空中戦で捉えた獲物(下)をメス(中)にプレゼントし、前脚二本だけで三匹分の重量を支えながら契りを交わすオドリバエのオス(上)。
豊かさをもたらす贈りものの母型は、私欲を満たすための釣り餌に少し似ている。

「私ほど疑似恋愛が得意な人間はいません!」と佐藤裕子が声を張り上げれば、西村慧は宇宙飛行士グッズを掲げながら「宇宙飛行士になりたかったんや!」と負けじと返す。石黒好美は「教室に必要なのはボケとツッコミです」と謎の言葉を残すと、翌日、教室運営のヒントにすべく大須演芸場に足を運んだ。
この3人に共通するのは他でもない、14[離]を退院したばかりの猛者であるということと、11月22日に開講する48[守]の速修コース担当師範代であるということだ。4日の夜、来たる開講に向けて、学匠、番匠、担当師範らとともに「速修コース決起集会」が開かれたのだが、件の発言はその時に飛び出した。
佐藤師範代(しんがりスサビ教室)は、44[守]に続き2度目の登板だ。見た目はクールで育ちも雪国だが、心の内の熱いマグマは10m超の雪壁をも瞬時に溶かす。惚れれば一途。中1の時にはビートたけしにゾッコンまいって、たけし軍団に入るべく家出したという経歴を持つ。回答の隅から隅まで愛す指南が炸裂するはずだ。
同じく2度目の登板の西村師範代(臨間オチョコ教室)は、生粋の関西人だ。学衆のどんなひと言でも面白がれるという特技を持つ。「身長が低かったから宇宙飛行士を諦めた」はもはやネタだ。西村の手に掛かれば、学衆も気づかなかった魅力が、回答から星の数ほど引き出されるに違いない。
12期ぶりの登板となる石黒師範代(平時有事教室)は、自分の強みを「動じないこと」と断言する。教室にどんな事件が起こっても動じない。たとえ巨人が攻めてきても石黒なら平気だ。事件がなければないで、自らボケ、自らツッコミ、教室に風を起こしていく。有事の緊張感と、平時のホンワカさを高速で行き来するような教室になるのではないか。
1カ月前に開講している定常コースとは異なり、速修コースは、わずか12週間で[守]を駆け抜ける。出題はほぼ毎日。師範代と学衆の高速ラリーが毎夜、続けられる。
だが速さだけではない。鈴木康代学匠は決起集会をこう引き取った。
「速さだけではダメ。同時に深さと広さを出す。早く、深く、広く、そして時には回り道。これが48[守]の速修コースです」
速修コースを担当する佐藤、西村、石黒の3人の師範代は、すでに加速を始めている。ユニークネスを極めた猛者との、早く、深く、広い[守]の番稽古を望むなら、迷わず飛び込みたい。
角山祥道
編集的先達:藤井聡太。「松岡正剛と同じ土俵に立つ」と宣言。花伝所では常に先頭を走り感門では代表挨拶。師範代登板と同時にエディストで連載を始めた前代未聞のプロライター。ISISをさらに複雑系(うずうず)にする異端児。角山が指南する「俺の編集力チェック(無料)」受付中。https://qe.isis.ne.jp/index/kakuyama
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