外国語から日本語への「翻訳」もあれば、小説からマンガへの「翻案」もある。翻案とはこうやるのだ!というお手本のような作品が川勝徳重『瘦我慢の説』。
藤枝静男のマイナー小説を見事にマンガ化。オードリー・ヘプバーンみたいなヒロインがいい。
「山の山頂、ピークの先にある見たこともない風景を、みんなで見たい」。6月7日に開催された55[守]「第2回創守座」で山派レオモード教室の田中志穂師範代が熱を込めて語った。
「創守座」はイシス編集学校で教室をあずかる師範代の研鑽の場。当日プログラム『55守Nowインタースコア』では、師範代が教室運営の前半を振り返り、今後の向かう先を宣言する。田中師範代は42[花]を終えたばかりの初登板師範代。18人の師範代の一人として取組みを発表した。
編集学校では、師範代が教室ごとに独自の仕立てや運営方針を定めて稽古を進める。教室デザインの自由度は高く、とてもクリエイティブ。それだけに、どのようなスタイルで何を伝えていきたいか?という全体の設計がとても重要になる。
教室運営のデザインは、教室名の名づけと教室フライヤー制作からスタートする。山登りが大好きな田中師範代に名付けられた教室名は「山派レオモード教室」。レオモードは物理学者のデヴィッド・ボームがつくった、主客をわけない実験的な文法の名称だ。こうしたオリジナルな教室名を手掛かりに、師範代は自分の教室イメージを膨らませたフライヤーを制作する。
田中師範代はフライヤーのキャッチコピーを「遊動する?」と置いた。主客まぜこぜのレオモードで編集すれば、「山は山好きたちと遊んでいる」とも見立てられる。見方の変化によって、不動の山が楽し気に躍動しはじめる。コピーの最後は「編集の力で社会の姿はガラリとかわる。さぁ、ピークの先を目指して出発しよう。」と結んだ。
「山派レオモード教室」フライヤー
そんな田中師範代の教室は、師範代と学衆が立場を超えて対話する活発な教室となった。師範代が中心ではなく学衆同士がお互いの回答を読み合い発言する。主客を超えた学びの場が生まれている。真面目に愉しむもあり、軽やかに愉しむもあり、キュートに愉しむもあり、愉しみ方は人それぞれ。とことん編集で遊び、編集の面白さを実感できる教室づくりをめざす田中師範代の運営方針が活きている。
「僕も師範代のような文章が書けるようになりたい」。発表の場で学衆からもらった嬉しい言葉を紹介した田中師範代。型をつかって師範代に取り組む手ごたえと共に、編集の型の力を再認識したと振り返った。稽古を通じてどんどん変わる学衆のものの見方。これまで見たことのない風景をみんなで見たいと教室の向かう姿もより鮮明になってきた。
普段の田中師範代は難民支援のNPOで広報の仕事をこなす一児の母。編集を学ぶ根底には、動かない社会の境界を揺るがし、つなぎ、より寛容な世界をつくりたいとの想いがある。編集学校の教室デザインには、師範代一人ひとりが大切にしている想いや願いが滲み出してくる。デザインの自由度が高いがゆえにすべったり転んだりの失敗も多くある。ただ、権威や手続きに依ることなく学びを興すしなやかなリーダーシップはこれからの人生の大きな財産にもなっていく。次の頂を目指す田中師範代。さらに遊び心に溢れる躍動的な教室への試行錯誤が続く。
文・写真:奥本英宏
イシス編集学校 [守]チーム
編集学校の原風景であり稽古の原郷となる[守]。初めてイシス編集学校と出会う学衆と歩みつづける学匠、番匠、師範、ときどき師範代のチーム。鯉は竜になるか。
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秋の絵本を「その本を読むのにふさわしい明るさ」で3つに分けると、陽だまり・夕焼け・宵闇になる。 多読アレゴリア「よみかき探究Qクラブ」のラウンジに出された問い「本をわけるあつめる。するとどうなる?」への答えだ。 クラブで […]
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コメント
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2025-12-25
外国語から日本語への「翻訳」もあれば、小説からマンガへの「翻案」もある。翻案とはこうやるのだ!というお手本のような作品が川勝徳重『瘦我慢の説』。
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2025-12-23
3Dアートで二重になった翅を描き出しているオオトモエは、どんな他者に、何を伝えようとしているのだろう。ロジカルに考えてもちっともわからないので、イシスなみなさま、柔らか発想で謎を解きほぐしてください。
2025-12-16
巣の入口に集結して、何やら相談中のニホンミツバチたち。言葉はなくても、ダンスや触れ合いやそれに基づく現場探索の積み重ねによって、短時間で最良の意思決定に辿り着く。人間はどこで間違ってしまったのだろう。