入伝式速報!花伝所の校長メッセージは「風」

2019/10/26(土)15:39
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  •  花伝所はLiving Editingでいく。

 田中晶子所長の開講にあたってのメッセージだ。32回目を迎えたISIS花伝所の入伝式が10月26日(土)13時にスタートした。入伝生、師範、学林局、校長が始めて顔を合わせ、道場での演習が始まる一座建立の場になる。

 

 師範代は人の才能を引き出す。人と人、人と場のあいだを引き受けていく。複雑な社会、組織、課題、場をライブに生き生きと動かし、突破していく。そのために花伝式目を学んでいく。Living Editingという言葉を承けて、松岡校長は冒頭メッセージで「風・式・様・流・派・系」というキーワードを持ち出した。スタイル、モードを表現するものだが、そのなかでも特に校長が重要視しているのが、「風・式・様」の3つだ。これらを組み合わせて編集学校をつくってきたと言い切った。


 40年近く前に編集した講談社の日本美術全集『Art Japanesque』(全18巻)で、校長は「ジャパネスク」という造語をした。ローマ風をあらわすロマネスク、アラビア式のアラベスク、ゴート人ぽい様にルーツをもつゴシック。日本風、日本式、日本様を考えたいということからつくられた言葉である。イシス編集学校には「オーケストラっぽい」もの、「らしさ」を考える編集稽古がある。歴史をがばっとつかまえる。経済とともに文化を語る。風向き、風格、風情を知的なものにまぜる。それを他者と交わし、学びを加速させていく方法を花伝所では学ぶことになる。

 

 花伝所の名づけのもとである世阿弥の『風姿花伝』は、風を花としてどう伝えるかを問うている。世阿弥は是風が非風をつつむことこそ肝要とも記した。今期の入伝生は、都内図書館館長、ITサービス、証券会社、児童福祉施設、NPO法人など多様な属性をもつ20名。来年の春には師範代としての花を咲かせ、社会にLiving Editingを興していくことを志し、道場での演習が始まる。
 

  • 吉村堅樹

    僧侶で神父。塾講師でスナックホスト。ガードマンで映画助監督。介護ヘルパーでゲームデバッガー。節操ない転職の果て辿り着いた編集学校。揺らぐことないイシス愛が買われて、2012年から林頭に。

コメント

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山田細香

2025-06-22

 小学校に入ってすぐにレゴを買ってもらい、ハマった。手持ちのブロックを色や形ごとに袋分けすることから始まり、形をイメージしながら袋に手を入れ、ガラガラかき回しながらパーツを選んで組み立てる。完成したら夕方4時からNHKで放送される世界各国の風景映像の前にかざし、クルクル方向を変えて眺めてから壊す。バラバラになった部品をまた分ける。この繰り返しが楽しくてたまらなかった。
 ブロックはグリッドが決まっているので繊細な表現をするのは難しい。だからイメージしたモノをまず略図化する必要がある。近くから遠くから眺めてみて、作りたい形のアウトラインを決める。これが上手くいかないと、「らしさ」は浮かび上がってこない。

堀江純一

2025-06-20

石川淳といえば、同姓同名のマンガ家に、いしかわじゅん、という人がいますが、彼にはちょっとした笑い話があります。
ある時、いしかわ氏の口座に心当たりのない振り込みがあった。しばらくして出版社から連絡が…。
「文学者の石川淳先生の原稿料を、間違えて、いしかわ先生のところに振り込んでしまいました!!」
振り込み返してくれと言われてその通りにしたそうですが、「間違えた先がオレだったからよかったけど、反対だったらどうしてたんだろうね」と笑い話にされてました。(マンガ家いしかわじゅんについては「マンガのスコア」吾妻ひでお回、安彦良和回などをご参照のこと)

ところで石川淳と聞くと、本格的な大文豪といった感じで、なんとなく近寄りがたい気がしませんか。しかし意外に洒脱な文体はリーダビリティが高く、物語の運びもエンタメ心にあふれています。「山桜」は幕切れも鮮やかな幻想譚。「鷹」は愛煙家必読のマジックリアリズム。「前身」は石川淳に意外なギャグセンスがあることを知らしめる抱腹絶倒の爆笑譚。是非ご一読を。

川邊透

2025-06-17

私たちを取り巻く世界、私たちが感じる世界を相対化し、ふんわふわな気持ちにさせてくれるエピソード、楽しく拝聴しました。

虫に因むお話がたくさん出てきましたね。
イモムシが蛹~蝶に変態する瀬戸際の心象とはどういうものなのか、確かに、気になってしようがありません。
チョウや蚊のように、指先で味を感じられるようになったとしたら、私たちのグルメ生活はいったいどんな衣替えをするのでしょう。

虫たちの「カラダセンサー」のあれこれが少しでも気になった方には、ロンドン大学教授(感覚・行動生態学)ラース・チットカ著『ハチは心をもっている』がオススメです。
(カモノハシが圧力場、電場のようなものを感じているというお話がありましたが、)身近なハチたちが、あのコンパクトな体の中に隠し持っている、電場、地場、偏光等々を感じ取るしくみについて、科学的検証の苦労話などにもニンマリしつつ、遠く深く知ることができます。
で、タイトルが示すように、読み進むうちに、ハチにまつわるトンデモ話は感覚ワールド界隈に留まらず、私たちの「心」を相対化し、「意識」を優しく包み込んで無重力宇宙に置き去りにしてしまいます。
ぜひ、めくるめく昆虫沼の一端を覗き見してみてください。

おかわり旬感本
(6)『ハチは心をもっている』ラース・チットカ(著)今西康子(訳)みすず書房 2025