コナラの葉に集う乳白色の惑星たち。
昆虫の働きかけによって植物にできる虫こぶの一種で、見えない奥ではタマバチの幼虫がこっそり育っている。
因みに、私は大阪育ちなのに、子供の頃から黄色い地球大好き人間です。

《念力のゆるめば死ぬる大暑かな》(村上鬼城)
なんて物騒な俳句もございますが、仲間がいれば念力いらず、われらが【勝手にアカデミア】(多読アレゴリア)は去る7月27日、酷暑に負けず「鎌倉俳句ing」と洒落込みました。【勝手にアカデミア】恒例の鎌倉吟行で、これが4回目となります。
吟行のたびに、読衆(はとさぶ連衆)にには、〈お勝手〉こと原田祥子制作の「吟行句集」が配布されるのですが、今回はそれをご紹介しましょう。
■暑さもなんのその、鶴岡八幡宮で一句
いつもの鎌倉駅時計台広場より、〈せん師〉大塚宏の先導で向かったのは、鶴岡八幡宮。源頼朝が崇敬し、マッカーサーも参拝したという古宮を、めいめいに散策しつつ、まずは一句。
夏真っ盛り。《雲の峰大石段が登り口》(歩風)
猛暑の中、声張り上げる鶴岡八幡の蝉、うつむき歩く人。
《八幡宮話し声消す蝉時雨》(彦星)
《日盛りにうつむき歩く段葛》(菜美)
《薫風や数多の絵馬に異国の字》(渦角)
インバウンドの波は絵馬にも押し寄せているようで……。ところで神はアラビア語や中国語を読めるのかしらん。
■旧大佛次郎茶亭で優雅にお茶しつつ一句
八幡宮から次なる目的地は、「旧大佛次郎茶亭」。『鞍馬天狗』シリーズで知られる鎌倉文士のあの大佛次郎ゆかりの茶亭です(要予約)。
多読アレゴリアの25夏シーズンで「文学科」をテーマにしていたわれらが【勝手にアカデミア】にとって、相応しき場所でしょう。冷抹茶をいただきながら、もちろん一句。
《茅葺の歌詠む茶屋に蝉の声》(晶月)
約300坪の敷地に建つ茅葺き屋根の平屋。時が止まったような空間で一息ついていると、21世紀に暮らしていることも、大暑も、忘れてしまうのでした。
最後は、「暑気払い」と称して鎌倉の小洒落たカフェで、ビールをぐい、ワインをがばがば。
ほろ酔い気分で、夕闇せまる真夏の鎌倉を後にしたのでした。
《蜃気楼言葉少なに二人傘》(穂凪)
文・アイキャッチ/み勝手(角山祥道)
もれなく鎌倉吟行がついてくる【勝手にアカデミア】。「25秋シーズン」は、鎌倉アカデミアの「産業科」を疑似体験します。校長・三枝博音の「技術の哲学」に迫り、鎌倉彫に挑戦し、鎌倉路を吟行する。体験重視の【勝手にアカデミア】、25秋シーズンの入会、お待ちしております。(せん師・大塚宏)
●【勝手にアカデミア】をもっと知るには●
○3× REVIEWS(三分割書評)
【勝手にアカデミア】『鈴木清順エッセイコレクション』×3×REVIEWS
【勝手にアカデミア】『三枝博音と鎌倉アカデミア』×3×REVIEWS
○吟行レポ
【多読アレゴリア:勝手にアカデミア】はとさぶ連衆、鎌倉に集い俳句を詠みつつアカデミア構想に巻き込まれるの巻
○クラブ紹介
【多読アレゴリア:勝手にアカデミア①】勝手にトポスで遊び尽くす
【多読アレゴリア:勝手にアカデミア②】文化を遊ぶ、トポスに遊ぶ
【多読アレゴリア:勝手にアカデミア③】2030年の鎌倉ガイドブックを創るのだ!
【多読アレゴリア:勝手にアカデミア】勝手に映画だ! 清順だ!(25春)
多読アレゴリア2025秋 【勝手にアカデミア】
【運営メンバー】播種:大塚宏(せん師)、原田祥子(お勝手)、角山祥道(み勝手)
【開講期間】2025年9月1日(月)~12月21日(日) ★16週間
【URL】https://shop.eel.co.jp/products/tadoku_allegoria_2025autumn
【定員】20名(勝手にアカデミア)
【受講資格】どなたでも受講できます
【受講費】月額11,000円(税込) ※ クレジット払いのみ
【2クラブ以上お申し込みされる場合】2クラブ目以降は、半額でお申し込みいただけます。お申込詳細はショップカートにて。
勝手にアカデミア
編集的先達:三枝博音。多読アレゴリアの【勝手にアカデミア】は、鎌倉に生まれた伝説の学校「鎌倉アカデミア」をもどきながら、トポスにトピカ、映画に産業、文学に演劇……などなど勝手に学び、勝手に語らい、勝手に創出する。
戦後すぐに鎌倉にできた伝説の学校「鎌倉アカデミア」。多読アレゴリアの【勝手にアカデミア】では、同校の「学びのモデル」を取り出してきた。25年夏シーズンは、同校の文学科講師、作家の高見順が昭和20年の1年間を綴った『敗戦 […]
夏、高見順の『敗戦日記』を読む【勝手にアカデミア/多読アレゴリア】
戦後80年のこの夏、多読アレゴリアのクラブ【勝手にアカデミア】は、高見順の『敗戦日記』を共読します。 「鎌倉アカデミア」は、戦後すぐ、鎌倉に誕生しました。敗戦で「なにもない」中、人々が欲したのは「知」で […]
【勝手にアカデミア】『鈴木清順エッセイコレクション』×3×REVIEWS
戦後すぐに鎌倉にできた伝説の学校「鎌倉アカデミア」。多読アレゴリアの【勝手にアカデミア】では、同校の「学びのモデル」を取り出してきた。25年春シーズンは、同校の映画科をもどき、卒業生・鈴木清順の方法を共読した。ではいっ […]
【勝手にアカデミア】『三枝博音と鎌倉アカデミア』×3×REVIEWS
松岡正剛いわく《読書はコラボレーション》。読書は著者との対話でもあり、読み手同士で読みを重ねあってもいい。これを具現化する新しい書評スタイル――1冊の本を3分割し、3人それぞれで読み解く「3× REVIEWS」。 多 […]
コメント
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2025-08-26
コナラの葉に集う乳白色の惑星たち。
昆虫の働きかけによって植物にできる虫こぶの一種で、見えない奥ではタマバチの幼虫がこっそり育っている。
因みに、私は大阪育ちなのに、子供の頃から黄色い地球大好き人間です。
2025-08-21
橋本治がマンガを描いていたことをご存じだろうか。
もともとイラストレーターだったので、画力が半端でないのは当然なのだが、マンガ力も並大抵ではない。いやそもそも、これはマンガなのか?
とにかく、どうにも形容しがたい面妖な作品。デザイン知を極めたい者ならば一度は読んでおきたい。(橋本治『マンガ哲学辞典』)
2025-08-19
エノキの葉をこしゃこしゃかじって育つふやふやの水まんじゅう。
見つけたとたんにぴきぴき胸がいたみ、さわってみるとぎゅらぎゅら時空がゆらぎ、持ち帰って育ててみたら、あとの人生がぐるりごろりうごめき始める。