私の28[花]キャンプは、吉阪隆正の建築思想【不連続統一体】の体験だった。場面ごとに異なる空間が次々と立ち現われてくる。よく分からないままに一周すると、ようやく建物を貫く原理のようなものが見えてくる。この「遅れて」やってくる全体性がたまらなかった。

イシス編集学校は正解を求めない。いくとおりもの問いを立てながら、遊ぶように情報の動向を追いかける。情報の行き来を意識できれば時代の見え方も変わる。いまこそイシスの稽古を体験してほしい。「正解のない時代に効く」と題した[守]エディットツアーはそんな思いで企画された。
8月14日(日)お盆の最中に集まったのは13名。いずれも遊ぶように[守]のお題と交わっていった。
最初のワークは、自分をおかしにたとえる自己紹介、「おかしなわたし」。1分半のシンキングタイムのあと、参加者たちの”お菓子な”自己紹介が始まった。「素朴なするめ」「洋菓子っぽい和菓子」「不揃いなチョコレート」…。自分をおかしに【見立て】ることで、「かめばかむほど味が出るわたし」、「伝統を大事にする挑戦者のわたし」、「しっかり者にみられるけれど実は柔らかいわたし」と、複雑なわたしが一言で表現されていく。Zoom内には、参加者の声とチャットや紙に書かれた文字が行き交った。
続いては、【地と図】のワークだ。ひとつの情報には【地と図】という、2つの側面がある。ある情報について、前提となる「地」を入れ替えると、その捉え方が変わる。「地」を着替えることで、次々とさまざまな「わたし」が「図」として発現した。例えば…
幸せのかたまり
───────
大好物を食べる
亀
───────
本を読む
マルチプレーヤー
───────
料理
もう一人の私
───────
旅行中
例を出しながら「地」と「図」をひも解き、参加者の思考を引き出す阿曽祐子師範。終了後「図と地で情報をみていくことは、人との付き合いを円滑にする、相互理解へ繋がると知り、日々の暮らしで生かしていきたいと思いました」との感想が届いた。
締めは【ルル三条】だ。ものごとは、「ルール(決めごと)・ツール(道具)・ロール(役割)」の「3つのル」が組み合わさったシステムとして捉えられる。3つのルを動かすことで家事も仕事も世界も変えていけるという、基本の編集の型だ。
キャンプを変えるワークでは、3つのルを動かすことで、既存のキャンプとは全く異なる「海の中でやるキャンプ」が誕生。ツールは、酸素ボンベに沈めることができるテント的なもの、シャチやエイ。では、シャチとエイはどんなロールか?食料調達はどうするか? ひとつの「ル」を入れ替えると別の「ル」も連動して変わっていくことに気づいた参加者もいた。水族館でのキャンプもあり得るというアイデアも飛び出した。
苦手な皿洗いをルル三条でラクチンに。イラストを用いて解説するアイドルママこと新井和奈師範
この日体験した【見立て】【地と図】【ルル三条】は、[守]で学ぶ38の型のうちの、ほんの一部だ。秋開講の50[守]では、たくさんのお題と多様な師範と師範代、まだ見ぬ学衆仲間が待っている。
Zoomやパワポの操作を一手に引き受けた森本康裕師範(左)と編集の型と社会のつながりを語った鈴木亮太師範(右)
■[守]基本コース 2022秋講座受付中!
受講期間:2022年10月24日(月)~2023年2月19日(日)
石井梨香
編集的先達:須賀敦子。懐の深い包容力で、師範としては学匠を、九天玄氣組舵星連としては組長をサポートし続ける。子ども編集学校の師範代もつとめる律義なファンタジスト。趣味は三味線と街の探索。
イシス編集学校九州支所「九天玄氣組」は今年20周年。発足会を行った秋をめざし、周年事業を進めている。軸となるのは「九州の千夜千冊」を冠した雑誌の発行だ。松岡正剛の千夜千冊から選んだキーブック1冊ごとに33冊のグループをつ […]
8年近く続いた黒潮大蛇行終息の兆しが報じられる中、イシス界隈に、これまでにない潮流がおこっている。 松岡正剛の「千夜千冊」をキーブックとし、「九州の千夜千冊」を冠した雑誌づくりが動き出したのだ。 イシス編集学校の九州支所 […]
本から覗く多読ジム——『ようこそ、ヒュナム洞書店へ』【ニッチも冊師も☆石井梨香】
少し前に話題になった韓国の小説、ファン・ボルム『ようこそ、ヒュナム洞書店へ』(集英社)を読んでみました。目標を持つこと、目指す道を踏み外さないこと、成功することや人に迷惑をかけないことに追い立てられている人々が、書店と […]
[守]講座の終わりが近づくと、決まって届く質問がある。「教室での発言はいつまで見られるのですか?」 インターネット上の教室でのやりとりがかけがえのないものだということの表れだ。見返すと、あの時のワクワクやドキドキが蘇る。 […]
「編集しようぜ SAY!GO!」師範代は叫んだ【81感門・50守】
インターネット上の稽古場に50[守]学衆の声が届かなくなって10日が過ぎた。次期に受け渡すものを交し合っていた師範のラウンジももうすぐ幕を下ろす。卒門式の師範代メッセージには、メモリアルな期を走り切った充実がみなぎって […]
コメント
1~3件/3件
2025-07-03
私の28[花]キャンプは、吉阪隆正の建築思想【不連続統一体】の体験だった。場面ごとに異なる空間が次々と立ち現われてくる。よく分からないままに一周すると、ようやく建物を貫く原理のようなものが見えてくる。この「遅れて」やってくる全体性がたまらなかった。
2025-07-02
連想をひろげて、こちらのキャビアはどうだろう?その名も『フィンガーライム』という柑橘。別名『キャ
ビアライム』ともいう。詰まっているのは見立てだけじゃない。キャビアのようなさじょう(果肉のつぶつぶ)もだ。外皮を指でぐっと押すと、にょろにょろと面白いように出てくる。
山椒と見紛うほどの芳香に驚く。スパークリングに浮かべると、まるで宇宙に散った綺羅星のよう。
2025-07-01
発声の先達、赤ん坊や虫や鳥に憑依してボイトレしたくなりました。
写真は、お尻フリフリしながら演奏する全身楽器のミンミンゼミ。思いがけず季節に先を越されたセミの幼虫たちも、そろそろ地表に出てくる頃ですね。