今、ロウソクがアツい。熱いのではなくアツい。
マイケル・ファラデーの『ロウソクの科学』(千夜千冊859夜)が、科学本としては異例の大ヒットを記録中なのだ。ノーベル化学賞を受賞した吉野彰氏が「科学に興味を抱くきっかけになった」として紹介したことで話題を呼び、角川文庫からはすでに2万部の緊急重版が決定している。
「この宇宙をまんべんなく支配するもろもろの法則のうちで、ロウソクが見せてくれる現象にかかわりをもたないものは、一つもないといってよいくらいです」。そう千夜千冊にも取り上げられている『ロウソクの科学』は、「科学道100冊プロジェクト」にも名を連ねている。松岡校長も太鼓判を押す一冊だ。
「科学道100冊プロジェクト」は国立理化学研究所と編集工学研究所の共同企画である。両研究所は古今東西の「科学本」を毎年100冊推薦し、ブックレットの制作やイベントの運営をしている。「サイエンス教育」の需要が高まる中、興味の火付け役としての推薦リストは内外からの期待も大きい。9月26日の発表記者会見には紙媒体、電子メディアを問わず多くの報道関係者が参加。産経、マイナビ、教育新聞などからは『ロウソクの科学』を絡めたレポートが続々とあがっており、”ロウソク効果”で話題は今なお燃え広がっている。
そんなプチ”炎上中”の「科学道」であるが、意外にも「即位礼正殿の儀」でさらなる脚光を浴びることになった。理化学研究所・理事長の松本紘氏が儀式に際して祝賀コメントを発表。「令和」天皇の御即位を称えるとともに、「理研は大きな未来ビジョンと至高の科学力をもって『科学道』を邁進(まいしん)いたします」と、堂々の「科学道」宣言が果たされた。「皇居に「科学道キット」が届けられる日も近い」と編集工学研究所スタッフは嘯いている。
穂積晴明
イシス編集学校方源、編集工学研究所デザイナー、「おっかけ千夜千冊」の千冊小僧。『情報の歴史21』『知の編集工学 増補版』ほか、編集学校のあらゆるものをデザインするが、疲れ目に祟り目でたまに目にカビが生える。
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