道ばた咲く小さな花に歩み寄り、顔を近づけてじっくり観察すると、そこにはたいてい、もっと小さな命がきらめいている。この真っ赤な小粒ちゃんたちは、カベアナタカラダニ。花粉を食べて暮らす平和なヴィランです。
金: おひとり目のゲストはジャイアンこと、角山祥道さんです。ようこそ新春放談へ。
角山: 2021年もよろしくお願いします!
金: 角山さんのEdistデビューは、10月の半ばでしたね。
吉村: 今、2種類の企画を同時進行しているのがすごいんですが、まず師範代をやりながらEdistするのはイシス史上初だということ。今までだと、師範代をやりながら他のことをすることは、どちらかといえば好ましいと思われていなかったこともあり、師範代に集中していただくようにしていたんです。角山さんには、2020年に、新しい動きを始めていただきました。
角山: 誘ったのは吉村林頭ですけれどもね(笑)
吉村: できますかって言ったのは僕ですけれども、それで2つの企画を持ち込んでくださって、2つともスタートを切っていただいたんですよね。
★ああ、それでもジャイアンは歌う――46[守]新師範代登板記 ♯1
角山祥道 編集的先達:黒岩涙香。
「松岡正剛と同じ土俵に立つ」と宣言。花伝所では常に先頭を走り続け、感門では代表挨拶。師範代をしながら同時にエディストという前代未聞のプロライター。ISISをさらに複雑系にする異端児。
角山: ちょうど花伝所を終えたときの感門之盟で、私が“校長と同じ舞台に上りたい”、と書いた登壇原稿を、しっかり林頭が読んでくださったんですよ。それならEdistという場があるよと言われて、次の瞬間、はじまってました(笑)
吉村: いや、角山師範代は、軍門に降ったら校長と同じ土俵に立てないってかなり過激な言いっぷりでしたけどね(笑)。いずれプロジェクトや仕事を一緒にしてみると、本気の校長が見られるからいいですよということをお伝えしたかったんです。そういえば、この前、校長が、毎日読んでいるのはEdistだけだっておっしゃっていましたしね。
一同: ほんとですか?!(笑)それはすごいな。
金: 今回は川野さんが編集者として角山さんとペアを組んでいるんですが、川野さん、このペアはいかがですか。
川野: いやあ、角山さんはもともとライターを長くなさっていることもあって、こちらの注文に応じてということももちろんですし、“書いてやりたい”ってこともちらつかせてくださるので、僕はありがとうございますという感じですね。方向付けを考えなくても、角山さんがおのずと緩急をきちっと采配してくださるんですよ。
金: おふたりのコンビがいいですよね。角山さんは川野さんからのコメントはいかがですか。
角山: 意外と自由にさせていただいているので、ちょっと驚きました。川野さんが、ということよりも、企画を持ち込んでから、編集部からダメだしされたことがないんですよ。なんとなくEdistにアップしたら、みなさんからいろいろ反響をいただいて。
金: 吉村さんの奥さんが楽しみにしているって聞きましたけど。
吉村: そう、師範代の気持ちわかるわぁと、妻は師範代もやっていないのに言ってました(笑)。そんなことがあったらきっと嬉しいんだろうなぁ、とね。
川野: 受講生が想像できないことが、記事の中にこぼれているのがいいなと思ってまして。
角山: 教室の学衆さんが一人、私が記事を書いていることに気が付いたんですよ。教室では表に出していなかったんです。ただ、他の人の記事は引用していたり、Edistに書いていますとは伝えていたんですが、誰もまだ気づかなかったんですよね。たまたまこの前紹介した記事が、康代学匠の伝習座の記事で。18番の「層なんです」というお題の時に、そこにかかれている“世界はつながっている”という感覚に関連した回答を寄せてくれた学衆さんがいらしたので、伝習座でもそういう話があったんだと記事を共有しました。そしたら、下の方にジャイアンが書いた記事を見つけたらしいんですよね。
川野: 実はうすうす気が付いてほしかった?
