何の前触れもなく突如、虚空に出現する「月人」たち。その姿は涅槃来迎図を思わせるが、その振る舞いは破壊神そのもの。不定期に現れる、この”使徒襲来”に立ち向かうのは28体の宝石たち…。
『虫と歌』『25時のバカンス』などで目利きのマンガ読みたちをうならせた市川春子が王道バトルもの(?)を描いてみたら、とんでもないことになってしまった!
作者自らが手掛けたホログラム装丁があまりにも美しい。写真ではちょっとわかりにくいか。ぜひ現物を手に取ってほしい。
(市川春子『宝石の国』講談社)

「ナポレオンも戦争も朝顔も、港も潮も、すべて本になる。ありとあらゆる”ちえ”を一番かたちにしてきた乗り物が、本なんですね。」
福井県敦賀市の駅前に、賑わい・交流の新拠点「otta」が、明日9月1日にオープンする。EELは、otta内の本屋スペース「ちえなみき TSURUGA BOOKS & COMMONS」の選書プロデュースや本棚編集を行なった(詳細は以前エディスト記事で紹介)。
ちょうど10年前の2012年に、丸の内オアゾ内の実験書店「松丸本舗」が店仕舞いをし、年末に編集工学研究所&松岡正剛事務所は、赤坂から、現在の赤堤に引っ越した。松岡校長の構想のもと、知の移転を試みた。新たな空間である1階本楼や2階学林堂の書棚群に6万冊以上の本を配架し、たくさんのイシスの皆さんと、それぞれ担当する棚や複数の棚エリアに意味の束や模様を編集した。千夜千冊1493夜『知識の社会史』に詳しいので読まれたい。
やがて本楼はイシスの知と人がまじわる活きた劇場となり、新たな文脈の地と図と格闘する本棚編集の知恵は、近畿大学「ビブリオシアター」や良品計画「MUJIBOOKS」、資生堂「SHISEIDO THE TABLES」や角川武蔵野ミュージアム「エディットタウン」に継承、拡張されてきた。
敦賀市知育・啓発施設プロジェクトの基幹拠点として始動した「ちえなみき」も、そのジーンとミーム、コードとモードを受け継いでいる。知と共読が波うつコモンズが、敦賀駅前に動きだす予定だ。本記事の冒頭に少しだけ紹介した松岡校長のメッセージ動画も店内で流れる。千枝のように交差する本棚とともに、ぜひ現地で見ていただきたい。
[編工研界隈の動向を届ける橋本参丞のEEL便]
//つづく//
橋本英人
函館の漁師の子どもとは思えない甘いマスクの持ち主。師範代時代の教室名「天然ドリーム」は橋本のタフな天然さとチャーミングな鈍感力を象徴している。編集工学研究所主任研究員。イシス編集学校参丞。
かつて校長は、「”始末”とは、終わりのことですが、エンディングとビギニングは一緒だということ。歌舞伎役者が最後に舞いたい踊りは、自分を目覚めさせる踊りかもしれないわけで、終わりのメッセージとは、何か始まりを感じさせるもの […]
「日本流(経営)の本質は、異質なものを編集する力だったはずだ。ーーー異質なデータを価値ある情報に編集する知恵がこれからの勝負となる。それをセマンティックプラットフォーマーと呼んでいる。」 一橋大学ビジネスス […]
【参丞EEL便#034】 職場から「おしゃべり」が失われている?
ブライアン・イーノは、1996年に「scenius(シーニアス)」という言葉をつくった。「scene + genius」。文化的および知的進歩の多くは、あるシーン(やリアルな場所)から、一種の集合的魔法をおこした多数の人 […]
【参丞EEL便#033】「ちえなみき」で触れる7つの文字の世界
ひとつ、「雲」という字は元々は「云」と書き、これは雲気たなびく下に、竜のくるっと巻いたしっぽが見えている形である。大昔、人々は雲の中に「竜」がいると考えていた。 来場者10万人を突破した福井県敦賀市「ちえなみき」で、「一 […]
赤坂から、赤堤へ。 2012年12月、EELは6万冊の本と一緒に、赤坂から赤堤(最寄りが豪徳寺駅)へと引っ越しをした。知の移転を行った。 そこからちょうど10年、校長への献本や千夜本や、EELプロジェクト関 […]
コメント
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2025-10-02
何の前触れもなく突如、虚空に出現する「月人」たち。その姿は涅槃来迎図を思わせるが、その振る舞いは破壊神そのもの。不定期に現れる、この”使徒襲来”に立ち向かうのは28体の宝石たち…。
『虫と歌』『25時のバカンス』などで目利きのマンガ読みたちをうならせた市川春子が王道バトルもの(?)を描いてみたら、とんでもないことになってしまった!
作者自らが手掛けたホログラム装丁があまりにも美しい。写真ではちょっとわかりにくいか。ぜひ現物を手に取ってほしい。
(市川春子『宝石の国』講談社)
2025-09-30
♀を巡って壮絶バトルを繰り広げるオンブバッタの♂たち。♀のほうは淡々と、リングのマットに成りきっている。
日を追うごとに活気づく昆虫たちの秋季興行は、今この瞬間にも、あらゆる片隅で無数に決行されている。
2025-09-24
初恋はレモンの味と言われるが、パッションフルーツほど魅惑の芳香と酸味は他にはない(と思っている)。極上の恋の味かも。「情熱」的なフルーツだと思いきや、トケイソウの仲間なのに十字架を背負った果物なのだ。謎めきは果肉の構造にも味わいにも現れる。杏仁豆腐の素を果皮に流し込んで果肉をソース代わりに。激旨だ。