<速報>震えるほど――44[花]キャンプナウ#03

2025/12/14(日)19:17 img
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まるで吹き矢で射抜かれたようだった。

 

「いい加減、学衆の服は脱いでください」

「日常のスーツも脱ぎ捨ててください」

「あなたたちは、『師範代』です」

 

44[花]キャンプ2日目の朝は、指導陣からの檄で始まった。

 

12月14日

06:31 [芭蕉庵]【見晴台】BPMをあげていく

08:11 [芭蕉庵]【見晴台】仮留という方法

09:06 [芭蕉庵]【見晴台】学衆の服は今すぐ脱いで!!!

12:15 [芭蕉庵]【見晴台】グッドアイデアからも自由に

 

互いの遠慮でなかなか進まないグループワーク。どうなることかと思われたが、キャンパーそれぞれの中に指導陣の言葉も、ワークを共にする仲間の言葉も徐々に入っていく。今期の特徴として、短いメッセージでの報告や確認のやり取りが多いことは否めないが、とにかく、場に参集し言葉を交わす内に互いの距離を詰めていったのだろう。提出まで残り3時間、昼を過ぎる頃には、仲間が書いたシナリオに自分の見方を重ね、核心に迫る交わしあいが行われ始めた。自らロールを引き取るキャンパーも現れる。

 

複数のことが同時進行するキャンプでは、指南の最中や、仕事や家族の所用でグループワークを離れる者も出てくる。もちろん、自分が不在の間もスレッドは伸びるので、発言を追いにくくなるが、ワークを進めていた仲間が、戻ってきた仲間へ簡潔に現状を伝える場面も見られた。限られた時間や条件の中で、イメージを動かし続けるのだ。

 

15:00のグループワーク提出20分前、ワークを不在にしていたM・Kが戻り、不在中に進めてくれていたことへ感謝の意を伝えると、S・Rはすかさず声をかける。

 

Mさん

 

おかえりなさーい

まだ終わってないぞぉぉぉ!笑

諦めたらそこで試合終了だ!

最後提出までがキャンプ、まとめましょう〜〜

 

遠慮や謙遜、ベタベタな馴れ合いは、もうここには存在しない。ワークで使った型の追加、タイトルの検討、画像の追加、誤字やズレの修正依頼、キャンパーたちは、境を越える最後の1秒まで確認と推敲を重ねた。

 

そして約束の時間。

 

14:59[芭蕉庵]【い組】 茶暗(CHAKURA) – 暗がりが編む、五感のハイパーリンク –

15:01[芭蕉庵]【ろ組】社会(シャカイ)を遊ぶ 茶会(チャカイ)

 

提出ロールを担った二人は、ギリギリな状況にワクワクする自分に出会い、手の震えを噛み締めるのであった。

ゲートをくぐるたびに感じる震えに、早くも病みつきになったようなキャンパーたちへ、平野しのぶ花目付は颯爽と現れ、次のゲートである指南相察の〆切時間を告げた。

 


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  • 大濱朋子

    編集的先達:パウル・クレー。ゴッホに憧れ南の沖縄へ。特別支援学校、工業高校、小中併置校など5つの異校種を渡り歩いた石垣島の美術教師。ZOOMでは、いつも車の中か黒板の前で現れる。離島の風が似合う白墨&鉛筆アーティスト。

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