コナラの葉に集う乳白色の惑星たち。
昆虫の働きかけによって植物にできる虫こぶの一種で、見えない奥ではタマバチの幼虫がこっそり育っている。
因みに、私は大阪育ちなのに、子供の頃から黄色い地球大好き人間です。

10月3日の[守]伝習座を前に、「教室フライヤー」作成の課題が出た。教室名とイシスをインタースコアせよ、という。イシスのジャイアンは吠えた。面白ぇじゃねぇか。ペンを握り、紙に思いをぶつけた。提出は教室名発表の3日後。当然、ダントツの一番乗りである。
八田英子律師からすぐにメールが届いた。
「リトライください」
イシスのジャイアンはメドゥーサの首に睨まれた如く固まった。
師範代になっても再回答とは……。
▲手書きで1時間かけた「ボゲ~」が飛び出す、最初に作ったフライヤー。
ジャイアンにとっての編集学校の歩みは、再回答と共にある。
まだ「ファーストペンギン」を名乗っていた頃、数々の袈裟切り伝説を持つおかっぱ頭の師範代から、43[破]全体で真っ先に再回答を請われたのは、誰であろうジャイアンである。
そのあとも、一番に飛び込んではアザラシ師範代に食いちぎられるという日々が続いた。指南の書き出しは「かわいいペンギンちゃん」なのだが、そのくせガブリとやるのである。悔し紛れに、嫌味や皮肉を回答にしのばせたが、アザラシ師範代はそれらも丸ごと飲み込んだ。
関西育ちの師範代はケラケラと言い放った。
「同じ稽古なら、回数やったほうがお得でっせ」
回数? 初めて再回答を送った際の指南を読み返してみた。「嬉しいピンポンに、早速打ち返しますー」とある。
ああそうか。再回答は「一緒にラリーしようよ」というお誘いだったのだ。ボールは常にこちら側にあった。打ったら必ず返してくれる。打たなければ戻ってこない。なんだ、だったらたくさん打ったほうが楽しいじゃん。気づくとジャイアンは、自主的に再回答を出すようになっていた。
師範代にはいつなるのか。花伝所を出ればそれでいいのか。そうではない。そうか、師範代もまた、稽古なのか。ああ、日々是稽古。フライヤーのリトライ依頼も、ラリーの誘いだったのだ。もっと楽しめるよね、と。固まる必要なんてなかった。大いに遊べばいいのだ。
ジャイアンの書斎には、『千夜千冊エディション』と『ドラえもん』が全巻揃っている。いちばん近くの本を手に取った。もちろん『ドラえもん』である。
《なやんでいるひまに、一つでもやりなよ》
ドラえもんまで背中を押しているではないか。
続いて『編集力』を手に取る。悩んだらこれに限る。
あるページで手が止まった。ああ、この中にジャイアンがいるではないか!
フライヤーの再制作にかかる。アイデアをノートに書き付け、何度も試してみる。ジャイアンは猫を撫でるのも忘れ歌い続けた。
▲再提出したフライヤー。ロジェ・カイヨワの『斜線』の頁が開いてある。
ジャイアンはめげずに幾度も声を張り上げる。遠くに。ナナメに。それがジャイアンの矜持である。
(2020.10.15)
◆バックナンバー
ジャイアン、恋文を請い願う――46[守]新師範代登板記 ♯2
ジャイアンとコップ――46[守]新師範代登板記 ♯3
ジャイアンの教室名 ――46[守]新師範代登板記 ♯4
ジャイアンは教室とともに――46[守]新師範代登板記 ♯5
ジャイアンの1週間――46[守]新師範代登板記 ♯6
ジャイアン、祭の後――46[守]新師範代登板記 ♯7
ジャイアンの聞く力――46[守]新師範代登板記 ♯8
角山祥道
編集的先達:藤井聡太。「松岡正剛と同じ土俵に立つ」と宣言。花伝所では常に先頭を走り感門では代表挨拶。師範代登板と同時にエディストで連載を始めた前代未聞のプロライター。ISISをさらに複雑系(うずうず)にする異端児。角山が指南する「俺の編集力チェック(無料)」受付中。https://qe.isis.ne.jp/index/kakuyama
世の中はスコアに溢れている。 小学校に入れば「通知表」という名のスコアを渡される。スポーツも遊びもスコアがつきものだ。勤務評定もスコアなら、楽譜もスコア。健康診断記録や会議の発言録もスコアといえる。私たちのスマホやP […]
スイッチは押せばいい。誰もがわかっている真理だが、得てして内なるスイッチを探し出すのは難しい。結局、見当違いのところを押し続け、いたずらに時が流れる。 4月20日の43期[花伝所]ガイダンスは、いわば、入伝生たちへの […]
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コメント
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2025-08-26
コナラの葉に集う乳白色の惑星たち。
昆虫の働きかけによって植物にできる虫こぶの一種で、見えない奥ではタマバチの幼虫がこっそり育っている。
因みに、私は大阪育ちなのに、子供の頃から黄色い地球大好き人間です。
2025-08-21
橋本治がマンガを描いていたことをご存じだろうか。
もともとイラストレーターだったので、画力が半端でないのは当然なのだが、マンガ力も並大抵ではない。いやそもそも、これはマンガなのか?
とにかく、どうにも形容しがたい面妖な作品。デザイン知を極めたい者ならば一度は読んでおきたい。(橋本治『マンガ哲学辞典』)
2025-08-19
エノキの葉をこしゃこしゃかじって育つふやふやの水まんじゅう。
見つけたとたんにぴきぴき胸がいたみ、さわってみるとぎゅらぎゅら時空がゆらぎ、持ち帰って育ててみたら、あとの人生がぐるりごろりうごめき始める。