物語の種はどこにでもある。その種を芽吹かせるにはどうしたらよいか。どのようにしたら「物語めく」ことができるのか。
イシス編集学校[遊]物語講座の節目となる蒐譚場で、松岡校長の開講メッセージをもとに、木村久美子月匠が叢衆に語りかけた。
物語はどこからでも出現する。キッチンから、一枚の写真から、パソコンのそばに置いたコーヒーからも、物語は始まります。
松岡校長と津田一郎氏の対談本『初めて語られた科学と生命と言語の秘密』は、科学の世界を物語的に読み解くという、いままでにない物語論に出会えるのだという。
編集は照合である。
編集は連想である。
編集は冒険である。
『知の編集術』(松岡正剛著)の冒頭に記されているこのフレーズは、物語編集にこそ照合してみるといい。科学を、社会を、物語の構造で読み解けば、それまで伏せられていたことが明かされるように、世界は見せ方を変えていくだろう。
種には、発芽する自由と発芽しない自由がある。植物は、芽吹くのに適した環境を待って発芽する。物語の種が芽吹くには、どんな条件が必要になるのだろうか。
編集が不足から始まるように、物語も意外な不足から展開します。
編集は遊びから生まれる。
編集は対話から生まれる。
編集は不足から生まれる。
あらゆる不足が物語の兆しなのであれば、ままならない気持ちを抱えてこの蒐譚場に集まった叢衆は、いま、新たな物語の入り口に立っているのかもしれない。
物語講座16綴では、メインとなるお題【編伝1910】が始まった。叢衆は、歴史という既に語られた事実を元手に、その時代に生きた「他者」の人生を物語によって語りきる。
木村月匠は祈るように、叢衆へむけて言葉を投げかけた。
物語のサーキュレーションを起こすこと。物語の奥行きや深まりを楽しんでほしい。
「他者」の物語が芽吹くための条件は、「他者」の人生を介して、その時代をまるごと読み取ることだ。新たな物語を編むことでそれぞれの世界を拡張し、大いに開花させてほしい。
阿部幸織
編集的先達:細馬宏通。会社ではちゃんとしすぎと評される労働組合のリーダー。ネットワークを活かし組織のためのエディットツアー も師範として初開催。一方、小学校のころから漫画執筆に没頭し、今でもコマのカケアミを眺めたり、感門のメッセージでは鈴を鳴らしてみたり、不思議な一面もある。
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