマの「起源を遡る」こと、これがひとつ目の編集術だ。

▲偶然だが、ぜんぶ本が黄色い。

 

つづいて連想ゲームに全員でチャレンジした。「魚×AI」チームは「魚」、「スマートホーム」チームは「家」や「ホーム」、「予防インフラ」チームは「道」、「遺伝子治療」チームは「医」や「療」や「ケア」という言葉から、思いつくままにイメージを広げていく。

 

短時間だったが、子どもたちの柔らかな連想力であっという間に紙が文字で埋まっていった。各チームからどんな連想が広がったかをひととおり聞いた吉村は、子どもたちの無意識の編集を紐解きながら即席指南で応じる。ここで使われた編集術は「連想シソーラス」という。類語辞典のようなシソーラスだけではなく、もっと遠くへ自由にイメージを広げていく方法だ。こうして凝り固まった情報のイメージをもみほぐしていくことが、あらたな発想を引き出す準備体操となる。

 

▲連想シソーラスでテーマのイメージが広がり、あらたな問いが生まれていった。

「魚×AI」チーム:情報は単独であるのではなく「対」や「セット」で見ることができる。魚は「水」とセットになっているよね。じゃあ水はどこからきているか。そう、山とか森。このチームは山や森のことも考えてみるといいんじゃないか。

 

「スマートホーム」チーム:家族、家庭、家事、家業など「家のつく熟語」から広がるイメージがいろいろあるね。また、現代的な家もあるけれど、家元、伊達家、犬神家のような家もある。これらは「何かを守っている」ようだが、何を受け継いでいるんだろう?「ホーム」の方は、離れていてもホームだと思う場所があるよね。ホームタウンとか。いったいホームってなんだろうね?

 

「遺伝子治療」チーム:「医」「遼」「ケア」という言葉から出発したら、医療に必要な「道具」や、医者・看護師という「役割」や、小児科や内科みたいな「分類」など色々な切り口の情報がつながってきたね。病気を治すだけじゃなく、「時間」を動かすと予防とか未病というのもあるし、「昔」に戻ると古代ならシャーマンがいて祈りのイメージもある。ほかにも十字架という「シンボル」とか、飲む、打つ、切るという「動詞」もあるね。

 

「予防インフラ」チーム:電波の道は電話、情報の道はインターネット、水の道は水道。インフラは「道」とも言えるね。英語にするとロードとかウェイというのもある。トヨタウェイといえば「やり方」「方法」という意味にも広がる。それから予防インフラのインフラというのは、高度経済成長期のものだよね。高度経済成長期のモデルをそのまま残していくということでいいのか。本当は何を予防すべきなんだろう。あるいは作りかえた方がいいのか、という視点でも見ていけるといいね。

 

●編集の風その2:《地》と《図》で考える

 

すべての情報はなんらかの《地》に乗っている、そう見るのが《地》と《図》という編集術だ。たとえばウクライナから見た場合、ロシアから見た場合、日本やアメリカから見た場合でいま起こっている紛争の見え方は変わる。どういう《地》で見ているかで情報はまったく異なって見えてくる。

 

ここで吉村は、3つの言葉をホワイトボードに書いた。

 ①どんな未来になりそうか
 ②どんな未来にしたいのか
 ③どんなふうに未来に関わるのか

 

①を《地》にして企画をまとめると、そうなりそうなものにしかならない。「でもみんながやりたいのは②だよね」。あたらしいものをつくりたいなら、なりそうな未来に向かうのではなく、「どんな未来にしたいのか」を《地》にしながらテーマを考えてみてはどうか。吉村からの問いかけに子どもたちはうなずいていた。

 

●編集の風その3:BPTでベースとターゲットを考える

 

次に紹介された編集術はBPT、ベース(Base)・プロフィール(Profile)・ターゲット(Target)の頭文字をとったものだ。わたしたちが何かを想像するとき、アタマのなかでいろいろな連想が動いている。ベースとターゲットのあいだでゆらゆらと多様にプロフィールが動いていくのが連想だ。ただし一定パターンの暮らしを送るうち、ベースやターゲットが固定化し、あいだのプロフィールの動きも鈍くなる。連想回路が硬く閉じてしまうのだ。

 

みんなが企画を考えるとき、なにをベースにして、なにをターゲットにするかがまず大事。

 

よく起こるのは、いま生きている社会をベースにしてしまうこと。例えば資本主義社会やグローバリズムをベースにする。そしてテクノロジーが向かう先をターゲットにしてプロフィールを描いてしまう。すると見えてくるのは、便利な社会や安全安心な社会だが…それっておもしろい?つくりたい未来だろうか?「僕は生命、人間がベースにあるべきじゃないかと思っています」。吉村の言葉をきいて、ホワイトボードの赤字にみなの視線が向かう。

