選手の足がとまりかけると、車の窓から監督の激励が飛ぶ。するとフラフラの選手の脚の回転数が上がる。日曜に締切を控える49〔破〕物語編集術アリスとテレス賞へ向けての激走は、箱根駅伝にたとえれば復路の最終区だろうか。
●唐傘ダムダム教室
「あまり時間がないですが、一行でも一文字でも磨いていけたらと思います。(Yさん)」
「全部書いてからと思いましたが、思ったことを色々と書いていきます。少しずつでも先に進みましょう。(大塚師範代)」
●臨刊アフロール教室
「とりあえず勢いで最後まで書いてみました。(Sさん)」
「ここまで書けた! ということで大いに気分をよくしてください。そして稽古なので、ここから推敲して磨いていきましょう。(西村師範代)」
●ヤマネコでいく教室
「書き上がったら、ぜひ、声に出して読んでみてくださいね。キュッキュと磨いて行きましょう。(安田師範代)」
「表現を調整し、主人公のゆりに対する言葉をいろいろ試しています。難所です。(Uさん)」
頑張る学衆のできるだけ近くで応えたい。だから途中の指南でも並走する。できたことを讃え、もっと行こうとゴールを指す。最高のフィニッシュのために、走りながらできることを伝える。師範代は、代わりに走ることはできないが、奮起させる言葉で編集の駆動力を上げていく。
物語編集術の稽古が駅伝とちがうのは、原作の読み替えからストーリーの書き上げまでの6つのお題を、自分で自分にバトンを渡しながらひとりで走りきるところだ。苦手なお題をなんとか越えたあと、迷ったことも、試してみたことも、次のお題で“読み”が、関係が、台詞がつながり、展開の可能性に化ける。テープをいち早く切ることではなく、豊かに編み上げることを求めて、振り返り振り返り走るのだ。
野嶋真帆
編集的先達:チャールズ・S・パース。浪花のノンビリストな雰囲気の奥に、鬼気迫る方法と構えをもつISISの「図解の女王」。離の右筆、師範として講座の突端を切り開いてきた。野嶋の手がゆらゆらし出すと、アナロジー編集回路が全開になった合図。
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