男は何をつぐなうのか 「代将」というニューロール

2019/11/27(水)16:09
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 エディストの副編集長にして、かつては離の半東で右筆。
 NARASIA3のエディターであって、幻のジャパンウェア講座の執筆担当。
 山本直樹をISISフェスタに呼んだ仕掛け人で、近大DONDENの選書リーダー。
 
 その男の名は金宗代。イシス編集学校で師範代を務めていないにも関わらず、あらゆる編集プロジェクトに彼の姿がある。2020年にオープン予定の角川武蔵野ミュージアムの選書にも、もちろん携わっている。しかし、金にはこれまでロール名がなく、周りからも「キムくん、キムくん」と、近所のお兄ちゃんみたいに、ただ「くん付」で呼ばれるだけであった。
 
 その金宗代に、松岡校長からようやく新たなロール名が与えられた。その名も「代将」(だいしょう)。校長をはじめ、リーダーたちの「代」を務めつつ、それを上回る「将」としての力量を発揮してきた金にふさわしいネーミングとなった。NEXT ISISのニューリーダー、将軍としての期待も込められている。「あんたがダイショー!」というわけだ。
 
 しかし、「代将」に込められている意味はそれだけではないだろう。
 金が講座全体の企画構成から新たな評価システムまで手がけているのが、2020年正月にスタートする読書講座「多読ジム」。多読ジムの新運営リーダーである大音美弥子のロール名が「冊匠(さっしょう)」。ナビゲーターである冊師の勉強会(伝習座にあたる)の名前が「工冊會(こうさつえ)」に決まった。その言葉の響きから冊匠=殺傷、工冊會=絞殺会と物騒な連想をする人もいるだろう。そうすると「代将」はその罪をつぐなう、つまり「代償」するという意味も込められているのかもしれない。厳しくも優しい、きついけど楽しい、痛くて気持ちいい。受講者にとってたまらない多読ジムになっていってほしい。いやそうしてほしい。それはロール名として初めて「将」の字を冠した、金代将の手腕と器量にかかっている。
  • 吉村堅樹

    僧侶で神父。塾講師でスナックホスト。ガードマンで映画助監督。介護ヘルパーでゲームデバッガー。節操ない転職の果て辿り着いた編集学校。揺らぐことないイシス愛が買われて、2012年から林頭に。

コメント

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川邊透

2025-06-30

エディストの検索窓に「イモムシ」と打ってみたら、サムネイルにイモムシが登場しているこちらの記事に行き当たりました。
家庭菜園の野菜に引き寄せられてやって来る「マレビト」害虫たちとの攻防を、確かな観察眼で描いておられます。
せっかくなので登場しているイモムシたちの素性をご紹介しますと、アイキャッチ画像のサトイモにとまる「夜行列車」はセスジスズメ(スズメガ科)中齢幼虫、「少し枯れたナガイモの葉にそっくり」なのは、きっと、キイロスズメ(同科)の褐色型終齢幼虫です。
 
添付写真は、文中で目の敵にされているヨトウムシ(種名ヨトウガ(ヤガ科)の幼虫の俗称)ですが、エンドウ、ネギどころか、有毒のクンシラン(キョウチクトウ科)の分厚い葉をもりもり食べていて驚きました。なんと逞しいことでしょう。そして・・・ 何と可愛らしいことでしょう!
イモムシでもゴキブリでもヌスビトハギでもパンにはえた青カビでも何でもいいのですが、ヴィランなものたちのどれかに、一度、スマホレンズを向けてみてください。「この癪に触る生き物をなるべく魅力的に撮ってやろう」と企みながら。すると、不思議なことに、たちまち心の軸が傾き始めて、スキもキライも混沌としてしまいますよ。
 
エディスト・アーカイブは、未知のお宝が無限に眠る別銀河。ワードさばきひとつでお宝候補をプレゼンしてくれる検索窓は、エディスト界の「どこでもドア」的存在ですね。

堀江純一

2025-06-28

ものづくりにからめて、最近刊行されたマンガ作品を一つご紹介。
山本棗『透鏡の先、きみが笑った』(秋田書店)
この作品の中で語られるのは眼鏡職人と音楽家。ともに制作(ボイエーシス)にかかわる人々だ。制作には技術(テクネ―)が伴う。それは自分との対話であると同時に、外部との対話でもある。
お客様はわがままだ。どんな矢が飛んでくるかわからない。ほんの小さな一言が大きな打撃になることもある。
深く傷ついた人の心を結果的に救ったのは、同じく技術に裏打ちされた信念を持つ者のみが発せられる言葉だった。たとえ分野は違えども、テクネ―に信を置く者だけが通じ合える世界があるのだ。

山田細香

2025-06-22

 小学校に入ってすぐにレゴを買ってもらい、ハマった。手持ちのブロックを色や形ごとに袋分けすることから始まり、形をイメージしながら袋に手を入れ、ガラガラかき回しながらパーツを選んで組み立てる。完成したら夕方4時からNHKで放送される世界各国の風景映像の前にかざし、クルクル方向を変えて眺めてから壊す。バラバラになった部品をまた分ける。この繰り返しが楽しくてたまらなかった。
 ブロックはグリッドが決まっているので繊細な表現をするのは難しい。だからイメージしたモノをまず略図化する必要がある。近くから遠くから眺めてみて、作りたい形のアウトラインを決める。これが上手くいかないと、「らしさ」は浮かび上がってこない。