外国語から日本語への「翻訳」もあれば、小説からマンガへの「翻案」もある。翻案とはこうやるのだ!というお手本のような作品が川勝徳重『瘦我慢の説』。
藤枝静男のマイナー小説を見事にマンガ化。オードリー・ヘプバーンみたいなヒロインがいい。
2014年は暑い夏だった。集団的自衛権の行使が容認され日本中が騒然とするなか、8月、広島市北部では豪雨による土砂災害が発生。山稜がパックリ割れて、家々を木っ端微塵になぎ倒した。9月には御嶽山が噴火。戦後最悪の火山災害は、暗黒の地獄絵となった。これでもか、これでもかと続いた惨禍はまだ記憶に生々しい。
さらに東日本大震災、日本ではじめての原子力発電所の爆発から3年経っていた。まだまだ余震は続いていた。震度1以上は千回以上を数える。復興と原発の始末は、遅々として先がまだ見えず忘却だけが進んでゆく。そんな夏、ハリウッド版『ゴジラ』が日本に上陸したのだった。
こうした「2014年を語る一冊」とくれば、もちろん
『ゴジラとナウシカ』赤坂憲雄(イースト・プレス)。
著者は、3.11から1週間後、地下の書斎に籠もって、怪獣映画『ゴジラ』(1954年)とアニメ版『風の谷のナウシカ』(1984年)に見入ったという。地震と津波と原発事故の光景が、『ゴジラ』と『ナウシカ』の映像に重なったという。その巨大な災厄の生々しい傷痕に、この年の水と火の荒ぶる力、被災した人々や被災地の悲惨な情景がさらに重なってくる。
壊滅から再生へ。どう未来への希望を紡ぐことができるのか。切実な問いが聞こえてくる。切ないけれども、とにかく、歩み続けなければならないということは確かなのだ。8月に出版された本書の「あとがき」には、1954年の『ゴジラ』にたいする深い敬意が感じられたというハリウッド版『ゴジラ』へのオマージュが、熱っぽく綴られている。
ぼくは、21花を7月に放伝したばかりだった。入門は2年前の28守で、3.11から1年後。なぜそのとき突然入門したのか。それまで放射能の見えない恐怖を感じながら、仕事柄、避難者や被災地と直にかかわることがあった。こんな切実感が、さあっと、ぼくの背中を押してくれたのかもしれない。
この年、編集学校の夏から秋のトピックス。8月に第1回「ISISフェスタ」が行なわれた。そして、前年結成された「ふくしま再生プロジェクトの会」による「ふくしま、ひとしずくの物語――再生へ祈りをこめて」が、10月に本楼で開催された。校長をして《うつくしい一刻だった》と言わしめたイベントになった。
会は現在、田母神代表の「どりぃむくらふと福島」に引き継がれている。発行冊子『郡山マルシェガイド2020』が今年も送られてきた。彩り豊かな野菜たちが表紙に踊る。ページから飛び出る子どもたちの笑顔がいい、すっくと立つ大人の目がとてもいい。
それでは「2015年」へ、
渡會眞澄冊師に、バトンをお渡しします☆
――― ■スタジオ ポテチ 冊師 宮野悦夫
エディスト編集部
編集的先達:松岡正剛
「あいだのコミュニケーター」松原朋子、「進化するMr.オネスティ」上杉公志、「職人肌のレモンガール」梅澤奈央、「レディ・フォト&スーパーマネジャー」後藤由加里、「国語するイシスの至宝」川野貴志、「天性のメディアスター」金宗代副編集長、「諧謔と変節の必殺仕掛人」吉村堅樹編集長。エディスト編集部七人組の顔ぶれ。
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コメント
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