 

 

さらに話はつづく。

 

インプットとアウトプットのあいだがすべて編集なら、何でもよくなってしまうよね。ヘイトスピーチもファシズムも差別も編集になる。だけどそんなふうに編集したいわけじゃない。戦争する方向に編集をしたいわけじゃない。どんなふうに編集をしたらいいのかという「方向性』は大切にしたい。編集に正解はありません。正解はないけれど、こっちに向かいたいという方向はあるんです。

 

そういいながら吉村は1枚の紙を配った。

 

▲イシス編集学校に入門前の方にこれが手渡されたのははじめて。

 

イシス編集学校での編集の羅針盤として吉村があらわした「6つの編集ディレクション」だ。子どもたちの《地》に合わせて、吉村はひとつずつ説明していく。

 

6つの編集ディレクション

 

1 編集は、「可能性を増やす」方向にむかう

ひとつの正解に向かうようなものではつまらない。可能性がいくつもある方向に考えたい。問題や課題といったQに対して、反応的なソリューション型のAでは課題解決はできない。何かが壊れそうになったから直します、病気になったから治療します。こういうものになっていないかを確認してみてほしい。AもBもCもいろいろな問題があるときに、すべてをよくすることはできないか。「魚」だけでなく、魚も水も森も、さらにはわたしたちの暮らしまでも考えてみたときに、どういうことが言えそうか。

 

2 編集は、「新しい価値・意味」をつくる

今までにない、こういう見方もできるんじゃないか!?とハッとするようなものをつくりたい。「魚×AI」だとあまり意外な感じがないかもしれない。まったく異なるジャンルのものと組み合わせてみたら?AXBのAがみんなが選んだテーマだとして、Bに意外なものを。

 

3 編集は、「人や場を生き生き」とさせる

編集は「どうだ、すごいものつくっただろ!」と成果を誇るためのものではない。その場にみんなが関われるようにする、誰もが生き生きとする場にどうしたらできるのか。そのための仕組みがほしい。どういうルールがあるといいのか、どういう環境をデザインしたらいいのか。

 

4 編集は、「ものごとを前に」すすめる

そんなのできないよとものごとを止めるんじゃなく、前に進めたい。ただ、前に進めるための方法は大概対立もしてくる。AとnotAという矛盾を合わせて、矛盾ごと前に進めるのが「合点」。合点がいくものを見つければ矛盾があっても前に進むことができる。

 

5 編集は、「与件から」はじまる

与件というのはもともとある情報のこと。現代社会、資本主義社会というのも与件だが、どんな歴史があったのか、語源や起源はどうだったかなどワークショップのはじめにイメージを広げた。そのくらい広い与件を持ったうえで考えてみてほしい。

 

6 編集は、「よくよく練られた逸脱に」むかう

偶然のことや予定外のことが起こったとしても、より面白い方向に向かうようしていきたい。

 

「これがイシス編集学校が向かいたい方向性。みんなはどういう方向性にしたい?それをぜひ考えてみてほしい」と問いを投げたあと、ホワイトボードのT(ターゲット)の脇に「類/個」と書いた。

 

 

類と個という考え方があります。いまのトップダウン型の政策は「類」を見ている。平均的な人間の収入はこのくらいにしたほうがいいとか、格差はない方がいいとか、先進国と比べて女性の活躍を盛り上げた方がいいとか。全体としてこれくらいになったらいいよね、ということを見ているんですね。みんなの企画はそうなっていないか、「類」を見ていないですか。でも本当はそんなことが大事なんじゃない。大事なのは、あなたという個人がそれを想像してわくわくするか。その社会や世界を生きたときに、それはいいね、それはむちゃくちゃ気に入った世界になりそうだ!と思えるか。未来の自分の日常が面白くなりそうか。自分の能力を発揮できるような世界になったらいいなと想像した上で、それぞれのテーマを考えてみてください。

 

▲類と個に触れる吉村の語りはこの日一番熱がこもっていた。どうして中学生にこの話をしたのか?と後日尋ねたところ「まだ中学生のきから、大人の事情に合わせてしてのお仕着せの幸せを考えてほしくない。君たちが自分自身の身体や実感と重ねて考えることが一番大事なんだよと伝えたかった」と。自分自身も中学のときからそう思っていたのにやってこれなかったという悔しさや悲しさがある、後の世代への申し訳なさもあるという話もしてくれた。吉村の情熱はTシャツの3文字にも滲み出る。

