この日、セイゴオはどこから私達を見つめてくれていただろう。活け花の隙間、本楼の桟敷、編工研の屋根の上、地上15m付近の鳥の背中。低い所か、高い所か、感じ方は人それぞれだろうけど、霊魂がどこに遍在しているかを考えることと、建築物の高さは深く関係している。
建築家・藤森照信はいろんな高さに茶室を造ってきた。山から伐り出した栗の木を柱にした《高過庵》の躙口は地上6m。その隣には地面に埋まった竪穴式の《低過庵》がある。この「高過ぎ」「低過ぎ」と言えるその基準は何なのか。

真夏の台風を吹き飛ばし、師範、番匠、学匠たちが43[守]卒門をカウントダウン。名カメラマンのごとく教室や勧学会、別院のキラッと輝く発言をパシャリ切り取ってメッセージとして届けた。
驚くべきは、その投稿時間が全員ピッタリ「00」だったこと。別院の投稿はズラリ下記のようになっている。
2019/08/17 00:00 景山和浩 (番匠)
2019/08/17 07:00 石井梨香 (師範)
2019/08/17 12:00 桂大介 (師範)
2019/08/17 18:00 池澤祐子 (師範)
2019/08/17 21:00 白川雅敏 (師範)
2019/08/18 00:00 山根尚子 (師範)
2019/08/18 08:00 浦澤美穂 (師範)
2019/08/18 12:00 和田めぐみ(師範)
2019/08/18 17:00 井ノ上裕二(師範)
2019/08/18 20:00 川野貴志 (師範)
2019/08/18 22:00 林朝恵 (番匠)
2019/08/19 00:00 鈴木康代 (学匠)
事前に学匠から時間指定はあったものの、ピッタリこの時間でなければならないわけではない。スタートを切った景山に皆が足並を揃えた。景山は誰もがよく知るスポーツ紙の新聞社に勤務している。井ノ上はタイ在住のため時差がある中での投稿だった。午前7時の石井は時間指定が気になってよく眠れなかったかもしれない。一番手に汗かいたのは、ラストに卒門の鐘を鳴らした鈴木康代だ。ここで間違えるわけにはいかない。師範陣の気迫は教室で走り続ける学衆と師範代たちの背中をきっと押したことであろう。12人全員にピッタリ賞を授与したい。
林朝恵
編集的先達:ウディ・アレン。「あいだ」と「らしさ」の相互編集の達人、くすぐりポイントを見つけるとニヤリと笑う。NYへ映画留学後、千人の外国人講師の人事に。花伝所の花目付、倶楽部撮家で撮影・編集とマルチロールで進行中。
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コメント
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2025-06-10
この日、セイゴオはどこから私達を見つめてくれていただろう。活け花の隙間、本楼の桟敷、編工研の屋根の上、地上15m付近の鳥の背中。低い所か、高い所か、感じ方は人それぞれだろうけど、霊魂がどこに遍在しているかを考えることと、建築物の高さは深く関係している。
建築家・藤森照信はいろんな高さに茶室を造ってきた。山から伐り出した栗の木を柱にした《高過庵》の躙口は地上6m。その隣には地面に埋まった竪穴式の《低過庵》がある。この「高過ぎ」「低過ぎ」と言えるその基準は何なのか。
2025-06-10
藤森は人間の生と死のプロセスをノートに書きつけ、霊がどこに行くかをずっと考えてきた。そして人間が死ぬ場所としてドンピシャの高さを見つけ出している。それが檜の1本柱の上に建つ地上4mの《徹》だ。春になると満開の桜の中に茶室が浮かび上がる。桜は死を連想させる。この高さの絶妙さを目の当たりにすると、美しさだけでなく恐怖さえも感じてしまうのだ。
2025-06-06
音夜會の予習には『愛は愛とて何になる』(小学館)が是非ともおススメ。松岡校長も寄稿しています。
さらに、あがた森魚さんの映画監督第一作「僕は天使ぢゃないよ」は、なかなかの怪作なのでご興味のある方は是非どうぞ。
監督・脚本・主演・歌唱あがた森魚で、他にも横尾忠則、大瀧詠一、緑魔子、桃井かおり、山本コウタロー、泉谷しげる、鈴木慶一などなど無駄に豪華キャストなのに、なぜかヒロイン役が一般人(たぶん...)で、びっくりするほどのセリフ棒読み。さすがにこれはダメだろうと思いながら観ているうちに、だんだんこの子がいい感じに見えてくるから不思議。あがたさんの「愛の理想形」を結晶化させたような作品です。