『絵師ムネチカ』から目が離せない。天才は往々にして何かが欠けている。そしてそのこと自体がまた天才の天才性を引き立たせる。周囲の人々の鼻面を引き回し、人生を変えていく「天才少年」のデモーニッシュな魅力を容赦なく描いた怪作。
これまでにも「神童」もの(?)を数多く描いてきたさそうあきら先生だが、ご本人は極めて方法に自覚的な職人タイプ。長年、マンガ学科の教員として教鞭をとり、『マンガ脚本概論』などの技法書にも定評がある。
天鵞絨という生地は手触りが普通の織物と違う。何かそこに深く揃っているものを感じる。そして、同じ色なのに襞や角度によって微妙に色が変化する。今回の汁講で私たちが見た映像『天鵞絨』の松岡校長の言葉である。
汁講に参加した学衆は3名。天鵞絨のグラデーションのように、徐々に場に集まる。最初に到着したのは、知文AT賞で取り組んだ『人間はどこまで動物か』(日高敏隆、新潮社)には、元々、岩波新書の中に社会学、哲学にまで広く影響を与えた生物学者アドルフ・ポルトマンによる同名タイトルの本があった理由を深く推理した齊藤さん。その後、いとうせいこうのファンでもあり、今回の汁講で松岡校長と背中合わせで対話する不思議な映像に感激した三澤さんと、破の稽古と仕事が混ざっていると感じている井手さんが一人ずつ順に合流する。「汁講がこのまま続けば、残りのメンバーも順番に現れるかも」和やかに汁講が続く中、ふと、参加できなかった仲間の存在を感じ、夢みたいな言葉を誰かが思わず口にした。
八田律師がサプライズで用意した『天鵞絨』に加え、20年近く前の若々しい松岡校長と映像で出会い編集学校のクロニクルに思いを馳せる。続いて、物語編集術に踏み込むキッカケにして欲しいと願う阿曽師範代の丁寧な解説に沿ったリアル稽古に取り組む。あっという間に予定していたプログラムが終わり、気が付けば残るは懇親会のみである。
世代も住む場所も違うのに、話をしていくと、実は師範代を含め仕事の内容が近いのも深いところで揃っている天鵞絨らしく、編集学校と仕事の話が弾む。最後に持ち寄った本を互いにアピールしながら交換する。”観察眼を鍛える”、”眼鏡を掛け替る”、”モーラする”、想像散歩する”、”愛を想う”。アピールポイントもイメージが連鎖しながら、物語に向けた歩みにつながる。これもまた天鵞絨。
2019年12月15日(日)
「どろんこ天鵞絨教室」汁講
◎43[破]原田淳子学匠 八田英子律師 北原ひでお師範
◎どろんこ天鵞絨教室 阿曽祐子師範代
参加学衆:井手亮介、三澤洋美、齊藤肇(敬称略)

きたはらひでお
編集的先達:ミハイル・ブルガーコフ
数々の師範代を送り出してきた花伝所の翁から破の師範の中核へ。創世期からイシスを支え続ける名伯楽。リュックサック通勤とマラソンで稽古を続ける身体編集にも余念がない、書物を愛する読豪で三冊屋エディストでもある。
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コメント
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2026-03-19
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これまでにも「神童」もの(?)を数多く描いてきたさそうあきら先生だが、ご本人は極めて方法に自覚的な職人タイプ。長年、マンガ学科の教員として教鞭をとり、『マンガ脚本概論』などの技法書にも定評がある。
2026-03-17
目玉入道、参上。
体を膨らませ、偽りの目玉(眼状紋)を誇張して懸命に身を守ろうとしているのは、カイコの原種とされるクワコの幼虫。クワコの繭から取れるシルクは、小石丸のそれに似て細く、肌触りがよいらしい。
2026-03-10
平和に飛び交うモンシロチョウも、地球史スケールでは、ほんの少し前に日本にやって来たばかりのパイオニアらしい。押さえきれない衝動に駆り立てられて彼方に旅立つ人たちの原型は、海をわたる蝶なのかもしれない。