角山: 実は気が付いてもらえないと、次がやりづらくて(笑)
吉村: 自作自演で、“エディストですごい面白い記事を見つけましたー!あれ? これって俺の記事?”とかってやってみたら(笑)
角山: なんとなく、やりとりの中で記事が漏れ出してくるぐらいがいいかと思って。今は用法2が終わった頃なので、公表してもいい時期かもしれません。
後藤: 記事になる前の、編集部内ラウンジでのやりとりを拝見していると、角山さんのライターと師範代のあいだのゆらぎが見え隠れするんです。記事になるまでの師範代による生の実感を並走している感じがして、すごくおもしろいです。どれぐらい角山さんが学衆さんの反応に一喜一憂しているかはわからないですが、教室の様子が行間から伝わってくる感じ。師範代の悩みがラウンジに漏れ出ているのが、とってもわかりますし、師範代経験者にはあの時の気持ちを思い出させてくれる感じがします。
角山: 一喜一憂していますね(笑)
後藤: それがいい感じに準備ラウンジにでています。

角山師範代のオンライン汁講のご様子。学衆さんたちと一緒で、角山師範代の顔がとろけていますね~
吉村: 多くのイシスOBは、師範代時代を思い出して甘酸っぱいのかもしれませんね。
川野: ああ、甘酸っぱさはよくでていますよね。角山さんの記事は塩梅がすごいんですよ。書き手がのめり込み過ぎたら読者はついていけないし、レポートみたいに説明的だとおもしろくない。その加減を知っていらっしゃるという感じがします。
金: Edistと師範代を一緒にやる方がまた出てくるのかなと。次にぜひバトンを渡していただきたいですね。
角山: 言えばやらせてくれるのが面白かったです。今までみなさん、言わなかったんじゃないですかね。
川野: こうしたみなさんが参加できるEdistのような場もなかったですしね。
後藤: 角山さんのキャラクターがあるから、師範代とEdistライターという激務ロールを両立できているのもあると思います。
金: 確かに。今、多読ジムと離を同時にやっている人がお二人いらっしゃるんです(田邊美智代師範代、細田陽子師範代)。その2つの掛け持ちはだいぶ神ってる感じがしますけれどね(笑)
角山: いろんなことができそうな気がしています。この前も無茶を言っちゃったんですよ。守の師範代を終えた後に、守の師範をやらせてほしいって。
一同: ええーー![破] の師範代をやらずに、ですか?!
角山: それはさすがにダメって言われましたけれど(笑)、すみません(汗)。師範代として見えてきたこととか、次の師範代に伝えたいことがあるんです。
後藤: どんなことを伝えたいんですか?
角山: 今回、同期師範代のことも少し記事に登場させたりしてるんですが、読んだ人がゾワゾワしてもらえるとおもしろいなと思っています。
後藤: Edistされるのをよしとする方と、いやな方がいるみたい(笑) 一時期、なにか粗相しちゃうと“Dustしますよ”というフレーズが流行っていたことがあるんですね。Dust王を名乗っている井ノ上シーザー師範から来ているんですけれども。
角山: [守] の関係者の方からは、割と好意的な声が返ってきていると思っています。お前の記事は面白くないとは言いづらいと思いますが、俺もやりたい、それ違うやろ、という感じの反発がほしいな、とも思っています。
吉村: 2021年はどういう年にしていきますか?
角山: 心の中ではひそかに深谷さんがライバルなんです、割と本気で言ってるんですよ(笑) 『46[守]新師範代登板記』は、46[守] が終わるまで突っ走ります。そのあとはそのあとで、また!

『46[守]新師範代登板記』はアイキャッチ画像も毎回角山の自作
吉村: いろんなモデルがあってもいいですよね。師範代とEdistを一緒にやるのもいいし、師範代と別のプロジェクトをやる人もでてくるかもしれない。NEXT ISIS的には、角山さんの動きは、最も象徴的な動きですね。
金: ありがとうございました。2021年も楽しみにしています。
後藤: そろそろ次のゲストがお待ちですね。
金: あ、そうですね、堀江さん。お待たせしました。
2021新春放談企画「エディスト・フェーズがついに来た!」
其の弐 -師範代ライターの初誕生
其の参 -ランキング独占、マンガの模写(1月3日公開)
其の肆 -千悩時代に多読あり(1月4日公開)
其の伍 -編集的可能性の苗代へ(1月5日公開)
エディスト編集部
編集的先達:松岡正剛
「あいだのコミュニケーター」松原朋子、「進化するMr.オネスティ」上杉公志、「職人肌のレモンガール」梅澤奈央、「レディ・フォト&スーパーマネジャー」後藤由加里、「国語するイシスの至宝」川野貴志、「天性のメディアスター」金宗代副編集長、「諧謔と変節の必殺仕掛人」吉村堅樹編集長。エディスト編集部七人組の顔ぶれ。
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2025-11-25
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(※大ヒットした「孤独のグルメ」の原作者は「泉昌之」コンビの一人、久住昌之)