豪徳寺・本楼で「卒門証」を掲げ、満面の笑みを浮かべるのは、52[守]風月盆をどり教室の学衆、柳瀬浩之さん(写真左)。隣のVサインは飯田泰興師範代。感門之盟のよくあるひとこまのようですが、さにあらず。実は柳瀬さんは、47[守]ジャイキリ魔球教室の師範代だったのです。師範代がなぜ学衆に? 再受講のワケと思いと学びと体験を、柳瀬さん(次期52[破]師範代)がたっぷり語りおろします。
Q.なぜもう一度守をやろうと思ったのですか?
仕事に子育てに忙殺される日常が続くと、気づいたら編集が無意識化されていくんですよね。15[離]退院式で「編集力は放っておけば錆びる」と言われたんですが、まさにこのことだって。44[守]の入門が2019年秋で、編集を学び始めてからもう4年以上になるので、当然仕事でも編集を意識的に使ってはいます。だけど、学んだことがどれだけ使えているのかと聞かれたらまだまだ自信はない。「何かやってみるか」と思い立ってHPを眺めてみたら、たまたま[守]の門だけが空いていたんです。それで、52[守]の申し込みを、ぽちっと。
Q.たまたまだったんですね?(笑)
そうなんです。だけど、その「たまたま」をどう活かすか。まさにそれも編集ですよね。はじめて取り組む稽古だと、どうしてもお題をこなすことに汲々としてしまって、まったく遊ぶ余裕がない。「2周目だからこそできる編集稽古を!」と取り組みました。あとは、いま自分に何ができて、何ができないか。自分で自分の編集力チェックをしてみることにしました。年1回の健康診断みたいなものです。「編集定期診断」ですね。
Q.具体的には、どのように稽古に取り組みましたか?
ひとつは「型を意識的に使うこと」。イシス編集学校は方法の学校ですが、正直1回目の時はほとんど意味がわかっていなかったんですよね。だから「良い回答を出そう!」としか思っていなくて、方法は疎かになっていました。だからこそ、今回は、思いつきの回答を減らし、偶然ではなく必然に回答を生み出すことを重視しました。もうひとつは「稽古だけで閉じないこと」。共読すると自分の回答がひっぱられるから、共読は稽古が終わってから、って思ってたんですよね。まさに方法の学校だとわかってない人の思考です。なので、今回は共読して仲間や師範代の方法を真似ることも意識しました。
Q.実際に編集稽古をやってみてどうでしたか?
師範代も経験しているわけですから、当然お題は知ってます。ですが、なによりお題を通して出会う情報が面白かったんです。枯山水をぴったり表現する四字熟語を探すために、枯山水をコンパイルする。一文字の漢字の成り立ちを辞書で調べて、漢字の本来を探る。お題を通すからこそ、自分の知的好奇心が刺激され、新たな情報に出会うことができました。
また今回遊ぶことも意識的に行いました。「編集は遊びから生まれる」ですから。共読して教室仲間の方法を借りて回答したり、師範の真似して番ボー講評を自分で書いてみたり、勧学会に積極的に登場したり。そういった遊びができる余裕があるのも、再受講だからこそかもしれません。
Q.15週間の[守]体験を終えて、変わったことは?
自分の編集力の成長を感じられたことが一番大きかったですね。稽古がうまくできたということではなく、稽古を通して、普段の自分の日常や仕事の中で、思った以上に編集のプロセスが使えていることを実感して、約4年の編集稽古が生きていることがわかりました。もちろん、同じくらい不足もたくさんもらってきました(笑)。
加えて、もうひとつ良かったことは、うまくいかないと思っている自分の編集課題を師範・師範代に相談したときに、交わし合いができたことですね。その対話によって、どう編集の型を使えば、いまの課題を乗り越られるのかのヒントをいただきました。
編集稽古と共に、師範・師範代・教室仲間と様々な交わし合いができるというところも、編集学校の良さですね。
(構成・文/52[守]風月盆をどり教室学衆 柳瀬浩之)
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