14綴から新設された「トリガー・クエスト」の最後のお題が出題され、1週間後に参稿を控える12月4日(日)。
待ちに待ったリアル稽古「蒐譚場」は、今年もオンラインと本楼でのハイブリッド開催となった。
だが、南は石垣島から北は北海道まで、寒暖差22度…どころか、海外受講組も多い物語講座にとっては(今綴はノルウェー、オーストラリアからも!)、むしろ全員がこの場に集える環境として、望むところ。
文叢の仲間たちに会えるのが楽しみな人、新たな方法を得ようと虎視眈々の人、やや停滞気味の稽古に後ろめたさを抱えつつ浮上のきっかけを求める人…。続々と本楼に集う叢衆の、それぞれに期待と不安がないまぜのキラキラした顔に、月匠、林頭、綴師、創師、師範のプロローグ挨拶から、すでに尋常ではない熱がこもっていた。続くプログラム01「叢人譚」では、師範代が文叢と叢衆を語り、叢衆が物語と稽古を語る。十分に物語筋が温まったところで、蒐譚場名物プログラムのひとつ「文叢八譚」が幕をあけた。
◆プログラム02:文叢八譚
物語講座の文叢(教室)名は、2つの物語作品の一種合成で生み出されるのが常である。この2つの物語を使い、文叢ごと90分の共読・共作で、新たな物語を生み出し、1冊の本を装丁まで完成させるという、スーパーでハイパーなリアル稽古。一度経験すると絶対に忘れることのできないワークショップだ。
果たして、今年の出来は上々。道中は気が気じゃなかった月匠・綴師・創師も、各文叢のプレゼン後には、「このデザイン、ワクワクする」「出版社や作者にも工夫があるね」「続きが読みたい!」と絶賛の総評が飛び交った。
月匠×綴師×林頭による、お稽古スタート前哨戦となるスペシャル講義。
「映像の世紀」をベースにした月匠×綴師の1910語り、編伝鼎談は、当然の絶品。ZOOMの向こうで「物語の力」を語る林頭の背に、「物語五要素」の短冊がみっちりと垂れ下がっていたのが印象的だった。物語における「ルル3条」の効用に、目から鱗が落ちた叢衆も多かったのではないだろうか。
とっぷりエピローグの振り返りまで堪能した叢衆の顔に、もう不安はカケラもなかった。指導陣の用意周到なダンドリダントツで、距離などものともせずに広がった物語は、それぞれを包み、入り込み、とてつもない着火剤として編集筋を刺激してしまったらしい。
まずは1週間後のトリガー・クエスト参稿、編伝1910を経て2月の績了まで、未知に飛び込む勇気を持って、「あいだ」を物語る旅は続く。
小濱有紀子
編集的先達:倉橋由美子。古今東西の物語を読破し、数式にすることができる異才。国文学を専攻し、くずし字も読みこなす職能。自らドラムを打ち鳴らし、年間50本超のライブ追っかけを続ける情熱。多彩で独自の編集道を走る、物語講座・創師。
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