松岡正剛校長が壇上から八田律師を呼んだ。こっくりした鼠色の着物を纏った八田律師が、第70回感門之盟の最後を締めくくる言葉を携え、ゆっくりとステージに上がる。
空海から庵野秀明にいたる綺羅星のエディストたちが領域を横断して駆け抜けていった校長校話。その軌跡を辿りながら、律師が贈った熱いメッセージ、それは「アウトプットせよ」。
くるりと背中を向けた八田律師が見返り美人のように微笑む。「この帯の柄は、女神イシスです」。会場から感嘆の声が漏れる。編集学校を見守る金色の再生の神が、キラリと光を放った。
自分を、そして世界を蘇らせること。女神イシスの物語のように、愛と切実をもって命を吹き込むエディット。一人ひとりが「伝える」エディストとなり、足を止めることなくインタースコアし続け、シナジーを発揮して日々の場を動かしていってほしい。
八田律師の切なる想いが、門に集うメンバーの心にこだました。
松岡校長と言葉を交わす八田律師
丸洋子
編集的先達:ゲオルク・ジンメル。鳥たちの水浴びの音で目覚める。午後にはお庭で英国紅茶と手焼きのクッキー。その品の良さから、誰もが丸さんの子どもになりたいという憧れの存在。主婦のかたわら、翻訳も手がける。
陸奥の真野の草原遠けども面影にして見ゆといふものを 柩のようなガラスケースが、広々とした明るい室内に点在している。しゃがんで入れ物の中を覗くと、幼い子どもの足形を焼成した、手のひらに載るほどの縄文時代の遺物 […]
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デーモンとゴーストの長年にわたる秘密の対話が、ずっしりと持ち重りのする新書となって、名残の月の美しい季節に書店へと舞い降りた。数理科学者の津田一郎氏と編集工学研究所の松岡正剛が、それぞれの専門性の際をインタースコアした対 […]