編集部が選ぶ2025年7月に公開した注目のイチオシ記事6選

2025/08/26(火)11:55 img
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公開されるエディスト記事は、毎月30本以上!エディスト編集部メンバー&ゲスト選者たちが厳選した、注目の”推しキジ” をお届けしています。見逃した方はぜひこちらの記事でキャッチアップを。

 

では、2025年7月に公開された記事の中から選ばれたオシ記事6選をご紹介します。

 

今回は、8月18日に松岡正剛校長の自伝『世界のほうがおもしろすぎた』が刊行されたことを記念して、マツコメントに続いて、書籍から校長の言葉をPickしてご案内しました。あわせてお楽しみください。

 

 

  • 1 チーム渦 柳瀬’s 推しキジ!  yanase
  • イシスの秘密でPick!

トランジット・ワークするキャンプ!

生成AIは次々に新情報を生み出し、SNSがあっという間に情報を広げていく。

情報の洪水の中を泳ぐ力が、時代に要請されている。しかし、イシスの師範代たちは、泳ぐだけでない。次の流れをつくっていく。師範代を養成する場の秘密を知りたくないだろうか。その秘密の一端を明かしているのが、本記事だ。花伝所のキャンプでは、飛び交うテキストの中で「私」が編集され、様々な情報と繋がる「たくさんの私」が引きだされていく。「私」を卒業し、世界と繋がる「たくさんの私」に出会う。そこが、師範代への扉である。 柳瀬 浩之

チーム渦を代表して柳瀬さんが選者として参加。師範代経験もあり、もちろん花伝所を通過した柳瀬さんが着目したのは、花伝所が誇る「キャンプ」レポートでした。濃密な交わしあいの時間が入伝生に様々な気づきや不足を提供したことが分かりますね。全国の企業でリーダーシップ研修を行う柳瀬さんが花伝所の記事に注目したことに意味がありますね。編集学校のジャーゴンたっぷりでまとめられた渋谷菜穂子の満身のレポート、突破した皆様は必読でどうぞm(__)m
マツコ
マツコ

 

松岡正剛校長『世界のほうがおもしろすぎた』より

もうひとつ考えたのは、このインタビューでも最初に話したことですが、ぼくには一顧のアイデンティティというものに対してずっと疑問があった。本当は、誰もが自分のなかに、いくつもの自分というものを持っている。かつてプロ野球選手に憧れた自分、ピーター・パンのように空を飛べると思っていた自分、ファイティング原田のように三分間の闘いに挑もうとする自分というようにですね。にもかかわらず、社会のなかでは、ひとつの自分というものに、どんどん限定されていってしまう。ややもすると自分の周りの社会、小さな世間が規定してくるもののほうが早くて、ピーター・パンやファイティング原田であろうとすることを阻んでくる。「そんなの嘘だろう」「無理だろう」というふうに追い詰められてしまう。そんな社会や世間に抵抗したくても、では自分のなかにあるいくつもの自分はどこに、どうやって置いておけばいいのか。これがぼくの積年の疑問であり課題でもあったわけです。(p.262-263)

 

 

  • 2 宮前’s 推しキジ! 
  • “実演する・物語する・別様する”解説でPick!

 

編集用語辞典 21 [BPT]

 

なぜ「編集用語辞典」としながら辞書的定義がないのでしょう? 答えは、この創文自体にあります。ヨシタケシンスケ展の「かもしれない」に足を止める体験(B)。逡巡のうちに著者と読者の境界は消え、物語が始まります。ラジオの語りから「余白」が浮上し、ソージとルイジにより事象には複数の解釈が潜むと直感する。認知科学や身体性が加わり、BPTは人間本来の知のモデルとして立ち上がる。さらに「ふくみあい」「一座建立」により日本文化に再定位され、虚実論を経て生命誌へと拡張される(複数のP)──こうして読者は別様の可能性に触れ、自らの視界を更新する(T)。つまり、この創文自体がBPTの実演であり、読者変容の物語でもある。だからこそ、この一篇は「編集用語辞典」に相応しいのです。──宮前 鉄也 

流麗な文章で名高い宮前さんが選者として参加下さり、選んだものはこれまた流麗さにほれぼれする丸さんの編集用語辞典。宮前さんが丸さんの編集用語辞典の構造を、さらに俯瞰した目でBTPを通して表現してくださいました。丸さんの用語辞典本文と、宮前さんの推薦コメントを、併せて読んでいただきたいですね。 マツコは、今年の新春放談へ丸さんにゲスト出演いただいたときの願いをかなえていただき、BPTを題材にしてくださったことに感謝~。どうやって編集用語辞典を編集されているのかは、新春の記事をご参考にどうぞ!
マツコ
マツコ

 

松岡正剛校長『世界のほうがおもしろすぎた』より

… ぼくがそういうことをまだ試行錯誤していたときに、よく清水博や山口昌男にも聞いてもらったものですよ。二人とも「おもしろいことを考えるね」と言ってくれた。で、たとえば山口さんは「そこにはアイコンというか、トリックスターみたいなヘンなものも出てくるよね」といったヒントをくれるわけです。「そうか、そういうものもあるな」ということで、いったん世界観を定めたり設定したりしたものの脇のほうから出てくるもの、オンとオフ、インとアウトだけではないところでも出入りするものもいっしょに組み立てようというふうになっていくわけです。それをぼくはのちに「面影」とか「プロフィール」というふうに呼んでいくことになるんですね。(p.214)

 

 

  • 3 衣笠’s 推しキジ! 
  • にじみ出る魅力でPick!

