『キャラ者』は、”マンガ家”だった頃の江口寿史の、(まとまった作品としては)ほぼ最後の仕事。恐るべきクオリティの高さで、この才能が封印されてしまったのはもったいない。
「来年こそはマンガ家に戻ります!」と言ったのは、2016年の本の帯(『江口寿史KING OF POP SideB』)。そろそろ「来年」が来てもいいだろう。

世界は偶然に満ちている。
アメリカ作家オースターの持論であり、「偶然」を好んで小説に取り入れてきた。それが人気の一因となる一方、偶然はそうそう起きるものではないという批判もある。そんなオースターが意を強くする事件が、49[破]で起きた。
事の顛末はこうだ。
藍染発する教室の師範代として49[破]に登板する古谷奈々は、「日本の工芸を元気にする!」というビジョンをもつ中川政七商店に務めている。その古谷が11月初旬、visionsというサイトのライター2人から取材を受けた。Zoomでの取材が始まるや否や、ライターのひとりから「私はあなたを知っている」と告げられる。きょとんとする古谷に、もうひとりのライターが、自分は49[破]の学衆であると明かしたのだ。
前者はかつてイシス編集学校の学衆、いまは感門団で活躍する内村寿之、後者は縞状アンサンブル教室の学衆、鳥本菜々美である。「自分らしい社会への役立ち方」をテーマに取材をし情報を発信するvisionsと、日本工芸の活性化に取り組む中川政七商店と、双方のビジョンが共鳴した結果、古谷の取材へとつながったのである。
「インタビュー編集術みたいなインタビューを受けました。いや、ビックリした」
取材後、学衆・鳥本が聞き手だったことに古谷は驚きつつ、あらかじめ絞られたテーマについて多様な角度から質問を重ね話を引き出す鳥本の手際を[破]の編集稽古にたとえた。
インタビューの中で古谷は、「私たちが届けることによって、それが100年後も残る」と、工芸復活に取り組む自社の仕事を誇る。たまたま巡り合った人とモノ、人と人との出会いによって後世に残りつづけるものがある。
そう、世界は偶然に満ちているのだ。
▼49[破]学衆が49[破]師範代に取材したインタビュー編集
◎これからの生き方学/古谷奈々さん
白川雅敏
編集的先達:柴田元幸。イシス砂漠を~はぁるばぁると白川らくだがゆきました~ 家族から「あなたはらくだよ」と言われ、自身を「らくだ」に戯画化し、渾名が定着。編集ロードをキャメル、ダンドリ番長。
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コメント
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2025-10-15
『キャラ者』は、”マンガ家”だった頃の江口寿史の、(まとまった作品としては)ほぼ最後の仕事。恐るべきクオリティの高さで、この才能が封印されてしまったのはもったいない。
「来年こそはマンガ家に戻ります!」と言ったのは、2016年の本の帯(『江口寿史KING OF POP SideB』)。そろそろ「来年」が来てもいいだろう。
2025-10-14
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