『絵師ムネチカ』から目が離せない。天才は往々にして何かが欠けている。そしてそのこと自体がまた天才の天才性を引き立たせる。周囲の人々の鼻面を引き回し、人生を変えていく「天才少年」のデモーニッシュな魅力を容赦なく描いた怪作。
これまでにも「神童」もの(?)を数多く描いてきたさそうあきら先生だが、ご本人は極めて方法に自覚的な職人タイプ。長年、マンガ学科の教員として教鞭をとり、『マンガ脚本概論』などの技法書にも定評がある。

─ 波及のインパクトでPick!
「マンガを方法する」という方針のもと、近畿大学アカデミックシアターDONDENの LEGEND50を走破する長距離マラソン連載の4人目は、近藤ようこ先生でした。編集学校のTwitterで記事がアップされると、近藤ようこ先生自らリツイート。そこから漫画関係の方々に広く波及していきました。話題のみならず、堀江さんが女性漫画家も模写できるということを宣言した回でもありました。エディスト読者の中でも着実にファンが増えている堀江さんの「マンガのスコア」は、今後も必読です。
そして、永遠の少女たちよ、水野英子先生に触れ、あのときの忘れものにも思いを馳せてください。

─ イシスの今をPick!
5月のイシスはずばり「世阿弥」の月と言ってもいいでしょう。世阿弥といえば風姿花伝、風姿花伝といえばISIS花伝所。花伝所の入伝式では風姿花伝に肖ったコーナータイトルがデザイナーの穂積によってあしらわれました。
そして、20周年記念の輪読座は「世阿弥を読む」。新たな仕組みで生まれ変わった輪読座。インタラクティブな設えによって、これまで以上に輪読や質疑が交わされる場になっています。映像、音声で後追いもできるので、今からでもサテライト受講はオススメです。
最後はエディストではありませんが、編集工学研究所専務・安藤昭子による世阿弥読み。免疫システムとの重ね読みもぜひご一読ください。
マツコ:フォトグラファー・後藤由加里の熱ほとばしる花伝10ショット、輪読座からは個性にじみ出る図像たち、そして新しく始まった編集工学研究所のBOOKWARE column。01収集、06凝縮、09原型、10模型、20結合、30相似、33輪郭、39意匠、55場面、56激化(六十四編集技法)などなどが効いてます!
吉村編集長に続いて、金副編集長からは、こちら↓

●第1回連雀会議~風韻史上初の「オンライン仄明」に向けて (JUST記事)
●風に乗ってふらり旅する秘湯歌仙 (POST記事)
5月はついに風韻講座の記事が初登場しました。執筆者は連雀の福澤美穂子さんと大武美和子さん。福澤さんは炭酸水のようなプシュッと爽快なPOSTを、大武さんはJUSTを文字通り軽妙洒脱に、それぞれの持ち味で綴ってくれました。どんな些細な日常でも、編集方法によってニュースになりうることをあらためて実感。ちなみに、木村月匠はいまだにZOOMでカオナシだそうです(笑)。
マツコ:“イシスの温泉”ともいわれる、癒し系・風韻講座の、癒し系連雀のおふたりが、風韻のニュースを届けてくださることになり、編集部としては沸きました。このあとも、楽しみです!

今、エディスト内屈指の筆力・編集力の持ち主のウメコこと、梅澤奈央さんの一作。
間違いなく100年後の歴史にも残っているであろう新型コロナウィルス パンデミック下で、約400年前の利休の茶室文化を通過し、40数億年前の生命にまでリバースしたヒストリックでエキセントリックな吉村林頭講義の方法に触れられる。
ウメコ記事をまだ読んでいないなんて、もったいない!
マツコ:ホントにもったいない!ので、みなさんぜひご一読いただきたいですね~。こちらの記事も、「分類」をつかった妙記事、マツコおすすめです。
●33[花]入伝式 オンライン自己紹介を印象的にする3つの方法