ゆうこ師範代 焼き栗と千本ノックの夜―55[守]汁講

江戸文化研究者として鮮やかな視点をもち、AIDAボードメンバーであり、

イシス編集学校の学長という「たくさんのわたし」を体現する田中優子さん。

そのもう一つの顔、55[守]師範代として教室に登場する「ゆうこ師範代」の姿も見逃せません。
いつもの鋭さとは異なる、親しみのある語り口とスピーディな指南で、
稽古と遊びが溶けあう濃密な場をつくり出すゆうこ師範代の魅力が伝わってきます。
ぜひその柔らかさと確かな視点に触れてください。── 衣笠 純子

学林局・黒膜衆の衣笠さんが選んだのは、景山師範が手掛けた汁講レポート。田中ゆうこ師範代、そして兄弟教室の辻志穂師範代の心温まる汁講ムードが臨場感たっぷりに語られますね。ところで、基本コース[守]は、24日(日)にコース修了、「卒門」を迎えました。汁講を経て、学衆さんたちはきっとエネルギー満タンに走りきることができたのではないでしょうか?
マツコ
マツコ

 

松岡正剛校長『世界のほうがおもしろすぎた』より

そういう経験をしてきた立場からすると、ぼくの編集術を学んだ人たちが何百、何千という単位で社会のなかに出現してきたときに、きっといろんなことを起こしていってくれるんじゃないかと思います。いよいよそういうことが、編集学校のみんなにも問われたり試されたりしていく時期にきているんだろうと思ってますね。(p.269)

 

 

  • 4 後藤’s 推しキジ! 
  • ー 別典祭がやってくる!Pick!

【軽井沢別想フロンティア】浅羽米プロジェクト2025 稼働!

突然はじまった多読アレゴリア軽井沢別想フロンティアによる「浅羽米プロジェクト」連載!「浅羽米プロジェクト」とは、11月23日と24日に開催される別典祭に出品する浅羽登志也(モーリス浅羽)が育てるお米の成長記録です。書き手は中原洋子。写真と文で軽井沢の地にすくすくと育つ稲の様子をお届けしています。虫の目のレポートに、土地の季節が感じられる充実の写真が組み合わされて、軽井沢からの風便りのよう。先日第2報も公開されました。
軽井沢別想フロンティアが見守る浅羽米は別典祭で限定販売としてお目見えします。 ── 後藤 由加里

マツコが第16期の花伝所のときに師範だったのがモーリス浅羽こと、浅羽師範でした。あのときは2011年。ファーマー浅羽になる直前の時期だったのかなと思いました。それにしても、多読アレゴリアのチーム軽井沢では何をしているのかなぁと思っていたら、浅羽米の連載がはじまって、中原さんの写真と文章にホッコリしております。お米を、自分の手で無農薬で育てるには、さぞかし編集力がいることなのか、どうなのかな?このあとの連載も楽しみにしております~。
マツコ
マツコ

 

松岡正剛校長『世界のほうがおもしろすぎた』より

…ぼくはだから、そういう日本の「おおもと」にあたるものを、「耐影」というふうに呼んできました。それが何であるかは名指しできないもので、捉えようとしたとたん移ろっていってしまうものである。にもかかわらず、日本はそれをいろんな方法によって繰り返し再現しようとしてきた。だから日本のことを理解するには、この「方法」のほうを見ようとしないかぎり何もわからない。そこにはまた独特なジャパンフィルターのようなものがたくさんあって、それが扇の骨の数とか、屏風の六曲一双とか、日本の和歌の五・七・五・七・七になってきた。つまり方法日本は、多種多層なエディティングフィルターによって形づくられてきた。そういうふうに見ることで、編集という方法と日本という方法を重ねてきたわけです。(p.344)

 

ねえねえ、別典祭って、なんなのよ?という方は、次なる金副編集長の推しコメントをどうぞ~
マツコ
マツコ

 

  • 5 金 副編集長’s 推しキジ! 
  • ー 多読でPick!

 

【2025秋募集★多読アレゴリア】「別典祭」ダイダイ大開催!!!! イシスの新しいお祭り?

