飲む葡萄が色づきはじめた。神楽鈴のようにシャンシャンと音を立てるように賑やかなメルロー種の一群。収穫後は樽やタンクの中でプツプツと響く静かな発酵の合唱。やがてグラスにトクトクと注がれる日を待つ。音に誘われ、想像は無限、余韻を味わう。

おおくぼかよ、加藤めぐみ、松尾亘、宮川大輔、宮野悦夫、増岡麻子、丸洋子、山田小萩、吉野陽子。2019年11月24日、多読ジムの第一回”工冊会”(こうさつえ)が開催され、各スタジオをもてなす9人の”冊師”(さっし)が初めて顔を合わせた。吉野のホームグラウンドは兵庫、宮野は山形から駆けつけた。宮川にいたっては甲府の老舗本屋・春光堂書店の店長さんである。
冊師の位置づけは師範代、工冊会は[守]・[破]の伝習座を連想するかもしれないが、実は似て非なるものである。最大の相違は、多読ジムは基本的に自主トレがメインであり、”指南がない”ということ。指南がないのなら、冊師ロールはいったい何をすべきなのか。それがモンダイだ。
冊師は自らも読み手になる。指南がないとは言っても、型や方法で使う点では他の講座と変わらない。多読ジムの「読み」とは一言でいえば、[守]の38番を駆使することだ。”余地”や”遊び”が大きいのは、自由・自在・自信の”三自”を重んじる読相術の方針にもとづいている。今後の工冊会では、松岡正剛校長の読相術のアップデート講義もおこなわれる予定だ。
読衆の顔ぶれ、カリキュラム内のブックリストや課題本のバリエーション、そこに指南とは異なる冊師のナビーションが加わって、3か月のシーズンごとにスタジオは変奏する。冊師ロールは編集学校史においても、おそらく読書史においても未知の試みである。とりわけ、9人の冊師たちが新たなモデルをつくっていく黎明期は、読書の歴史あるいは読者の歴史を画期する1コマになるかもしれない。
あらためて、多読ジムの冊師およびボードメンバーは以下の通り。
冊師:おおくぼかよ、加藤めぐみ、松尾亘、宮川大輔、宮野悦夫、
増岡麻子、丸洋子、山田小萩、吉野陽子
月匠:木村久美子
冊匠:大音美弥子
多読師範:福田容子、米川青馬、小倉加奈子
代将:金宗代
林頭:吉村堅樹
多読ジムの読衆の〆切は今月末まで、定員はあとわずか。
金 宗 代 QUIM JONG DAE
編集的先達:宮崎滔天
最年少《典離》以来、幻のNARASIA3、近大DONDEN、多読ジム、KADOKAWAエディットタウンと数々のプロジェクトを牽引。先鋭的な編集センスをもつエディスト副編集長。
photo: yukari goto
【2025秋募集★多読アレゴリア】「別典祭」ダイダイ大開催!!!! イシスの新しいお祭り?
読書の秋はアレゴリア。イシス編集学校とっておきのブッククラブ「多読アレゴリア」2025年秋シーズンの募集がスタートします。秋シーズンの会員期間は2025年9月1日(月)から12月21日(日)です。 秋シーズ […]
佐藤優さんから緊急出題!!! 7/6公開◆イシス編集学校[守]特別講義「佐藤優の編集宣言」
佐藤優さんから緊急出題!!! 「佐藤優の編集宣言」参加者のために佐藤優さんから事前お題が出題されました(回答は必須ではありません)。回答フォームはこちらです→https://forms.gle/arp7R4psgbD […]
多読スペシャル第6弾「杉浦康平を読む」が締切直前です! 編集学校で「杉浦康平を読む」。こんな機会、めったにありません! 迷われている方はぜひお早めに。 ※花伝寄合と離想郷では冊師四人のお薦めメッセージも配信 […]
「脱編集」という方法 宇川直宏”番神”【ISIS co-missionハイライト】
2025年3月20日、ISIS co-missionミーティングが開催された。ISIS co-mission(2024年4月設立)はイシス編集学校のアドバイザリーボードであり、メンバーは田中優子学長(法政大学名誉教授、江 […]
【続報】多読スペシャル第6弾「杉浦康平を読む」3つの”チラ見せ”
募集開始(2025/5/13)のご案内を出すやいなや、「待ってました!」とばかりにたくさんの応募が寄せられた。と同時に、「どんなプログラムなのか」「もっと知りたい」というリクエストもぞくぞく届いている。 通常、<多読スペ […]
コメント
1~3件/3件
2025-08-16
飲む葡萄が色づきはじめた。神楽鈴のようにシャンシャンと音を立てるように賑やかなメルロー種の一群。収穫後は樽やタンクの中でプツプツと響く静かな発酵の合唱。やがてグラスにトクトクと注がれる日を待つ。音に誘われ、想像は無限、余韻を味わう。
2025-08-14
戦争を語るのはたしかにムズイ。LEGEND50の作家では、水木しげる、松本零士、かわぐちかいじ、安彦良和などが戦争をガッツリ語った作品を描いていた。
しかしマンガならではのやり方で、意外な角度から戦争を語った作品がある。
いしいひさいち『鏡の国の戦争』
戦争マンガの最極北にして最高峰。しかもそれがギャグマンガなのである。いしいひさいち恐るべし。
2025-08-12
超大型巨人に変態したり、背中に千夜をしょってみたり、菩薩になってアルカイックスマイルを決めてみたり。
たくさんのあなたが一千万の涼風になって吹きわたる。お釈迦さまやプラトンや、世阿弥たちと肩組みながら。