九天玄氣組(以下九天)のラウンジに毎晩とどくひとひらの言の葉がある。飛永卓哉(38破/福岡)の「本日のテンキ」である。九州ゆかりの本や千夜千冊から、短いフレーズを抜き出してアップする試みだ。1年間の期間限定で2022年1月1日にスタートし、欠かすことなく届け続けた。そのテンキ連載が、この年末でいよいよゴールを迎える。
ここまでどんな言葉がラウンジを彩ってきたのか、10月に開催された組内アワード企画「年間テンキ☆ランキング2022朱夏篇(7~9月期)」の投票結果から、人気を集めたテンキの言葉を紹介しよう。
9月4日
「草によろしく」
(石牟礼道子の母ハルノさんが)
晩年になってね、
癌で亡くなられたんだけど、
その時ね、見舞いに来た人が、
これから裏山に行くって言ったらね、
「草によろしゅう言うとってくれ」
って言いよんなはった。
『肩書きのない人生 渡辺京二 発言集2』
「道子の原郷」より 弦書房(2021)
今年、九天は森崎和江と石牟礼道子を集中的に読み、現在は谷川雁を共読中だ。それと歩調をあわせるように、テンキにもこの3人に関連した言葉がたびたび登場した。
8月16日
「松永耳庵の終戦」
サー皆さん戦争もおしまい、
お茶の世の中になりました。
お祝に皆さんに一服差し上げます。
『没後50年電力王松永安左エ門の茶』福岡市美術館(2021)
時節とのカサネアワセも毎日連載の醍醐味だ。
8月3日
「手を動かせ」
(創造の)袋小路に入った場合には
とにかくきわめて意識的に書き込むっていうこと。
つまり手を使うっていうこと。
書き込むっていうことを「やれ!」っていうことなんですよ。
吉本隆明講演「実朝論」
新宿紀伊國屋ホール(1969)
手作業・手仕事好きの多い九天組員らしいチョイス。そのクラフトマンシップは毎年校長に贈られる年賀にも反映している。
以上3つが7~9月期ランキングのTOP3であるが、不思議なことに飛永自身のお気に入りとも重なっていた。いずれの言葉も、迷うことなくぱっと切り取れたものだった。この感覚は、良い写真が撮れたときの手応えと非常に近いと飛永はいう。かつてアルバイトで結婚式の写真を撮っていたときのことだ。自分の心が動いた瞬間と撮れたものが一致したとき、それは納得のいく一枚になった。場と自分を重ねて、瞬間を切り取る。かつて写真で培った方法が、現在のテンキ連載においても活かされているのかもしれない。
残り半月を切った「本日のテンキ」。かつて自分にとっての宿題だと言っていた万葉集や西郷隆盛の言葉にも挑戦し、ゴールに向けてますます加速中だ。今年最後のテンキを届け終えたあとに、飛永の目に映るのはどんな景色なのか楽しみである。
みとま麻里
編集的先達:藤原定家
めんたいエディトン、中洲マリリン。二つの福岡ゆかりの教室名。イシスの九州支所・九天玄氣組の突撃女隊長。その陽気さの裏には知と方法と九州への飽くなき探究心をもつ。着付師をしていたという経歴の持ち主。
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