神戸から駆けつけた女性と目を合わさない。対話もしない。
19年12月15日、兄弟教室との合同ランチ汁講時の小桝裕己(44[守]トポス清冽教室師範代)は、中華料理を無心に食べる。
前日の伝習座で小桝の指南を讃えた井ノ上裕二(44[守]番匠)は、ハリセンがあったら使いたくなる。井ノ上のヤキモキを知ってか知らずか、コマスは隣の兄弟教室の学衆と、SF談義を始める。
-ペリーローダンシリーズは600巻も続いている。
-複数の作者によって書かれている。
-コレクティブ・ブレインの編集が拡張性を生む。
興味深い会話だが、自教室の学衆さんと会話をしろ。
見かねた井ノ上は、コマスをISIS婚ネタでいじりつつ、学衆の山田江里奈さんを会話へと誘う。
場をほぐそうとする井ノ上の努力を知ってか知らずか、コマスは唐突に写真集を紙袋から取り出し、問いかける。
「この仔犬の写真の題名を考えましょう」。
前日に赴いた東京での写真展(『山沢栄子 私の現代』)で購入した代物だ。
コマスは編集対象が間に入ると語りが冴える。リアルのフリートークにはめっぽう弱い。自分の数寄に忠実な生身のコマスは、落ちつきがない。
井ノ上シーザー
編集的先達:グレゴリー・ベイトソン。湿度120%のDUSTライター。どんな些細なネタも、シーザーの熱視線で下世話なゴシップに仕立て上げる力量の持主。イシスの異端者もいまや未知奥連若頭、守番匠を担う。
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