─ 流麗な文章表現でPick!
「流麗な表現」というのを評価軸にもらっておりましたが、そろそろど真ん中の、宮前さんの小説を挙げさせてください。
●【ISIS短編小説】一瞬の皹・日々の一旬 読み切り第六回 粉黛の倣い
編集プロセスの開示までがくっついているのがこの記事の目玉なので、屋上屋を架すようなコメントは避けたいところですが、このシリーズでものすごいのは、どんな作品を書くかから、編集術で決まっているところなんですよね。私、編集学校の物語講座は受講できていないんです。
「内発的に言わずにいられないことがないと小説なんて書けない」と漠然と思っていたわけですが、ここまでのものが編集的連想から立ち上がってくるとなると、ちょっと何も言えなくなります。
この作品は、近松門左衛門の「編伝」となっているわけですが、これを書くためにかねがね近松の取材をしていた、とかではない。編集術の圧倒的な可能性に、いやが上にも気づかされる記事です。そういう意味では、素晴らしい短編小説なんですけども、やはり編集術の可能性を伝える「記事」なんだと思いました。エディストでしか伝えられないことがありますね。とんでもない一本です。
この第六回の方を選んだのは、ふるさとが誇る上田紬がでてくるから。身びいきです(笑)
マツコ:いやはや、本当にです。こんな短編小説が軽々とOnしているEdistはスゴイですよね(笑)イシス編集学校にあるアイテムから連想を広げて小説化する本連載ですが、次にこの姿見をのぞくときには、色っぽい鯉籠のうなじが写っていそうで(赤面…!)
先日、「意味単位のネットワーク」といえば、桂師範が[守]の伝習座で解説し、それを転じて小倉加奈子さんがコラムを執筆し、堀江純一さんの「マンガのスコア LEGEND03鳥山明②たくさんの「わたし」」でも、触れられていますよ。方法を駆使してつくる作品、きっと守・破を経た方にはグッとくること間違いなし?!
みなさんのオシは、見つかりましたか?
以上、2020年4月の編集部おすすめ記事をお届けしました。
5月も見逃せないぞ、遊刊エディスト! またどうぞお楽しみに~
(Comments by マツコ@編集部 )

エディスト編集部
編集的先達:松岡正剛
「あいだのコミュニケーター」松原朋子、「進化するMr.オネスティ」上杉公志、「職人肌のレモンガール」梅澤奈央、「レディ・フォト&スーパーマネジャー」後藤由加里、「国語するイシスの至宝」川野貴志、「天性のメディアスター」金宗代副編集長、「諧謔と変節の必殺仕掛人」吉村堅樹編集長。エディスト編集部七人組の顔ぶれ。
守から破へ出世魚する——56[破]出世魚教室名発表【90感門】
もはやイシスでお馴染みとなった[破]の師範代へ贈られる出世魚教室。第90回感門之盟「読奏エディストリート」Day2では、春からの56[破]を担う10名の師範代に出世魚教室名が贈られた。 板垣美玲師範代 56 […]
【申込開始】佐藤優が日本を語る「インテリジェンス編集工学講義 後半」映像公開!4/10スタート!
万巻の書を読む。難読古典を我がものとする。 松岡正剛、立花隆、池上彰、高山宏といった博覧強記と言われるものたちが、どのように本を読み、知を血肉化しているのか。誰しもが、その方法に関心をもつのではないだろうか。 &nb […]
【特報】大澤真幸の『〈世界史〉の哲学』最終論考 4/4(土)伝習座 無料生配信!
伝へて習はざるか。 千夜千冊996夜 王陽明『伝習録』では、『論語』学而の「伝不習乎」を引いて、「伝習」の意味を説いている。雛鳥が飛び方を学ぶように、人が真似て、何事かに集中していくことが「習」の字には込められている […]
イシス編集学校で予定されている毎月の活動をご案内する短信「イシスDO-SAY(ドウ-セイ)」。 弥生の月がやってきます。今年の3月3日は、皆既月食が見られるといわれています。20時頃からは、赤胴色になった月 […]
イシス編集学校のアドバイザリー・ボード「ISIS co-mission」(イシス・コミッション)に名を連ねる9名のコミッション・メンバーたちが、いつどこで何をするのか、編集的活動、耳寄りニュースなど、予定されている動静を […]
コメント
1~3件/3件
2026-03-19
『絵師ムネチカ』から目が離せない。天才は往々にして何かが欠けている。そしてそのこと自体がまた天才の天才性を引き立たせる。周囲の人々の鼻面を引き回し、人生を変えていく「天才少年」のデモーニッシュな魅力を容赦なく描いた怪作。
これまでにも「神童」もの(?)を数多く描いてきたさそうあきら先生だが、ご本人は極めて方法に自覚的な職人タイプ。長年、マンガ学科の教員として教鞭をとり、『マンガ脚本概論』などの技法書にも定評がある。
2026-03-17
目玉入道、参上。
体を膨らませ、偽りの目玉(眼状紋)を誇張して懸命に身を守ろうとしているのは、カイコの原種とされるクワコの幼虫。クワコの繭から取れるシルクは、小石丸のそれに似て細く、肌触りがよいらしい。
2026-03-10
平和に飛び交うモンシロチョウも、地球史スケールでは、ほんの少し前に日本にやって来たばかりのパイオニアらしい。押さえきれない衝動に駆り立てられて彼方に旅立つ人たちの原型は、海をわたる蝶なのかもしれない。