軽井沢でツンドク三冊屋@ONLINE

2021/04/14(水)16:00
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「わたしは◎◎氏のツンドク本です。主人の学生時代の友人から、主人のもとへ送られてきました。わたしは、なんと5年も眠っていたのですが、たった今、主人に叩き起こされました」。
 軽井沢オンラインツアーに集まった12名は、早々にブレイクアウトルームに分かれ、「積ん読本」を手に自己紹介をはじめた。本になりきって、みな雄弁。

 

 ナビゲーターの浅羽登志也師範と中原洋子師範代は、初っ端の打ち合わせで、この春のオンラインツアーは「共読」でいきたい、「目次読書」「三冊屋ワーク」をやってみたいと目を輝かせた。ブックワークはイシスのリアル・ツアーの花形、でも意外なことにオンラインでは未開催。

 

 果たして、タイマー付きの小刻みなインストラクションに従って、<装丁読み><掩巻><目次読み><キーワード選択>…と参加者の顔と本の見開きの距離が縮まっていく。モニタからはシャーッ、シャーッとページを繰る音が20分間続いた。 最後、ギュッと要約オニギリを結ぶように目次読書終了。すぐさま3人ずつのブレイクアウトルームでは、堰を切ったようにアウトプットが始まった。ノートを見せ合ったり、ZOOM白板をサクサク使ってみたり。それぞれが読み手となって取り出した文中の言葉、文脈、思想、著者像などの間に連想の枝が伸びていって、対やレイヤーで三冊が組み上がっていく。

わずか10分程度の高速密談を経て仕上がった、軽井沢・ハレバレ[三冊屋]公開!

12名による4バインド、おひとついかがですか?

 







 

 

 

<参加後に寄せられた声>

*オンラインでも知らない方と本のことを語るのはとても楽しかった(兵庫・コンサルタント)
*三冊を改めて拝見すると、このすべてを一つの本棚にしてもつながりができそう。一夜明けても、ゆっくり読むときより単語が身体の中に残っている感じがする(東京・その他)
*会読のすばらしさを感じ、また、仕事上のアイデアをもいただけました(広島・コンサルタント)

*本で人は繋がれるということを改めて実感した(宮城・フリーランス)

 

参加者のみなさん、コロナでStay Homeが続き、久々に誰かとコラボする場を楽しめたご様子でした。「長野でぜひ三冊屋@ONLINEのシリーズを」と継続開催のリクエストもあり、ナガノ共読区構想の夢ひろがります。ナビゲーターのお二人、本気モード!?

  • 田中晶子

    徹夜明けのスタッフに味噌汁を、停滞した会議に和菓子を。そこにはいつも微笑むイシス一やさしい花伝所長の姿があった。太極拳に義太夫と編集道と稽古道の精進に余念がない。

コメント

1~3件/3件

山田細香

2025-06-22

 小学校に入ってすぐにレゴを買ってもらい、ハマった。手持ちのブロックを色や形ごとに袋分けすることから始まり、形をイメージしながら袋に手を入れ、ガラガラかき回しながらパーツを選んで組み立てる。完成したら夕方4時からNHKで放送される世界各国の風景映像の前にかざし、クルクル方向を変えて眺めてから壊す。バラバラになった部品をまた分ける。この繰り返しが楽しくてたまらなかった。
 ブロックはグリッドが決まっているので繊細な表現をするのは難しい。だからイメージしたモノをまず略図化する必要がある。近くから遠くから眺めてみて、作りたい形のアウトラインを決める。これが上手くいかないと、「らしさ」は浮かび上がってこない。

堀江純一

2025-06-20

石川淳といえば、同姓同名のマンガ家に、いしかわじゅん、という人がいますが、彼にはちょっとした笑い話があります。
ある時、いしかわ氏の口座に心当たりのない振り込みがあった。しばらくして出版社から連絡が…。
「文学者の石川淳先生の原稿料を、間違えて、いしかわ先生のところに振り込んでしまいました!!」
振り込み返してくれと言われてその通りにしたそうですが、「間違えた先がオレだったからよかったけど、反対だったらどうしてたんだろうね」と笑い話にされてました。(マンガ家いしかわじゅんについては「マンガのスコア」吾妻ひでお回、安彦良和回などをご参照のこと)

ところで石川淳と聞くと、本格的な大文豪といった感じで、なんとなく近寄りがたい気がしませんか。しかし意外に洒脱な文体はリーダビリティが高く、物語の運びもエンタメ心にあふれています。「山桜」は幕切れも鮮やかな幻想譚。「鷹」は愛煙家必読のマジックリアリズム。「前身」は石川淳に意外なギャグセンスがあることを知らしめる抱腹絶倒の爆笑譚。是非ご一読を。

川邊透

2025-06-17

私たちを取り巻く世界、私たちが感じる世界を相対化し、ふんわふわな気持ちにさせてくれるエピソード、楽しく拝聴しました。

虫に因むお話がたくさん出てきましたね。
イモムシが蛹~蝶に変態する瀬戸際の心象とはどういうものなのか、確かに、気になってしようがありません。
チョウや蚊のように、指先で味を感じられるようになったとしたら、私たちのグルメ生活はいったいどんな衣替えをするのでしょう。

虫たちの「カラダセンサー」のあれこれが少しでも気になった方には、ロンドン大学教授(感覚・行動生態学)ラース・チットカ著『ハチは心をもっている』がオススメです。
(カモノハシが圧力場、電場のようなものを感じているというお話がありましたが、)身近なハチたちが、あのコンパクトな体の中に隠し持っている、電場、地場、偏光等々を感じ取るしくみについて、科学的検証の苦労話などにもニンマリしつつ、遠く深く知ることができます。
で、タイトルが示すように、読み進むうちに、ハチにまつわるトンデモ話は感覚ワールド界隈に留まらず、私たちの「心」を相対化し、「意識」を優しく包み込んで無重力宇宙に置き去りにしてしまいます。
ぜひ、めくるめく昆虫沼の一端を覗き見してみてください。

おかわり旬感本
(6)『ハチは心をもっている』ラース・チットカ(著)今西康子(訳)みすず書房 2025