 

チームごとに方向性を交わす時間が15分ほど設けられると、子どもたちからこんな言葉が聞こえてきた。

 

このままだとなりそうな未来になっちゃうなと思った。できそうなことばっかり、実現できそうな可能性ばっかり調べて、それがちゃんと実現できるかどうかを考えてたら、ぜんぜん夢がない感じになっちゃった

 

いままでのプランはまったくわくわくしなかった。やっぱり楽しい感じがいいよね!このままじゃ続かないよ、絶対。

 

15分間ではどのチームからも結論は出なかった。このあともなかなか方向性を打ち出せないかもしれない。それでも、ありきたりな未来への違和感を口にして、もっと夢のある方へ、わくわくする方へ進みたいという子どもたちが急に頼もしく見えた。まずは考えはじめること、言葉にすること。それが安全で安心で便利な方向に流されずに進むための、あたらしい風になる。

 

●編集の風その4:ルル3条で世界をつくる

 

ワークショップの最後に、吉村はふたたびライブラリーにあった本をいくつか手にした。中村哲、国境なき医師団、坂口恭平、始皇帝、ガンディー。「この人たちはみなルールチェンジをした人です」。中村哲は争うのではなく井戸を掘った。医師たちは危機に瀕している人々に医療を届けるために国境をなくし、坂口はゼロ円ハウスで家=高価という概念を揺さぶる。意思統一を容易にするために法家と組んでルールを文章化したのが始皇帝、ガンディーは輸入品に頼ることより自らの手で海水から塩をつくり綿から糸を紡ぐことを選んだ。ここには「ルール・ロール・ツール(ルル3条)」という編集術が動いている。

 

たとえばサッカーと野球のルール・ロール・ツールはまったく違う。ルール・ロール・ツールが違うと、そこで交わされる意味や価値が変わってくる。こんな未来になったらいいなと想像するときに、どんなふうにルールを変えたらいいか、どんなロールの人がいたらいいか、ツールはAIが主流になるのかもしれないが他になにが必要か。

 

吉村はルル3条に「世界」という文字を添えた。

 

ルール・ロール・ツールが動いているところに「世界」ができるんです。鬼ごっこには鬼ごっこの世界がある、サッカーにはサッカーの、野球には野球の世界がある。世界というと、僕たちは漠然とひとつの大きな世界があると考えて、世界は動かしがたいし関わりようがないと思ってしまう。でも世界は同時にいくつもあるし、自分でつくることができるもの。みなさんの考える企画で、どんな「別様の世界」つまり、ルール・ロール・ツールをつくれるか。みんながこれからの世界をつくる人たちだからね。

 

この話を聞いて、後ろのほうでワークショップを見守っていた本城さんがするすると前に出ていった。

風越は普通の学校にあったルル3条を編集して生まれている学校だよね。たとえば「チャイム」という人を動かす便利なものを使わない、「固定の席」という人を縛るものを使わない、「クラスの仲間」というロールはなくして「ホームとかラーニンググループ」というロールに変わっている。それによって風越には新しいルールが生まれた。「つくる」というルールを大事にイベントをつくったりしているんだけど、風越はそうやって世界を変えていっているんだよね。風越みたいに、医療が変わる、インフラやスマートホームや魚の世界を変えるということを考えてみるといいんじゃないかな。迷ったら、自分たちがいる場、風越を思い出してほしい。

 

 

10時35分、チャイムはならないがワークショップは終了。日経STOCKリーグを入口に、最後は世界編集の方法をたっぷりと手渡された子どもたちによって、風越学園の編集の風はこれからますます強く吹きそうだ。


▲風越学園はじめての卒業生24名に贈られたという『みらいをつくる』という本。本城さんのこんな言葉が目に留まった。「僕は、走りたくなったら走り出すのが好きだ。(…)思いもよらないところに行けるほうが僕はうれしい」。風越学園の風は、どこからか吹いてくるだけではなく、未知に向かって走り出す人が起こしている風だという気がした。本城さんも、子どもたちも。

 

撮影:宮坂由香

 


  • 福井千裕

    編集的先達:石牟礼道子。遠投クラス一で女子にも告白されたボーイッシュな少女は、ハーレーに跨り野鍛冶に熱中する一途で涙もろくアツい師範代に成長した。日夜、泥にまみれながら未就学児の発達支援とオーガニックカフェ調理のダブルワークと子育てに奔走中。モットーは、仕事ではなくて志事をする。