ディズニー気分の和田めぐみ 伝習座

2019/08/21(水)16:32
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 和田めぐみ(43[守]師範)は上機嫌だった。

 

 師範講義は、第1回伝習座で担当済だ。今回は聴衆に回れる。しかし、一応は表情に出さないでおこう。和田は方針を決めて、第2回伝習座にむかった。


 プログラムは予定通り進行した。師範講義の時間が近づく。講義を担当する川野貴志(43[守]師範)と井ノ上裕二(43[守]師範)の緊張が高まる。


 川野は歯を食いしばり、右拳を太ももに何度も振り下ろす。井ノ上は口をへの字に腕組みをし、両膝の開閉を繰り返す。上半身が落ち着かない川野に、下半身が動く井ノ上。垂直運動の川野に、水平運動の井ノ上。白目をむく川野に、瞳孔が開いていく井ノ上。修験道場のような圧力が伝習座にある。


 「あー、挟まれてるー」。両者の間に座っていた和田は一人、ディズニーランドの気分を享受し、思わず言葉を漏らしたのであった。

  • 井ノ上シーザー

    編集的先達:グレゴリー・ベイトソン。湿度120%のDUSTライター。どんな些細なネタも、シーザーの熱視線で下世話なゴシップに仕立て上げる力量の持主。イシスの異端者もいまや未知奥連若頭、守番匠を担う。

コメント

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堀江純一

2025-10-02

何の前触れもなく突如、虚空に出現する「月人」たち。その姿は涅槃来迎図を思わせるが、その振る舞いは破壊神そのもの。不定期に現れる、この”使徒襲来”に立ち向かうのは28体の宝石たち…。
『虫と歌』『25時のバカンス』などで目利きのマンガ読みたちをうならせた市川春子が王道バトルもの(?)を描いてみたら、とんでもないことになってしまった!
作者自らが手掛けたホログラム装丁があまりにも美しい。写真ではちょっとわかりにくいか。ぜひ現物を手に取ってほしい。
(市川春子『宝石の国』講談社)

川邊透

2025-09-30

♀を巡って壮絶バトルを繰り広げるオンブバッタの♂たち。♀のほうは淡々と、リングのマットに成りきっている。
日を追うごとに活気づく昆虫たちの秋季興行は、今この瞬間にも、あらゆる片隅で無数に決行されている。

若林牧子

2025-09-24

初恋はレモンの味と言われるが、パッションフルーツほど魅惑の芳香と酸味は他にはない(と思っている)。極上の恋の味かも。「情熱」的なフルーツだと思いきや、トケイソウの仲間なのに十字架を背負った果物なのだ。謎めきは果肉の構造にも味わいにも現れる。杏仁豆腐の素を果皮に流し込んで果肉をソース代わりに。激旨だ。