千波万波、到来!―53[守]開講

2024/05/13(月)23:47
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 「いざ、いまこそのインタースコアを!」と、イシス編集学校の校長、松岡正剛からのはなむけのメッセージが、5月13日正午に届き、18教室の15週間の[守]稽古が始まった。松岡は「この学校は知識を学ぶところではなく、どんな時にも勇気と知恵が発揮できる方法を身につける学校」と「方法の学校」の本来を語り、イシスならではの学びの秘訣「問・感・応・答・返」を紹介し、「問うて、感じて、応じて、答えて、返しあってください」と学衆たちの背中を押した。

 

 開講を待ち構えていたかのように、点呼に「感」と「応」が寄せられる。

 

 「このたび、不思議なお稽古に入れて頂きました」
 「松岡校長の『日本文化の核心』を読んで感銘を受けまして、
  やってきました」
 「編集工学という言葉に『今、これではないか』と思いました」


 最初のお題【001番:コップは何に使える?】への初回答が届いたのは、風土いきいき教室。出題から僅か36分後のことだ。「最初に紙コップが浮かんで、そこからおもちゃ作りを頭で始めました」と遊ぶように臨んだ学衆に対して、師範代の本城慎之介が「コップで世界がつくれそうですね」と応じて指南を返す。夜が更けるのに伴い、潮が満ちるように次々と回答が寄せられる。教室という同じ船に乗った仲間たちとの相互編集しあう旅路が始まった。

 

(文/53[守]番匠 阿曽祐子)

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コメント

1~3件/3件

川邊透

2025-07-01

発声の先達、赤ん坊や虫や鳥に憑依してボイトレしたくなりました。
写真は、お尻フリフリしながら演奏する全身楽器のミンミンゼミ。思いがけず季節に先を越されたセミの幼虫たちも、そろそろ地表に出てくる頃ですね。

川邊透

2025-06-30

エディストの検索窓に「イモムシ」と打ってみたら、サムネイルにイモムシが登場しているこちらの記事に行き当たりました。
家庭菜園の野菜に引き寄せられてやって来る「マレビト」害虫たちとの攻防を、確かな観察眼で描いておられます。
せっかくなので登場しているイモムシたちの素性をご紹介しますと、アイキャッチ画像のサトイモにとまる「夜行列車」はセスジスズメ(スズメガ科)中齢幼虫、「少し枯れたナガイモの葉にそっくり」なのは、きっと、キイロスズメ(同科)の褐色型終齢幼虫です。
 
添付写真は、文中で目の敵にされているヨトウムシ(種名ヨトウガ(ヤガ科)の幼虫の俗称)ですが、エンドウ、ネギどころか、有毒のクンシラン(キョウチクトウ科)の分厚い葉をもりもり食べていて驚きました。なんと逞しいことでしょう。そして・・・ 何と可愛らしいことでしょう!
イモムシでもゴキブリでもヌスビトハギでもパンにはえた青カビでも何でもいいのですが、ヴィランなものたちのどれかに、一度、スマホレンズを向けてみてください。「この癪に触る生き物をなるべく魅力的に撮ってやろう」と企みながら。すると、不思議なことに、たちまち心の軸が傾き始めて、スキもキライも混沌としてしまいますよ。
 
エディスト・アーカイブは、未知のお宝が無限に眠る別銀河。ワードさばきひとつでお宝候補をプレゼンしてくれる検索窓は、エディスト界の「どこでもドア」的存在ですね。

堀江純一

2025-06-28

ものづくりにからめて、最近刊行されたマンガ作品を一つご紹介。
山本棗『透鏡の先、きみが笑った』(秋田書店)
この作品の中で語られるのは眼鏡職人と音楽家。ともに制作(ボイエーシス)にかかわる人々だ。制作には技術(テクネ―)が伴う。それは自分との対話であると同時に、外部との対話でもある。
お客様はわがままだ。どんな矢が飛んでくるかわからない。ほんの小さな一言が大きな打撃になることもある。
深く傷ついた人の心を結果的に救ったのは、同じく技術に裏打ちされた信念を持つ者のみが発せられる言葉だった。たとえ分野は違えども、テクネ―に信を置く者だけが通じ合える世界があるのだ。