イシスの新しいお祭「別典祭」(べってんさい)を開催します! 主催は多読アレゴリアですが、クラブメンバー以外の方、イシスの受講者以外の方も、誰でも参加できます。2025年11月23日(日) & 24日(月・祝)は、ぜひ予定を空けておいてくださいね。
この記事では紹介できませんでしたが、実は多読アレゴリアの秋シーズンにはもう一つのビッグニュースがあります。なんとあの超人気ポッドキャスト番組を制作する「ほんのれん」がアレゴリアのクラブとして参入することが決定しました。その名も「ほんのれんクラブ」です。
詳細はこちら→【特報】ほんのれんクラブ、ついに誕生!【多読アレゴリア・申込受付スタート】:https://edist.ne.jp/just/news_honnoren_club/)。── 金 宗代

「別典祭」とは、多読アレゴリアの新しいお祭りなんですね!マイ編集用語辞典に書き込んでおかなきゃ。どんな感じなのかな、いろいろなブースが出て、豪徳寺の本楼が文化祭のようになるのかと勝手にイメージしました、そんな感じでいいのでしょうか? また続報がきっと届くと思うので楽しみにしています。ほんのれんもアレゴリア入りするんですね!先日、夜中に虎ノ門のmagma book前を通りまして、ほんのれんのコーナーが中にあるところよね、と、ウィンドウを眺めてまいりました。
マツコ
マツコ

 

松岡正剛校長『世界のほうがおもしろすぎた』より

日本にもかってコーヒーハウスに似たものがありました。それは茶の湯です。茶の湯はわずか数人しか入れないような極小の茶室で行われるものです。草履を脱いで腰の大小(刀)をはずして、小さな躙り口から腰をかがめて茶室の中に入って、亭主のもてなしを受ける。そこでは小さなお菓子をいただき、お茶だけを飲む。でもその茶室のなかではそれまで誰も見たことがないような、楽焼の漆黒の茶碗や織部の歪んだ茶碗なんかが出されて、わずか数カ月後には一万倍もの値段になったりするわけです。これはアダム・スミスのいう「神の見えざる手」でつくられた市場価値ではなく、プロデューサーとしての茶人とそこに呼ばれる客たちのあいだで自由に創発的に生み出されていくもの、クラブ経済なんです。(p.251)

 

 

  • 6 マエストロ上杉’s 推しキジ!  uesugi
  • ー 応援ファンファーレでPick!

 

イシス館書棚見回り「書庫邏隊」いよいよ始動―「2025春の陣」その2

松丸本舗に近大アカデミックシアター、角川武蔵野ミュージアムの本棚劇場に、TSURUGA BOOKS & COMMONS ちえなみき。これらは、松岡校長の代表的な仕事の一つである「ブックウェア(書籍空間プロデュース)」の実践例です。
今回の記事では、編集工学研究所と松岡正剛事務所の一部メンバーで構成された「書庫邏隊」(ショコラ隊)が、松岡校長の書物への情熱を受け継ぎながら、選書の腕を競って仕上げた特別な書棚空間が紹介されています。
このセレクションは、編集工学研究所の来客を迎える入口に設けられた本棚空間である「井寸房」の書棚に展開されています。本楼にお越しの際には、入口右手に配されたこの「ブックウェア」の実践を、添えられたリコメンドのメッセージとともに、ぜひ手にとって味わってみてください。── 上杉 公志

第一弾の記事も、興味深く読みました。写真を見ると、推薦したコメントがカードに書かれているようですね。豪徳寺を訪れた際には、しっかりと井寸房を見てまわりたいものです。9月には感門之盟も行われるようなので、ショコラ隊がつくった書棚空間、要注目!ですね~。
マツコ
マツコ

 

松岡正剛校長『世界のほうがおもしろすぎた』より

…だとしたら、明治であって小説であって心理でもあるようなゾーンを本棚のほうに用意して、「こころ』のまわりにそういう領域性をもった本が集まってくるようにするという方法もあるわけです。そうすることによって、本の並びがそのまま文脈になる、本の並びをみるだけで読書がはじまる、そういう本棚づくりをしていくことも可能になるわけです。いままでぼくが試みてきたのはそういう方法です。どこの棚を見ても、一冊の本が次々とべつな一冊の本を呼び込んでいるように見える。そういう本棚づくりを心掛けてきました。(p.232)

 

 

以上、2025年7月の記事から、エディスト編集部の”イチオシ” を厳選してお届けしました。みなさんのオシは、見つかりましたか?

 

次に選ばれるのは、あなたの記事かもしれない!

 

 


 

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  • エディスト編集部

    編集的先達:松岡正剛
    「あいだのコミュニケーター」松原朋子、「進化するMr.オネスティ」上杉公志、「職人肌のレモンガール」梅澤奈央、「レディ・フォト&スーパーマネジャー」後藤由加里、「国語するイシスの至宝」川野貴志、「天性のメディアスター」金宗代副編集長、「諧謔と変節の必殺仕掛人」吉村堅樹編集長。エディスト編集部七人組の顔ぶれ。

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