外国語から日本語への「翻訳」もあれば、小説からマンガへの「翻案」もある。翻案とはこうやるのだ!というお手本のような作品が川勝徳重『瘦我慢の説』。
藤枝静男のマイナー小説を見事にマンガ化。オードリー・ヘプバーンみたいなヒロインがいい。
満月が欠けていき、連続して三晩の闇がくる、そこで月は「死」を迎えたかに見えるのだが、それから細い新月が「再生」し、また偉大な活力を発揮しはじめる。古代人はそこに月が生きているという実相を見たのだった。―――『ルナティックス 月を遊学する』(松岡正剛著)
満月に見守られて眠りについた18名の師範代たちが、52[守]への出遊を果たしたのは、2023年10月30日の正午のことである。「世界も日本も大きな曲がり角にあるこんな時だからこそ、ようこそイシス編集学校へ」と校長の松岡正剛が学衆たちの入門を寿いだ。さらに、「ユニークな「お題」で発想力と表現力を磨き、情報の見方と読み方に通じてほしい」と鼓舞する。すかさず、師範代たちが最初のお題001番【コップは何に使える?】を教室に出題した。
カミ・カゲ・イノリ教室では、20代の学衆が「拙い回答でお目汚してしまうかもしれませんが、若輩者故ご理解いただけると幸いです」と控え目に点呼に応じた。直後に「お母さんに入力を手伝ってもらっています」と小学2年生の学衆が発言する。変速シフト教室にも、「今、74歳です。愛犬のトイプードルと毎日、散歩しながらこれからの講座に、不安ながらも、皆さんについていけるよう頑張りたいと思います」との声が届く。思考力、発想力を磨くのに、年齢も属性も関係ない。学衆の多色なバックグラウンドは、イシスならではの光景だ。
点呼への応答と並行して、001番への回答も続々と届く。風月盆をどり教室師範代の飯田泰興は、「盆踊りのように、まねて、踊っていこう」と教室全体に声をかけ、回答を受け取ってちょうど1時間後から高速指南をはじめた。数時間後、「心に溜めておくのももやもやするので送ってみます」と学衆の一人から声があがった。「編集にとって、オリジナリティと汎用性のどちらが大切なのだろうか」。指南と他の学衆の回答を見て、ふと問いがよぎったという。
松岡は、編集稽古とは「積極的に」お題に対応することという。「積極的に」とは、与えられた問題(give)に対して、そこに問題があると見て(find)、それに対する視点や立場を新たにもつ(make)こと。すなわち「“give”と“find”と“make”を一連させよう」という構えで臨み続けることである。風月盆をどり教室に放たれた問いに、師範代はもちろん「編集や発想について考える良い機会」と出会ったばかりの教室仲間もコメントを寄せた。開講2日目にして、“give”から“find”“make”へのジャンプを果たそうとする学衆たちは、既にお題002番【アタマの中の探検】に取り組み始めている。一か月後の満月の夜、彼らはどのような「再生」を果たしているのか。
(文/52守番匠 阿曽祐子)
イシス編集学校 [守]チーム
編集学校の原風景であり稽古の原郷となる[守]。初めてイシス編集学校と出会う学衆と歩みつづける学匠、番匠、師範、ときどき師範代のチーム。鯉は竜になるか。
春のプール夏のプール秋のプール冬のプールに星が降るなり(穂村弘) 季節が進むと見える景色も変わる。11月下旬、56[守]の一座建立の場、別院が開いた。18教室で136名の学衆が稽古していることが明らかに […]
番選ボードレール(番ボー)エントリー明けの56[守]第2回創守座には、教室から1名ずつの学衆が参加した。師範代と師範が交わし合う一座だが、その裏側には学衆たちの賑やかな世界が広がっていた。 師範の一倉弘美が俳句で用法3を […]
秋の絵本を「その本を読むのにふさわしい明るさ」で3つに分けると、陽だまり・夕焼け・宵闇になる。 多読アレゴリア「よみかき探究Qクラブ」のラウンジに出された問い「本をわけるあつめる。するとどうなる?」への答えだ。 クラブで […]
教室というのは、不思議な場所だ。 どこか長い旅の入口のような空気がある。 まだ互いの声の高さも、沈黙の距離感も測りきれないまま、 事件を挟めば、少しずつ教室が温かく育っていく。そんな、開講間もないある日のこと。 火種のよ […]
かなりドキッとした。「やっぱり会社にいると結構つまんない。お給料をもらうから行っておこうかなといううちに、だんだんだんだん会社に侵されるからつらい」。数年前のイシス編集学校、松岡正剛校長の言葉をいまもはっきりとはっきり […]
コメント
1~3件/3件
2025-12-25
外国語から日本語への「翻訳」もあれば、小説からマンガへの「翻案」もある。翻案とはこうやるのだ!というお手本のような作品が川勝徳重『瘦我慢の説』。
藤枝静男のマイナー小説を見事にマンガ化。オードリー・ヘプバーンみたいなヒロインがいい。
2025-12-23
3Dアートで二重になった翅を描き出しているオオトモエは、どんな他者に、何を伝えようとしているのだろう。ロジカルに考えてもちっともわからないので、イシスなみなさま、柔らか発想で謎を解きほぐしてください。
2025-12-16
巣の入口に集結して、何やら相談中のニホンミツバチたち。言葉はなくても、ダンスや触れ合いやそれに基づく現場探索の積み重ねによって、短時間で最良の意思決定に辿り着く。人間はどこで間違ってしまったのだろう。