「エッキョウ汁講」。46[守]襟足バンビ教室師範代、尾島可奈子が願いと決意を込めたネーミングだ。
開講以来、学衆の回答を丁寧に掬い続けてきた。指南はもちろん、囁くような声も聞き逃さず勧学会に共読の場を立ち上げた。稽古はお題を重ねるごとに深まっていた。しかし第1回番選ボードレールには悔いが残った。もっともっと、バンビのようにジャンプできたのではないかと。
汁講は過去をエッキョウ・今とエッキョウ・未来へエッキョウの三間連結仕立て。稽古を振り返り、互いのつながりを深めるためのワークが準備されていた。お菓子や動物に喩えての他己紹介では、金平糖や水ようかん、トラやパンダが飛び出した。担当師範の武田英裕は教室を「たべっ子どうぶつ」に喩えた。「いろんな動物がいるバンビの森、みなさんは動物から神獣に進化できるはず」の言葉に、それぞれの気持ちが引き出された。番ボー講評に選ばれなかった悔しさ、逃げ場をつくっていたことへの気づき、師範代への申し訳なさ。過冷却の水に小さな振動が加わると一瞬で氷柱が出現するように、教室に蓄積されていたエネルギーが一気に結晶化した。全員の気持ちの震えが合わさって相転移が起きた瞬間だった。
尾島は汁講を「決起集会」と結んだ。師範代の目に光る涙を学衆は見逃さなかった。年が明け、第2回番ボーでの襟足バンビ教室の活躍は目を見張るものだった。回答と指南のスレッドは長く伸び、エントリーした全員が入選・入賞を果たした。武田は驚嘆の賛辞を贈った。
2月の第2回汁講プランは学衆が組み上げ、[破]だけではなく、[花伝所]へ、師範代へ、編集の人生へと向かう対話が飛び交った。
教室みんなの力で壁も境も乗り越え、バンビは神獣となった。跳躍はもう止まらない。
武田師範による汁講のイラスト。似ているだけではなく、各自の最高の笑顔を捉えている。2回目の汁講には[破]植田フサ子評匠と[花伝所]深谷もと佳花目付が駆けつけ、編集する人生を垣間見せてくれた。
石井梨香
編集的先達:須賀敦子。懐の深い包容力で、師範としては学匠を、九天玄氣組舵星連としては組長をサポートし続ける。子ども編集学校の師範代もつとめる律義なファンタジスト。趣味は三味線と街の探索。
本から覗く多読ジム——『ようこそ、ヒュナム洞書店へ』【ニッチも冊師も☆石井梨香】
少し前に話題になった韓国の小説、ファン・ボルム『ようこそ、ヒュナム洞書店へ』(集英社)を読んでみました。目標を持つこと、目指す道を踏み外さないこと、成功することや人に迷惑をかけないことに追い立てられている人々が、書店と […]
[守]講座の終わりが近づくと、決まって届く質問がある。「教室での発言はいつまで見られるのですか?」 インターネット上の教室でのやりとりがかけがえのないものだということの表れだ。見返すと、あの時のワクワクやドキドキが蘇る。 […]
「編集しようぜ SAY!GO!」師範代は叫んだ【81感門・50守】
インターネット上の稽古場に50[守]学衆の声が届かなくなって10日が過ぎた。次期に受け渡すものを交し合っていた師範のラウンジももうすぐ幕を下ろす。卒門式の師範代メッセージには、メモリアルな期を走り切った充実がみなぎって […]
組員も驚愕する「年賀」はなぜ生まれるのか【九天玄氣組年賀2023】
支所に名前がつく前から、数えて今年で18年。九州支所九天玄氣組(以下、九天)は、松岡校長に年賀を届け続けている。 なぜこれほど続いているのか、なにが彼らを駆り立てるのか、組員と組長に聞いた。 受け取り […]
ギィィ パタン カチャリ。 50守全教室に鍵がかかった。 開講の10月24日から17週間、38のお題を真ん中に回答と指南を交わし、インターネット上の一角にあるスペースが、 […]