本楼に月が輝く/八田律師メッセージ【89感門】

2025/09/20(土)13:49 img
img JUSTedit

 本棚劇場に八田英子律師が立つと、黒地のワンピース全体に施された月をモチーフにした金の刺繍が本楼の天井近くの障子から差し込む光を受ける。

 

「イシスで起こっている出来事は、世界のどんな出来事にも匹敵する」

 

55[守]の卒門を祝う「第89回感門之盟/遊撃ブックウェア」の幕開けに、律師は松岡校長が常々語っていたという言葉を私たちに手渡した。どんな些細なことにも絶対に手を抜かない。どんな小さなことでも世界と闘うつもりでやる。[守]学衆が番ボーで経験した、漢字一文字について何週間もかけて考える稽古も、これにつながっている。

 

松岡校長が残してくれたものは、言葉だけでなく、感門之盟が行われている本楼に本棚やオブジェなどさまざまなかたちで編集の方法として詰まっている。松岡校長から直接ディレクションを受けることができなくなった今でも、私たちは松岡校長の言葉や仕草を思い出し「校長はこう言っていた」「きっとこう言うだろう」を交わしあうことができる。

 

本楼の入り口にあるミラーボール。圧倒的な松岡校長のブックウェアである『全宇宙誌』をモチーフにしている。

 

本楼は、松岡校長が「みんなを翻弄したい」という意味で名付けたという。今日、これからはじまる感門之盟で交わされる言葉の一つひとつも、場と人を揺さぶり世界に匹敵する事件になってゆくだろう。

 

今日もどこからか校長が見ている。

 

アイキャッチ・写真/福井千裕

文/森川絢子

  • 森川絢子

    編集的先達:花森安治。3年間毎年200人近くの面接をこなす国内金融機関の人事レディ。母と師範と三足の草鞋を履く。編集稽古では肝っ玉と熱い闘志をもつ反面、大多数の前では意外と緊張して真っ白になる一面あり。花伝所代表メッセージでの完全忘却は伝説。

  • 大海原を進むマグロたち【89感門】

    活きのいい掛け声とともにあらわれたマグロに本楼が歓声に包まれる。巨大なマグロのぬいぐるみと胸元に小さく光るまぐろのピンバッジ。この遊び心と細やかな目配りが稲森久純師範代の真骨頂だ。   近大生ばかり10人の教室 […]

  • 発見する目の探索【花伝エディットツアーレポート】

    太陽のもと白球を巡り火花を散らせる高校球児もいれば、太陽を花火に見立てた回答に想いを巡らせる学び手もいる。夏の甲子園で沖縄県代表・沖縄尚学が優勝を果たしたのと同日、8月23日に行われた花伝エディットツアーをレポートする […]

  • 43[花]「つもり」のままその先へ【花伝敢談儀─ようそこ先輩─】

    何だかわからないけれど、面白そうな方へ。  幼い頃は当たり前のようにやっていたことが、大人になるにつれていつの間にかできなくなる。8月2日、真夏の東京・豪徳寺で、たくさんの大人たちが面白そうな方向へ向かっていた。 &n […]

  • 43[花]習いながら私から出る-花伝所が見た「あやかり編集力」-(179回伝習座)

    松尾芭蕉の有名な俳諧「古池やかはづ飛び込む水の音」が、もととなる和歌をやつして生まれた句であることは、あまり知られていない。これは、4月5日に行われた伝習座の前半、田中優子学長による「江戸×あやかり」をテーマにしたセッ […]

  • 芽吹きへの問感応答返【40[花]敢談儀─黒潮縁座─】

    春になると花を咲かせる宿根草は、寒い冬の間は地中に根を張り、その時を待ちわびている。   1月20日に行われた第40期ISIS花伝所「敢談儀」の最後のプログラムは「黒潮縁座」。この場では、放伝生21名が敢談儀の […]