空中戦で捉えた獲物(下)をメス(中)にプレゼントし、前脚二本だけで三匹分の重量を支えながら契りを交わすオドリバエのオス(上)。
豊かさをもたらす贈りものの母型は、私欲を満たすための釣り餌に少し似ている。

DOMMUNEを2日間ジャックし、折り返し地点を迎えたHyper Editing Platform [AIDA] Season2。年明けからの後半戦を迎える前に、ここで改めて10月に開催された第1講をAIDAボードメンバーの言葉を借りながら振り返りたい。
フラッグメッセージ
講座プロデューサー 安藤昭子
フラッグメッセージでSeason2の方向性が示された。「メディアと市場という難しいテーマを選んだ。今このテーマを考えることはアンラーニングをする必要がある」その為には相当の鍛錬、技能、方法、情熱、知的体力が必要だと旗を振る。
今期の課題本『千夜千冊エディション資本主義問題』と『情報の歴史21』。第3講では各座衆がメディエーションした自分史をもってDOMMUNE出演を果たした。
座長 松岡正剛
座長講義では「メディアと市場のアイダを問い直すためにはマルクス、ゾンバルト、バクーニンの時代に戻って考える必要がある」とした上で、その手がかりとしてトークン、システム、デジタル化、小さな経済、想像力という5つのキーワードが渡される。「想像力をどうやって資本主義に差し込めるか、みなさんから出てくることを期待したい」
松岡座長の書がプラットフォームの旗となる。モニターに映し出されるのは穂積晴明のデザイン。
AIDAボードメンバースピーチ
AIDAボードメンバー 田中優子さん
10月に刊行された『遊郭と日本人』(講談社現代新書/田中優子)に触れ、江戸から見た視点を差し出す。「悪所には表から見えない経済がある」これがあったために江戸時代の印刷物の転換点となった。「見えない場所での取引が生きていた世界も考えた方がいい」
AIDAセッション
AIDAボードメンバー 大澤真幸さん
「資本主義という言葉は今の流行り言葉ではないか」その上で資本主義をめぐって2つの感覚がある。「1つは資本主義は永遠のシステムで絶対終わらないという感覚。他方で資本主義という船は沈没するんじゃないかという感覚」対比する見方を置き、座衆に揺さぶりをかける。
12月19日(日)は多読ジムスペシャルコース「大澤真幸を読む」読了式にも臨席する。MM対談もお見逃しなく。
AIDAボードメンバー 佐藤優さん
「《メディアと市場》というフレームワークで問題解決しようと思っているなら大きな間違い。アイダというのは外部がなくなっている。外部に出ていくことを逆説的に考えないといけない」国家や政治、宗教など大きな視座で議論に切り込みを入れていく。
AIDAボードメンバー 村井純さん
インターネット環境と根本的な問題を切り分けて議論の種を撒く。「BeforeインターネットとAfterインターネットは違う。弱い人も活躍できるのはデジタルプラットフォーム。但し、どう活躍して欲しいか、どう使うのかは人間が議論して決めないといけない。置いてけぼりを作らない、そうでないと意味がない」
ボードメンバーと座衆が車座となって交わし合うAIDAセッション
最後は松岡座長が「想像力をどう資源にするか」をもって第1講を締め括った。「私たちに残っているものは既存の国際会計ではなくてイメージを入れた会計X。イメージできるが説明不可なもの。イメージメントしているのに既存の器を超えたものを語るときに国家、AI、ネットで止まっちゃう。もう一回切り替える何かをしないといけない」イマジネーションについて絶賛するための努力と、想像力を使い切ること。
「想像力」というキーワードが置かれた第1講。続いて、第2講でアングラ経済に触れ、第3講では自分史を番組にしてきた。メディアと市場のアイダに揺らぎながらプラットフォームは進んでいく。新年からの後半戦では「想像力」がどう躍如するか、第4講の速報を待たれたい。
AIDA Season2 速報記事 Back Number
後藤由加里
編集的先達:石内都
NARASIA、DONDENといったプロジェクト、イシスでは師範に感門司会と多岐に渡って活躍する編集プレイヤー。フレディー・マーキュリーを愛し、編集学校のグレタ・ガルボを目指す。倶楽部撮家として、ISIS編集学校Instagram(@isis_editschool)更新中!
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コメント
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2025-09-09
空中戦で捉えた獲物(下)をメス(中)にプレゼントし、前脚二本だけで三匹分の重量を支えながら契りを交わすオドリバエのオス(上)。
豊かさをもたらす贈りものの母型は、私欲を満たすための釣り餌に少し似ている。
2025-09-04
「どろろ」や「リボンの騎士」など、ジェンダーを越境するテーマを好んで描いてきた手塚治虫が、ド直球で挑んだのが「MW(ムウ)」という作品。妖艶な美青年が悪逆の限りを尽くすピカレスクロマン。このときの手塚先生は完全にどうかしていて、リミッターの外れたどす黒い展開に、こちらの頭もクラクラしてきます。
2025-09-02
百合の葉にぬらぬらした不審物がくっついていたら見過ごすべからず。
ヒトが繋げた植物のその先を、人知れずこっそり繋げ足している小さな命。その正体は、自らの排泄物を背負って育つユリクビナガハムシの幼虫です。